経済学専攻の読者
2021/07/12 22:27
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投稿者:dragonrider - この投稿者のレビュー一覧を見る
40年前、基礎演習でケインズ経済学を経験しているが、当時の教科書を脇に、読んでいる。当時のことを思い出されて良い体験に思う。
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ケインズに関する著作を全く読んだことがなかったので、分かり易く翻訳されたという本書、一般理論を初めに読んでみました。後半には訳者による解説があるのですが、最初は訳者の文による一般理論を初めから読んでみました。章ごとにポイントが書いてあり、最初の方の章はなんとなく理解できるような気がしたのですが、中盤あたりになってなにを書いているのかよくわからず、終盤には、読むのを止めて、後半の「訳者解説」を読みました。一般理論の内容だけでなく、ケインズについてどういう人だったのかということが詳述されているので、本書はケインズを知らない方にはとても向いている本だと思います。
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ケインズ著『一般理論』の編訳+解説。ケインズ理論の要所が分かりやすく纏められている。原文が非常に難解と名高いだけあって、本書も理解が難しいところもあるが、全体的にはコンパクトで読みやすい。
ケインズ理論の要約を知っておきたい、と言う人には非常にお薦めできる。良書。
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宇沢弘文さんの本から興味を持って購読。
名前ぐらいしか知らなかったが、ある経済を全体として考えるマクロ経済学の枠を初めて示したのがこの本だそうで、ケインズ理論の教えは、放置しておくと失業が起きるから、細かく介入して完全雇用を実現しなさい、というものらしい。
買ってから他の本を読んでいる間に時間が経って、テンションが下がってしまったので、後半の解説だけ読んでお休み。ケインズという人は古典経済学に嫌味たっぷりの皮肉屋さんらしく、ちょっと吹き出す場面もあった。
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ケインズの著書「一般理論」の超訳として、主要なところの日本語訳だけでなく、その部分のポイントも簡潔にまとめられています。枝葉の部分まで詳細な内容というわけではなく、あくまでもケインズがここで言いたかったことが分かることを主点としてまとめられています。そのため、難解なところの多い本書ですが、最後まで読めば、この書の特徴をつかむことができます。さらに、後半に大きく幅を取って、翻訳者による本書の内容やケインズの人となりについて解説が書かれています。こちらは読みやすく、本書の内容を簡単につかむことができますので、先に読んでも良いかもしれません。この「一般理論」がいかに、いまの日本の経済政策にも影響を与えているのかということを実感することができます。雇用が投資に影響を受けること、投資は金利に影響されること、不確実性が投資を左右することなど、それぞれの要素のつながりが見えてきます。
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古典派理論への反論=賃金が下がっても働く気はなくならない(供給は減らない)。賃金は互いの交渉で決まる。需要総額は供給総額に等しい、ということはない。
貯蓄量と投資量は等価である。みんなが貯蓄することはできない。消費が減って雇用がなくなるから。
雇用は有効需要で決まり、有効需要は消費と投資で決まる。投資は乗数効果があるので、直接費用の何倍かの雇用が増える。
節約が国を豊かにする、という考えは、個人に対する考えを誤って適用したもの。国は投資をする必要がある。
一律に賃金を下げる方法はない。一様な賃下げが実現するまでに一部で悲惨な状態が生じる。それに対して金利は調整可能。
有効需要の増大は、雇用増と物価上昇を引き起こす。完全雇用を超えると、物価上昇だけになる。
景気の循環は、投資が大きく変動するために起きる。投資の期待収益率ははっきりとわかるものではなく雰囲気に左右されやすい。金利を下げるだけでは追い付かない景気後退を生む。
ゲゼルの印紙紙幣は、その他の流動性のある代替品が存在するので成り立たない。
