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前巻に比べるとシリアスなエピソードが多く必然的に重たく暗い。だがだからこその緊迫感や内情が読み物に迫ってくる。確かにトランプだったら自己賛辞でただでこそ長いこのエッセイのさらに倍は費やすはず。それほどの画期的な実績と尊敬を手にしているはずなのに。ここに書かれているのはただひたすらの内省と後悔と悔恨だ。
本を文化を愛しそれだけではなく大量の読書と勤勉による人並外れた理性と知性と人間洞察。そうした豊かな感性を持つ人間だけが顕すことのできる書は文学の領域に達している。
この感性は合衆国大統領には不向きなのかもしれない。無神経さと厚顔さが足りていないわけだ。
もちろんビンラディンの殺害など死刑制度反対の立場から言えば全く容認はできない。
それでもカルチャーアイコンとして、オタクの先輩として、それだけでも十分に尊敬できるのであった。
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変化が目まぐるしい国外情勢、国内での危機管理、そして野党共和党の非協力的な姿勢による国内政治環境。こんな状況の中で、決断を続けるアメリカ合衆国大統領という職務に何の魅力があるのだろうと読みながら、重い気分が続いた。
その解をファベーラでの一コマに感じた。そして長い長い上下巻を締め括る最後の章は、背筋を伸ばして読ませてもらった。
オバマ氏の目を通じたアメリカを見させてもらった。
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あらゆる格差と分断を乗り越えて、“希望の地”アメリカを実現しようと奔走したオバマ政権の前半を克明に振り返った大統領回顧録。
大統領として、立ち向かった数々の困難や逆境。
そして、オサマ・ビン・ラディンの殺害に成功するネプチューン・スピア作戦...
読みごたえあり、非常に面白い!
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オバマ元・大統領の回顧録。下巻の最終章を読んだ読後感は、「やっぱり、すごいなぁ~」でした。
ミシェル夫人に、「あなたはサーカスの人みたいね。棒の先で次々とお皿を回している」と言われたそうですが、まさにそのとおり。公約を実現しようとする一方で、次々と起こる世界中の出来事にも対応しなければならず、並大抵の人にはできない役職と理解できました(知力・胆力のみならず、説明力や思いやりなどが総合的に問われる)。
大統領選への出馬にあたってテッド・ケネディ議員に相談した際、人を鼓舞する才能を見抜かれたそうです。確かに、オバマ氏は「言葉の魔術師」。勿論、その言葉を使うにあたって、読書に裏打ちされた思考の軸があるのですが、これらが垣間見れて参考になりました。また、専門家の言うことを鵜呑みにせず、ほかの予算や世論への影響を考えて結論を出すなど、いまのコロナ禍ではどうなのだろうと思いました。
1期目でのさまざまな出来事の記述も面白いのですが、圧巻は、最終章のビン・ラディン襲撃の場面。次期大統領を狙うトランプという人物が、オバマ氏の出生(ケニア生まれのイスラム教徒)を騒ぎ立てるなか、各種外交をソツなくこなしつつ、米国・特殊部隊によるビン・ラディン襲撃を計画しますが、実行場面では「邦人奪還」を彷彿させます。実行後、911でお父さんを亡くした14歳の子どもからのメールがジーンときます。
「何があろうと、父親がもういないという事実に変わりはない。だが、アメリカは父親のことを忘れてはいなかった。自分や家族にとってその事実がもつ意味は、計り知れないほど大きい。それを、この作戦に関係した大統領ほかすべての人々に知って欲しい。」
2期目分がまた出版されるようですが、次も読んでみようと思います。
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レビューはブログにて
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シーマンショック、オバマケア、ビンラディン暗殺等に関し、米政府の中で何が行われ、どう対処したのか、かなり具体的に書かれていて、非常に興味深い。共和党はオバマの時代に既にティーパーティー等の保守ポピュリストの党になっていて、政権運営が困難な状況に直面していたことが分かる。
