ビターな味わいの短篇集
2001/08/02 15:24
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
チェコスロヴァキアの小説家、カレル・チャペックによるひねりの効いたおとぎ話は、ミルクというよりビターチョコレート。辛口の白ワインを飲みつつ味わうのに最適の短篇集といえましょう。
魔法使いや妖精、カッパが当たり前のように人々の語る話の中へ登場してくるところは、現実と非現実の境界を知らぬ間に越えさせる手法としてうまく働いています。すべてを語らず、余韻でうならせるあたりさすがチャペック。安部公房がリスペクトしていたのも肯ける話です。
7つの作品どれもが素敵なのですが、私は「長い長いお医者さんの話」「郵便屋さんの話」「小鳥と天使のたまごの話」に感銘を受けました。安部公房好きの方なら思わず微笑したくなる作品ばかりです。
子供にも、大人にも!心のなごむ短編集
2002/03/11 10:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Lady - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供のころ、大好きで、何度も読みました。のんびりした、心のやさしい人々の出てくる、楽しい童話集です。しかし、さすがはSF作家、という感じで、珍妙な動物(正体は読んでのおたのしみ!)が出てきたりします。著者の大人向けの作品しか読んだ事のないかたこそ、ぜひ、この子供ばかりでなく大人にも楽しめる童話集を楽しんでほしいです。挿し絵もまた、のびやかでかわいらしく、実に印象的です。誰にプレゼントしても喜ばれる一冊です。『ダーシャンカ』ばかりが有名ですが、これも名作です。
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童話の短編集で、そのなかの『郵便屋さんの話』が私のお気に入り。郵便局なんていう至って日常の空間に、妖精がいてしかも手紙でトランプをしているなんて素敵です。話の展開もハッピーエンドで心温まります。
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郵便屋さんのお話がとーっても素敵でした*
対象年齢は小3・4などと書いてありますが、おとなになっても十分楽しめる作品だと思います。冗談交じりなところもお気に入り。
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小学生のころの愛読書。今回検索して初めてカレル・チャッペックの作品だったことを知りました。感激!それはそうと題名どおりお医者様のお話はしつこいほど長いけど、みんな楽しいです。木こりのおじさんの昼食、チーズをはさんだパンのサンドウィッチが、子供心に、すごくおいしそうに見えました。
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不思議な感じ。遠い世界なのにそこにいれる。眠い時に読んだりする。
ぼやーっとしてるとそのへんにこびととかあらわれそう。
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【11/8】近図。季節の本(=しごと)展示。中学年〜。ことばの遣われ方に時代を感じるけど、手紙の等級や、犬の王国のくだりは新鮮だった。アレンジを加えれば、お気に入りの部類に入るかも。
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カレルチャペックは犬モノと園芸モノしか読んだことがありませんでした。実は「ロボット」という単語の生みの親であり、SF小説の開拓者だったってことすら、後で知りました。
ある日たまたま行った鎌倉の美術館で、彼の作品と挿絵の展示会がありまして、そこでこの本のような童話も手がけていることを知りまして。帰宅後早速さがし求めたわけです。
表題作は、弟子を怒鳴る最中にウメの実が喉につまり、呼吸困難に陥った魔法使いと、その治療に駆けつけるお医者さんたちの物語。治療に長い時間がかかっているわけではなく、医者の応援を次々に呼んでいる間、手持ち無沙汰になったお医者さんたちが順々に語りだす世間話が「長い長い」のです。魔法使い受難。
作者のお兄さんが描く、挿絵もふんだんに掲載されています。この絵は大好き。味があります。
表題作以外にも何篇か収録されているのですが、その中に出てくる、成り行きでヒドラを飼うことになった動物虐待協会事務員の話が、可愛らしくて一番好き。挿絵もこれまた良いんですよ。協会員もヒドラの絵も、憎めないというか、とぼけたカンジで。
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この本はね、子供時代に学校の図書館で何度も借り出したお気に入りの童話集だったんですよ。 でもその後、この物語のことはすっかり忘れてしまって、さらに言えば子供時代には作者が誰かな~んていうことはあんまり気にしていなかったので誰の作品なのか知らないまま KiKi は大人になっちゃったんです。 で、大人になったら同じチャペックの「園芸家12ヵ月」に出会ってクスクス笑いをさせてもらって、ふと気が付けば「この2つ、同じ作家の作品じゃあ~りませんか!」となってそれからますます愛着がわくようになったという物語集です。
この「園芸家12ヵ月」の現在市販されている文庫本の表紙は KiKi が持っているものとは別(Amazonの方が新しい)なんだけど、KiKi が持っている古い文庫本の絵は本日読了した「長い長いお医者さんの話」でも挿絵を担当しているお兄さんの絵で、実にほのぼのとした味わいのある絵なんですよね~、これが。 お話もどこかとぼけたところのある語り口(それはどちらの本にも共通している)なだけに、この挿絵との相乗効果には絶大なものがあると信じて疑わない KiKi です。
さて、我が家には実はこの「長い長いお医者さんの話」は2冊あったりします。 1冊は冒頭でご紹介した現在も販売されているこのヴァージョン。 そしてもう1冊は「岩波少年文庫 愛蔵版 全30巻」の中の1巻でこちらは装丁が実に美しいんですよ。 しかもハードカバー。 実はこれ、KiKi の宝物です。