高金利で金持ちが貯蓄に走ると、資本形成には有害。金利を下げると投資が増える。資本の収益率は下がるから、平等になる。
1930年当時は、金利を上げれば貯蓄が増え、投資が増えて景気回復する、と考えられていた。格差を増やして金持ちに貯蓄してもらうほうがいい、と考えられていた。
ぜんたいにおおざっぱ。数式モデル化されていないが、そのほうがいいと考えていた。
株価はすべての情報を反映する、はうそ。
ほどほどに抜け穴を作って小さなバブルが起きたほうがよい。
ヒックス=ISLMモデル。ケインズモデルを単純化した。
「長期的には我々は死んでいる」(貨幣改革論)貨幣数量説を批判した者。
マクロ経済は精緻にコントロールできない。そのときの問題に合わせておおざっぱな理論とモデルで政策を決めるべき。
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『超訳~』の類には、おおよそロクなものがなく、これまで、読むに値する本は一冊も無かった。
だから、この本に対しても、期待値は限りなく低かった。
コソッと読んで、読まなかったことにしておこう、と思ったほどだが、山形浩生の解説はおもしろかった。
ケインズの『雇用、利子、お金の一般理論』は
第二次世界大戦後の世界の経済政策を一変させ、社会における政府の役割を徹底的に変えた。
第1章
強調したかったのは『一般理論』という部分。
古典派理論の公準は特殊なケースのみ当てはまり、一般には当てはまらない。
第2章
賃金は、労働力の需要と供給で調整されるはずで
賃金引き下げに労働者が応じないから失業が突く、というのは、何でも良いから仕事をくれという失業者で溢れた大恐慌当時の状況から見ておかしい。
「作ったものは、いずれ売るしか無いので、供給は需要を作り出す」
という話はおかしい。
第3章 有効需要の原理
ケインズ経済学のベースとなる「有効需要」の概念を述べる章。
経済全体で見ると、その期の総需要は、みんなが消費する分と、みんなが投資する分の合計。
これが有効需要。
有効需要が、雇用の量を決める。
それが少ないと、失業が起きる。
第4-5章
期待が、生産量と雇用を決める。
第6-7章
所得、貯蓄、投資の定義
この章では各種概念の定義を行う。
経済全体として見た場合、貯蓄と投資が透過となることを強調。
マクロ経済学の基礎を構築する章となる。
第8-9章 消費性向
雇用は有効需要で決まり
有効需要は消費と投資で決まる。
消費は客観的な要因と主観的な要因に左右される。
ただし、消費は、だいたい総所得の一定割合であまり変わらない。
とはいえ、それを減らすような財政規律論はダメ。
第10章 限界消費性向と乗数
雇用は有効需要で決まり
有効需要は消費と投資で決まる。
このうち、投資は乗数効果があるので、投資による直接雇用の何倍もの雇用が経済全体で発生する。
だから、失業をなくすためには投資を増やすのが効果的。
失業時には、ムダでも良いから公共投資を増やすべき。
ピラミッド建設でも、お金を埋めて掘り返す、でも良いから、公共投資を増やせ。
第11章 資本の限界収益率
社会全体の投資は、投資で見込まれる収益率が金利よりも高いと起こる。
つまり、投資を増やしたければ
投資収益率の見込み/期待を高める方法と
金利を下げる方法がある。
第12章
失業を減らすには、有効需要を増やすための投資が有効。
投資を増やすための手として、投資の収益率を上げる方法を検討する。
が、投資プロジェクトの収益未投資なんて、誰にも分からない。
みんな自分の勝手な思い込みや勢い(アニマルスピリット)や、その時の気分に支配されてるだけ。
収益未投資を冷静に分析するはずの株式市場も、じつは、美人コンテスト波のハラの探り合いにようる投機に堕し、目先の流行に流される。
だから、期待収益率の評価改善で投資を増やすのはつらい。
第13-14章 金利の理論
失業を減らすには、有効需要を増やすための投資が有効。
でも、期待収益率改善では投資を増やせない。
では、金利は?
金利は、現在の消費と将来の消費を均衡させるものであると同時に、手元に置く資産を利子のつかない現金で持つか、債権で持つかという選択を左右する。
この選択が流動性選好。
お金の量を増やすと、みんなの流動性ニーズが満たされるので、現金の需要が減少し、金利も下がる。
これは従来の古典派の理論では無視されてきた部分。
第15章
失業を減らすには、有効需要を増やすための投資が必要。
その投資を左右する金利は流動性選好
つまり人々が現金をどれだけ持ちたがるかで決まる、と前章で論じたが
ではなぜ、人々は現金を持ちたがるのか?