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いやに詳しくテンポが遅いと思ってたら、これは回顧録ⅠでⅡどころかⅢもあるに違いない。オバマ時代の世界史の総ざらえ、もちろんアメリカ側から見たということではあるが、オバマ元大統領はやりたくなかったことも、やりたくても出来なかったことも、気持ちのままに書いているようで、臨場感があって興味深い。
終わりの頃から登場しだしたトランプにも触れ、出てきたぞ!と腹立たしい。ビンラディン暗殺でⅠ巻は終わった。
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オバマ大統領の自伝の下巻。大統領になってから1期目終了前までについて書かれている。リーマンショック後の経済対策、アフガンでの対テロ戦争、中東問題、アラブの春など、様々な対応を迫られるのだが、根回しや決断の難しさをはじめ、常に共和党やメディアからの批判にさらされるなどの苦労が書かれていて、勉強になった。
「(演説の原稿)国防総省やCIAにチェックのため草稿を提出するたびに、大量の修正を入れて戻された」p43
「(サウジ国王)自分には妻が12人いるという。子どもは40人いて、孫もひ孫もさらに何十人もいるそうだ。(奥様とどうやって折り合いを取っているかの質問に対して)誰かが必ずほかの誰かに嫉妬する。中東政策よりも複雑だよ」p49
「(アフガニスタン)選挙だけではうまく機能する民主主義は生まれない」p152
「外国訪問の際にはホテルや宮殿の門を出て、ニュースで大きく報じられるような観光も日程に入れるようにした。イスタンブールのブルーモスクやホーチミンの地元の食堂に興味を示すことは、二国間会議や記者会見における話よりも、トルコやベトナムの多くの人々にとってはるかに長く記憶に残ることがわかっていたからだ」p178
「(人間は動物と変わらない)自分の知らないものが怖いの。ほかの人を恐れ、危険を感じれば、たやすく戦争みたいな愚かなことをしてしまう」p207
「(中華思想)相手からの抵抗がなければ、自国の利益を追い続ける」p225
「(環境問題)飢餓などの差し迫った問題に比べれば汚染問題はかすんで見えた。発展途上国で苦しい生活を送る多くの村人にとって、石炭火力発電所や煙を吐き出す工場が1つでも増えることは、むしろ収入が増えてきつい労働から解放される最大のチャンスでもあったのだ。彼らからすれば、自然の原風景や珍しい野生生物の保護は、西洋人だけが心配する、いわば贅沢な悩みだった」p232
「悪い話はいつまでも取りざたされるもので、そこから支持率が低下する。政敵は今がチャンスだとばかり攻勢を強め、味方の助けも追いつかなくなる。メディアは政権内部にほかにも問題がないかと探りはじめ、大統領はすっかり窮地に陥っているという印象を与えようとする」p274
「テレビに出ないことで、私は万全を期していると思われるどころか問題を放置しているという印象を与えてしまい、ただちに政界のあちこちからバッシングを受けた」p276
「不愉快な経験もいくつかあったが、ファーストファミリーという立場のおかげで多くの恩恵を得られたことは否定できない」p305
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オバマ政権の一般的な評価は日本の国益から見るとあまり喜ばしいものでは無かった先入観で読み込んでいたが、実際にオバマ政権がアメリカに何を果たしたのか実績や、大統領の決断の重さ・感情の揺れが当事者目線で描かれており、大統領も1人の人間なんだと感じた。
また、前巻から引き続き民主党と共和党の争いが描かれていて、両党の関係性や登場人物を調べての読者となり、アメリカ政治における知見を深める為の勉強にもなった。
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回顧録だから私的な思い出話も長いけどしょうがないか。でも、現代史と米国政治を学ぶ良い教材です。それにしても米国社会そして政治がここまで分裂・劣化しているとは!トランプ以降、米国なんか変?と思っていたが、もうずっと前から。それもかなり根深い。相手を攻撃することしかしない政治。それで大丈夫?じゃないですよね。もう民主主義のリーダーなんて偉そうに言えないのではないか?虎視眈々と長期的なビジョンで取り組んでる国もあるのに。我が国も他山の石とないといけませんね。
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各国の首脳とあった感想や、どのような攻防があったのか、政治の裏側を見られて興味深い。
世界をリードする国の大統領に求められる役割や、戦争が現在進行系という事実に、日本の平和を感じます。
