粋な魔法使いのお話
2022/10/15 13:58
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投稿者:ねこすき旅人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
雲雀坂にひっそりある魔女が営むお店を舞台にしたお話。見た目は少女だけど、長く生き英知を持った、気難しく依頼を受けてもめったに魔法を使わない魔女(翠)ですが、気になった人にはちょっとした魔法を使います。この物語では、女子中学生、画家、小説家、男子大学生が依頼主として登場しますが、翆は話を聞きつつも、しっかりとした観察眼(魔法使いとしての感性)で、本当に魔法が必要なのか、依頼者に謎のような問いかけをしながら、気になった依頼だけにちょっとした魔法をかけます。魔法を使わなくても答えを見つけられるものについては、魔法を使わず自然に答えが出るように後押しをそっとしてくれる魔女の生き方は、共感するとともに、思っていることは自分で声に出し、相手に伝えることも時には必要であることを教えてくれている気がしました。
余談ですが、物語に毎回登場するお店で出してくれるその人にあったハーブティは、読んでいて、飲んでみたくなります。
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情景が目に浮かぶ優しい物語。春夏秋冬の順で物語が綴られ、優しい気持ちになれる。
「春めく傷痕」は幼馴染み同士の話
「夏風の幸福」は画家と猫の話
「秋雨の道しるべ」行き詰まった小説家の話
「冬が明ければ」は兄思いの弟の話
「雲雀坂の魔法使い」は師匠と弟子の話
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わーい、円さんの新刊〜!と張り切って前のめりで読む読む。
デビュー作から(実際のところデビュー前から?)彼女の作品を読み続け、さいきんわかったことがあるのだけれど、円さんはいつだってわたしのベストオブ沖田円をアップデートしてくれるということなんですよね。
最新作を読むたびに、あぁこの作品がいちばん好きかも!と思わせてくれる。
だから次の作品を希ってしまうのです。
本作も隅から隅までぜんぶ好きだし(どのエピソードも好きでベストは選べない)、あぁきっとこのお店はどこかに存在してるなと思えるのです。
いつかきっとわたしも翠に出会えることができて、あなたは何をお求めに?と聞かれることがあるに違いない。
そのときは、まずは見立ててもらった美味しいハーブティーをがぶっと飲み干して、明日をがんばって生きる力をもらいたいものです。
特別な魔法は要らないから、ただ自分の足で立って億劫だった一歩を踏み出す『おまじない』が欲しい。
でもそれって、雲雀坂魔法店に行かなくても、この物語を読めば手に入るんですよ。
わたしにとって、沖田円というストーリーテラーは、翠そのものです。
素敵な魔法にかかったことだし、よし、明日もがんばるかな。
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2021.5.21読了
1.8
優しい物語。
「秋雨の道しるべ」を読んだ後にアレだけど……
展開が読めてしまうし、ひねりがない。(敢えて?)
ストーリーが記憶に残らず、私には物足りなかった。
安心して読みたい人にはいいのかも。
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逸る気持ちが、手が、止まらない。こんな経験は過去何度もあったが、本作は最終章で思わず一度本を閉じてしまった。決してつまらなかったわけではない。飽きたわけでもない。あまりに美しく、切なく、やるせない気持ちが溢れんばかりに次々と心と頭を駆け巡り、堪えきれなかったのだ。
槙が息を止めたタイミングと、私が本を閉じたタイミングは同じだった。それから何度も深呼吸をして、意を決してから再び物語を開いた。
どうして作品名が『雲雀坂の魔女』ではなく『雲雀坂の魔法使い』なのだろうと不思議に思いながらページを捲っていたが、こんなにも切なく意表を突いた展開が待っているとは……。
人は生きていく中で、何かを願い、何かに縋り付くことがある。その願いは想いであり、魔法でもある。誰しもが小さな魔法を持っていて、想いが今を希望に変えてくれることだってきっとある。
誰かを想うことは何よりも美しく、あたたかい。それを知ることができた今、私はきっと前を向いて生きていける。
それでも挫けそうになった時は、『雲雀坂の魔法使い』にそっと問いかけてみようと思う。雲雀坂へ行けなくても、この物語がそばにあればきっと翠に会えるのだから。
2021.5.17 読了
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凄く面白かったです!読み終わったら映画を見たような感覚になってしまいました!
猫と画家さんのお話と兄弟のお話が特に好きです。
前に踏み出す勇気を貰えた気がします。
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魔法使い・魔女が普通に街に住んでいる世界でのお話。それ以外は至って普通というのがファンタジー。
もし現実世界に魔法使いが住んでいたら、凄い騒ぎになるだろうにそうなってない世界。
お話の中では、猫同士の会話で、老画家の願いが叶えられるっていう話がよかったかな。
最後の魔法使いの話は、最初翠のところに男の子が来たのだとばっかり思って読み進んだけど、実は翠の話だったという、ループのようなお話だった。
どの話もお互いを思いやる優しさに溢れる登場人物が愛おしい。
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最後まで読むと何故無闇に魔法を使わないのかの本当の意味がわかります。
最後のおはなしでひっくり返された感が。
それを踏まえてもう一度最初から読むとなるほどというフラグがぽろぽろ落ちてました。
色が鮮やかになっているということは折り返し地点。まだまだ大丈夫でしょうが、いつかは。
切なくなります。
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魔法で人助けをするお店を開いている(ただ魔法は気まぐれてしか使わない)魔法使いの所に様々な悩みをもったお客さんが来るお話。5つの話で編成されててどれも優しくて心が温まるけどなんとなく展開が予測できる良くも悪くも王道ストーリーだったかな。魔法使いと石は切っても切れない関係で色も人それぞれ。魔法を使うことによってその石の色が少しずつ変わっていく、それによって…ってところに少しまどマギを思い出した。雲雀町、緑が多くて道が狭くて石畳のそれほど栄えていない小さい町を想像していた。現実だとフランスのエギスハイムみたいな!余命あと少しの画家と猫の話が一番好き。
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はー凄い好き。雲雀坂の魔女と魔法を求める人々の話。それぞれに願いや想いがあって、登場人物皆好き。どれも好きやけど小説家の話が1番好きで何か泣きそうになった。多分村山早紀さんの影響やけど、魔女の話が好きで、他の魔女小説も読みたいなぁ、と。
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沖田円さんの本は初めて読んだ。正直なところ最初は魔法使いという不思議で可愛いタイトルと、絵が可愛くて購入しました。全ての話がこんなに胸に残る小説はなかなかないと思います、この本に出会えたことが2022年幸福なことに入選しております。
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雲雀坂に魔法使いが住んでいた。人間は色んな思いを持って魔法使いの元を訪れる。大事な人への思いがたくさん込められた涙無しでは読めないお話だった。私が魔法使いの元を訪れるならなんの願いを持って行くだろう。
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悩みや葛藤、後悔を抱えた人々が魔法を頼って魔女が住む街へやってくる。
でもいくらお金を積まれても魔女の気が向かなければ魔法は使ってくれない。
迷う人に幸せと本来あるべき姿に導いてくれる物語。
そして、表紙の深緑のローブを纏ったの魔女、、、
実は、、、最後は、ちょっとびっくり仰天な最後だった。
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雲雀坂魔法店を訪れる、様々な人々。頼めばなんでも叶えてくれるわけではなく、その人に“考える”ことを薦める翠のスタンスが温かくて良いなと思う。物語が書けない小説家のお話と、最後のお話が好き。