それは、将来の金利動向についての不透明性や自信のなさっからくる部分も大きい。
市場金利は株式市場と同じく、根拠のない付和雷同で動く部分も多い。
だから金融当局が、実現性ある施策による金利誘導をきっぱり宣言すれば、あっさりそれに流される可能性も高い。
ただし、金利ゼロや、ハイパーインフレーションなどで、誘導が効かない事態はあり得る。
第16章
投資が増えて資本設備が増えれば、収益率は下がってくる。
それに対応して投資を維持させるには金利も下がらざるを得ないだろう。
資本設備があふれて希少性がジワジワ下がったら?
いまは資本の希少性のおかげで儲けている金利生活者たちの不労所得もジワジワ下がり、この階級は安楽死するはずだ。
第17章
ではなぜ、お金はそんなに特別なのか?
先物取引などで利率にあたるものは他にも存在するのに。
それは、お金が勝手に作れない、他のものでは代替できない、保管費用がかからない、そしていま多くの価格がお金を基準に決まっているという性質のため。
それをみんなが求めすぎるから失業は起きる。
第18章 雇用の一般理論再説
各種投資の期待収益率と金利の関係で、経済の投資の量が変化する。
投資と消費の関係は乗数によりほぼ一定なので、投資にあわせて消費、そして総需要も、変化する。
そしてその総需要(有効需要)が雇用の量を決める。
第19章 名目賃金の変化
ケインズの主張はともかく
古典派が主張する、賃金が下がれば、失業はなくなるという見方はあり得る。
でも、名目賃金が下がると、消費も減る。
もっと下げるかも、という思惑が発生し、雇用改善が起きない。
賃下げが社会不安につながれば流動性選好が上がり、金利が上がって投資も減りかねず、これまた雇用を減らす。
独裁国でもない限り、一斉に名目賃金を下げる手段はない。
政策的にも賃金低下を図るのは悪手で、お金を増やしたりするほうが現実的。
第20章 雇用関数
産業によって雇用弾性は違う。
それによって、需要が増えたとき、その産業での��用増につながるか、産業の製品価格上昇につながるか、変わる。
だから、有効需要の増大は、雇用増と物価上昇を同時に引き起こす。
完全雇用を超えると、物価上昇だけになる。
有効需要が減る場合はその逆になる。
第21章 価格の理論
経済の安定のためには、賃金を下げるよりは、お金を増やして失業を抑えつつ、物価と賃金はだんだん上がるようにするのが望ましい。
第22章
景気循環はなぜ起こるのか?
投資が大きく変動するから。
変動の鍵は、投資の期待収益率。
根拠のない付和雷同の気分に左右されるので、みんなが不安にかられると投資は激減する。
不安に駆られた投資家は現金に走る。
流動性選好も高まって金利も上がるので、投資激減に拍車がかかる。
お金を増やして金利を操作するだけでは対処しきれないし、不安解消には時間がかかる。
だから、律儀にバブル潰しをやるより、金利を抑えて、軽いバブル状態を保つほうが最適。
第23章
余談のような章。
第24章 『一般理論』から導かれそうな社会哲学
これまでの理論が社会に持つ意味について考察の章。
◆投資促進のために金利を下げようと主張してきた。
すると金利生活者の安楽死をもたらし
格差もなくなる。
◆公共の役割を大きくし拡大しろという理論だが
社会主義とは違い
個人や民間の自由な活動余地は十分に残してる。
◆自国だけで完全雇用を実現できるようになるから
外国市場をめぐる戦争の要因もなくなり
平和に貢献する。
翻訳者の解説
160
ケインズには、イギリスの階級社会における、上級国民特有の、イヤミったらしさがある。
これは、『素晴らしい新世界』を書いたハクスリーにも通じる、イギリス人特有の階級意識。
ジョン・ヒックスは、ケインズ派の重鎮で
IS-LMモデルの考案により、ケインズ本人よりも、ケインズ理論の普及に貢献した人物。
そのヒックスにさえ
ケインズの「イヤミったらしさ」は指摘されている。
そのイヤミったらさいさを、モロにくらったのが
アーサー・セシル・ピグーだ。
古典派のドンであるアルフレッド・マーシャルの門下生であり、ケインズの大先輩の兄弟子格で、若い頃からずっと友人だったのに