こういう装丁の本、KiKi の子供時代には多かったんですよね~。 日本の製本技術は優れているから現在のソフトカバー本であっても、アメリカなんかのペーパーバックと比較すればはるかにしっかりできていて、その割にはお値段も安くて文句のつけようもないとは日々感じていることだけど、それでもこういう厚紙仕様で風格のある本っていうのは本を読む前の心構えみたいなものを読む側に要求する独特のオーラを放っています。 で、せっかくだから今回はこちらの愛蔵版で・・・・と最初は思ったんですよ。 でも結局読了したのは冒頭でご紹介した現在市販されているソフトカバー本の方にしました。 その理由はね、実は現在市販されているソフトカバー本の方が収録作品数が多かったんです。
長い長いお医者さんの話
郵便屋さんの話
カッパの話
小鳥と天使のたまごの話
長い長いおまわりさんの話
犬と妖精の話
宿なしルンペンくんの話
山賊の話
王女さまと小ネコの話
これ(↑)が現在市販されているこの本の収録作品一覧なんだけど、な、な、なんと愛蔵版の方には最後の2つのお話が収録されていません。 せっかくの「全冊読破企画」で読み落としがあるようじゃ勿体ない・・・・ということで、結果的にソフトカバー本を手に取るに至ったのでした。
とまあここまで本の内容以外のことでずいぶん字数を使ってしまいました。 この本の中の物語の感想についてお話しなくちゃね♪ これらのお話はどれもこれもおとぎ話風のホンワカムードのお話ばかり(これには挿絵の影響もかなりあります)なんだけど、話の進め方に至っては結構奔放であっちへ飛んだりこっちへ飛んだりするんですよね~。 でもそれが不思議と不快じゃなくて何だかチャペックモードに乗せられているうちにスイスイと読み進めちゃうんですよ。
で、もともと語られたお話に忘れた頃に戻ってきたりもして、挙句そこでちょっと意表をつかれるようなこともあって、どこか人を食っていると言うか手玉にとって遊んでいるというかそんなところもある物語集だと感じます。 でも、読んでいる間不思議と幸せな気分に浸っていられるのですから、やっぱりこれは天才の手による作品なんだろうなぁ・・・・・。
どのお話も結構 KiKi 好みだったんだけど、今回の読書で一際 KiKi の興味を引いたのは第3作「カッパの話」です。 カッパって、これは KiKi の思い込みだけなのかもしれないけれど日本固有の妖怪かと思っていたら、Far East の島国日本から遠く離れたチェコにもいたんだ!とかなりビックリ!!! しかもその挿絵を見るとこれがまさに私たち日本人にお馴染みのカッパそっくり。 でも、この挿絵は間違いなくK.チャペックのお兄さんヨゼフ・チャペックが描いたものなわけだからやっぱりチェコにもカッパはいた(と信じられていた)と思うしかありません。
しかもお国は違えどもやっぱりカッパは水と縁が深い生き物だったようで、この物語の中でもチェコの川にお住まいなんだそうな・・・・・。 しかも本文の中ではっきりこう性格づけられています。
カッパというものは、なにか水に縁のある仕事でないとやれないのです。
どうです?? これじゃまったく日本の河童と一緒でしょ? う~ん、これはカッパについてもう一度学び直してみる必要があるかもしれません。 少なくともこの「カッパの話」を読む限りでは、チェコのカッパがキュウリ好きなのかどうかまではよくわからなかったんですけどね。 これは岩手県は遠野市に出かけて行って「カッパおじさん」のご意見を聞いてみる必要があるかもしれません ^^; そして可能であればチェコまで出かけて行って彼の地に伝わるカッパ伝承を調べてみる必要も・・・・・。 ま、そんな妄想までフツフツと湧き出してくる楽しい読書だったのです。
因みに、例の宮崎駿さんの豆本での推薦文は以下の通りです。
この本を書いた人は、「ロボット」という言葉を発明した人です。 とはいっても、この本はロボットの話ではありませんが・・・・・。 この人は、精神のかがやきのようなものを持っていると感じます。 とても善良で、かしこくて、硬くてキラキラしていて、あたたかいのです。 こういう人がパイプをくわえて、窓辺でジッと考えにふけっている姿を想像して、なんだかなつかしいかんじがします。 ずっと昔、自分もそういうものを持っていたような気がしたりするのですが、ただの錯覚なのでしょう。
う~ん、カッパ問題のヒントになりそうなことは何一つ書かれていませんねぇ・・・・・(苦笑)
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郵便局に住む妖精たちが手紙に込められた気持ちの重さでトランプする、という話が好きだった。手元にあるのはハードカバーの岩波愛蔵版。
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表題作と郵便屋さんのお話は有名。
そしてどちらもものすごく楽しい。
えほんで読んでも楽しいけど、短編集なのでまだ長い物語の読めない子にもおすすめできる。
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子どものころ大好きだった本。
チャペック氏のお話はとってもチャーミングで、いい話なんだけど道徳くさくなく、悪いことをする人もいいことをする人も出てくるけど単純な善悪二元論ではなく、軽やかでセンスのいい話が並んでいます。今読んでもおもしろく、納得がいく。
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なんとも妙なお話が詰まってました。楽しいホラ話という感じでしょうか。ホラにホラを重ねて、話自体もあっちに行ったりこっちに行ったり、子どもを前にしてお話を考えながら語っているような雰囲気が面白かったです。それでいてちょいと風刺を含ませたりするから、油断出来ませんな。
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長きに渡る愛読書。本屋さんで立ち読みしたら、うちの本(←30年以上前の)と固有名詞が違うし収められている話も多いので、びっくりして買ってしまった。私の本にはメアリとかマークとかボブとかが登場するのだ。英語版からの翻訳だったんだろうなあ。子どもたちにはちゃんとチェコ名のものを読ませたい。しかし私はいまさら移行できないよ…。
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表題作ほか7編。郵便屋さんのお話が好きです。王女さまと子ネコの話は長いけど、最初と最後の猫のユーラが自分の家に戻ってヴァシュカを連れてくるところがいいです。