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分かりやすく整理はされているものの、やはり「ムック」だからでしょうか、内容は表面的であるように感じます。
以前読んだものと比較してみると、イラストによる解説が少ないため「わかりやすさ」ではやや分が悪いものの、一つ一つのエピソードは少し詳しく説明されているようにも感じます。
とはいえ、渋沢栄一という人物が遺した業績は数が多く、その活動の幅を網羅しようとするとどうしても一つ一つの事柄には紙面を割けないという事情もあるのでしょう。「何をやった人?」という全く知識がない状態から、「日本で初めて銀行を作り」「株式会社を作り」「資本主義の父」と呼ばれるに至る経緯をぼんやりとイメージできる、というところまでは成長できたように思います。
ただ、今の日本社会の礎を築いたとされる渋沢の活動が、当時の経済状況の中でどのような意義を持ち、また現代にどのような影響を与えているのか(どういった意味で「資本主義の父」とされるのか)という点については、わかったようないまいちはっきりしないような、何とも言えない状態である、と言うのが正直なところです。