『一般理論』では、一章まるごと使って、ボケ役として嘲笑されている。あまりの仕打ちに、ピグーは大ショックを受け、その後ずっと立ち直れなかった。
165
ケインズのお金の理論は
MMTや、経済における決済機能を重視するメーリングなどのマネービューの考え方にも影響を与えた。
本書で登場する「アニマルスピリット」は、ジョージ・アカロフとロバート・シラーに影響を与えた。
167
ケインズ経済学が現実の世界でたどった道。
大規模公共投資による景気回復という政策。
1930年代にルーズヴェルト大統領のニューディール政策につながったが、決定的な景気回復には至らなかった。
だが、その後
第二次世界大戦という壮絶な公共投資と、それに伴う金融緩和が���さにケインズの言う通り
経済を完全雇用に戻した。
ケインズが一役買った
ブレトン=ウッズ体制が戦後の国際経済の基盤となる。
各国の経済政策は基本的にケインズ理論に基づき、政府が公共投資と金利引下げで完全雇用を実現する。
これが1950-60年代の世界経済の安定と繁栄を生み出した。
(続く)
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世界経済の常識を変えた歴史的名著を読んでおこうと思い、ケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」にチャレンジ。といってもフルバージョンは難解すぎるだろうから、エッセンスを抜粋して読みやすくし、尚かつ、章ごとに解説を挟んだ「超訳」を手にしました。
それでも、この本を読みきるには、経済素人の私には辛いものが有り、何度か挫折しました。したがって、私のように経済を全く勉強したことが無い方は、最初に「一般理論」をわかりやすく解説した他の媒体で、理論の大まかな概要を把握してから読むのがおすすめです。
特に言い回しや用語が難しいので、本書で使われる「自発的失業」「有効需要」「流動性選好」などの言葉が、どのような文脈の中で、何を意図して使われているのか予習すると良いかと思います。
そうした読む前のひと手間で、一般理論の言いたいこと、つまりは「経済活動を市場だけに任せるのではなく、政府が介入すること(公共事業)で雇用を増やし、不況の影響を最小限に抑えるという施策も必要なのだ」というケインズの主張が大まかには理解できるようになりました。(ちがうかもしれませんが)
もう一つおすすめなのが、編訳者、山形浩生氏によるケインズ解説から読み始めるという方法です。ケインズは間違いなく慧眼の持ち主で、歴史に名を残す偉大な経済学者だと思いますが、一方で、享楽的かつ楽天的な側面もあり、私生活のゴシップも豊富で、そのギャップの中に人間らしさを感じます。また、「一般理論」の難解さの理由も興味深く、皮肉、嫌味、英国知識人らしいひねくれなど、一筋縄ではいかない部分が、多分に、ケインズの人となりと深くつながっているように思えて、それが却って、ケインズという存在を魅力的に感じさせます。そうした「裏」ケインズをたっぷり紹介してくれる、解説が本書の後半には収められています。
結果、なんとか読み切ることができたこの本。
ケインズとケインズが生きた時代も含めた社会のおおきな流れが感じられました。
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わかりやすい超訳ですが、マクロ経済に関する基礎的な知識がないと難しいと思います。特に序盤の古典派第一公準、第二公準は本書だけでは特に説明がなく、意味がわからないのでその場で諦めてしまうポイントであるため注意が必要です。
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「雇用・利子および貨幣の一般理論 (まんがで読破 MD134)」から始めて、超訳に。分かりやすいと思う。それでも、門外漢には難しい。専門用語を検索しながら、読む。
ところで、「一般理論」に限らず、2024年の日本において、資産を持つ老年、年金世代は稼がず、年金暮らしをしながら貯金を取り崩して生活している。彼らはいくら金利を動かそうと、余分に使うことはないのではないか。その世代が大勢を占める今、「一般理論」も「古典派経済学」も力を発揮できないのではと思う。