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購入した本。世界最高峰のリーダーシップとアメリカ合衆国という国を理解したいと思い読了。
「私たちの歴史は常に、個々の人間が行なってきた選択と行動の総体である」。このカイロでの演説の言葉は深く沁み入った。歴史と聞くと途方もなく大きな存在に感じてしまうが、本質的には一人一人の選択と行動によるもの。自分の日々の選択と行動は結果として大事につながっていく。そう考えながら生活していきたい。
「成功の80%を決めるのは顔を見せること」この格言を大切にしているそうで、これは営業にも通じる話だと思う。積極的に顔を見せていきたい。
平成天皇両陛下とのエピソードには驚いた。やはりプレッシャーもあるそうで、そんなときには音楽と詩で乗り越えられてきたそう。
政治は国民への印象付けが1番大事。良い事をしても悪い事をしても印象によって大きく変わる。また、注目などを集める事なく、誇りを持って行動して地道な日々の活動が大事。
悩みながらも懸命に、冷静に取り組んでいるオバマ大統領を知ることができて良い機会であった。今後の活動にも注視していきたい。
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いい社会の勉強になりました。当時よくわかっていなかった出来事も、事の発端とか時系列とか何があったのかがわかりやすく書かれているし、歴史の教科書よりよっぽど面白い。上下合わせて1000ページ超あるからボリューミーで大変だけど、それだけ抱えてたってことですよね。
この本を読むと視座をぐんと上げてくれる。周りから一丁前に好き勝手口だけ挟まれるポジションの最骨頂だなw
そしてそんな地位に就きながら、目線がなるべく多くの1人1人に向けられているのが随所から伝わってくる。
よく日本ではムダな会議が多いといった話があるが、首脳会議ですらムダ会議の特徴が見られるんだなw
最悪の予感を読んでも思ったことだが、世の中にはたくさんの組織があり、それぞれの真善美が掲げられているが、それが内実も伴っているのは希少なのかもしれない。
外面だけ塗りたくって飾り上げて、実際に近づいた者だけが真実を知ることになって苦労する。そしてそれだけシステムをつくりあげるのは難しいもの。
リーマンショック、油田事故、外交や派兵、ソマリア海賊、ギリシャ危機、医療保険問題、引き継がれた問題や今になって発覚する問題、自分が認識していた以上に、降りかかる問題の1つ1つが大きすぎてビックリした。
すごいことをしてのけてるなぁと思うし、控えめに想像してもとてもじゃないが自分には到底できない話で、なりたがる気持ちがまったくわからないんだけど、でもそういう方々がいるおかげで生活できてるんだと改めて思いました。
忌々しい問題も政府が許可してるんだよなぁ的な話もあり、民衆も責めてくるが、その監督を選んできたのは民衆なんだというのも忘れないようにしたい。
解決できない、維持できないという世界線がある中で、被害を食い止めたり、国を維持できているという視点ももって、選びたいなと感じた。
正しい側ってなんだろう。正しい方向ってなんだろう。
言ってることはわかるし、考え方には共感するけど、その「正しい」って思っているであろう感覚が透けて見えて、抵抗を覚えることもあるんだろうな。
アメリカって自家醸造OKなんだ。
国際法とかあまり目を向けたことがなかったなぁ。
翻訳者が多数いるからか、医療費負担適正化法(ACA)とか、略語などの説明の有無の順番がごちゃまぜな部分があると感じました。
ACAといきなり出てきて、これは何だろうと思って調べたのに、ずいぶん後になって医療費負担適正化法(ACA)と表記されていて、その前の時にも書いておいてくれよと思っちゃいましたね。
なんなら医療保険改革法案ってずっと書いていたのだから医療保険改革法のほうがわかりやすい気もw
ほかにも先導者(ペイサー)と書かれていたとしたら、次からはペイサーと書かれ始めることがあるため、ルビを流し読みするとわけがわからなくなるのもたびたび苦労した。
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上下巻読了。アメリカ大統領とは世界でもっとも注目されてもっともタフなポジションであることが良くわかる。その注目のされ方もアメリカ国内から、中国から、ロシアから、アフガニスタンからなど国によっても全く違うし、常に重大な決断が求められる。その決断も世界中から感謝もされれば恨まれもする。
その当人が何を思考し、世界を動かしてきたかほんの僅かだけ触れることができた気がした。