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ジャーナリストの書物は元来、あまり好きでは無かったがこの本は違う。
多面的に問題を捉え、矛盾の指摘、客観的な論証が出来ていると思う。
企業倫理に学生時代から関心があり読んだ。
興味のある方はぜひとも手に取っていただきたい。
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力作。
世間一般の評価と実態の乖離に驚いた。
年齢ではく、人間性の本質、なんだな〜。
それにしても、積水にお勤めの皆様、ご苦労様です。
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とても面白い!
不動産の知識面とガバナンスの両面から、とても勉強になる本。また海外ビジネスの拡大という意味でも勉強になる。
五反田海喜館の土地を地面師に60億円騙し取られた積水ハウスの話。
小林興起氏の名前も出てくる。預金小切手で支払われた。マネロン?
仮登記で逃げるのが普通な地面師詐欺だが、本登記で60億円まで振り込まれたという謎の答えは、内通者がいること。。
ディテールにさりげなく謎かけを残しておく書き方が憎いw
旧時代の実力者和田氏と地面師詐欺事件の首謀者でありクーデターを起こし和田氏を解任した阿部社長。。。その後積水ハウスは増収増益。。
表面上の印象である旧来のイケイケどんどんのビジネススタイルから堅い財務重視スタイルへの経営方針への移行とみるか、、、それともガバナンスが全く効いてない問題なのか。。
諸々複雑なことが偶然重なり合って起きることってあるなぁと思いました。
また、「コーポレートガバナンス」は「企業統治」と訳されている。その結果、コーポレートガバナンスは内部統治=経営陣による社員管理と誤解されている。本来は、株主による取締役・経営執行陣の管理のこと。っていう説明があって、再認識しました。
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こういう保身や汚職、不祥事がでる企業は制度や運用云々の前に、組織の土壌が腐っている。人身一新しない限りは本質的な仕事はできないんだなと、、そういう企業には入らないようにしようと思った。
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不謹慎な物言いになるが、面白かった
読んでいて思ったのは
失策の責任は取らずにトカゲの尻尾切り
情報は正確に開示しない(開示請求には応じない)
監視(と罰則をちらつかせ)による恐怖政治を敷く
株主総会では聞かれたことに正面から答えない。
あれ?これって何かに似てる…
株主ではないので積水ハウスに物言うことはできないが、投票券は持っている。
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積水ハウスで起きたクーデターについての本。
同社が被害にあった地面師による詐欺事件をきっかけに、当時の和田会長が社長をクビにしようとする。
和田会長はカリスマ的な経営者であり、その頃はもっぱら海外事業に取り組んでいた。
会長にとって地面師詐欺は寝耳に水だった。
詐欺グループはいくつか大きなミスを犯しており、積水ハウスにも詐欺であることを知らせる警告が各方面から寄せられていた。
社長以下の担当者がなぜ騙されたのか、不可解なほどであった。
そのため、第三者委員会は社長の免責辞任は避けられないと結論づけた。
しかし、取締役会は多数派工作により社長派が過半数を占めていた。
会長は海外事業に専念するあまり、社内政治への注意を怠ったのだ。
その結果、社長の解任動議は否決されてしまう。
そればかりか、逆に和田会長が積水ハウスを追われ、クビになるはずの社長が会長に就任してしまった。
本書では、詐欺事件の詳細とクーデターに至った経緯、その後の顛末が詳細に描かれている。
もっとも強く感じたのは、日本の会社には真の意味でのガバナンスが根付いていないということだ。
企業にとってのガバナンスとは株主、さらには社会にとって利益となるよう自身を律し、説明責任を果たすことだ。
実際には、会社を私物化してしまう経営者が後を立たない。
日本は資本主義を輸入こそしたが、根本にある理念は浸透していないということなのだろう。
また、きっかけとなった地面師事件については、積水ハウス社内に詐欺グループとの内通者がいたことが示唆されている。
50億円以上の金がだまし取られ、その大部分が闇へと消えたのだ。
犯人グループの立場になれば、多少のお金を渡してでも積水ハウスの社員の協力をあおぐはずだ。
反社会的な勢力の影響が会社に及ぶことを防ぐにはどうすればよいのか、考えさせられた。
社長派の方々が取材に応じなかったため和田会長側寄りの内容にはなっているが、綿密な取材に裏づけられた良書である。
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「女帝小池百合子」を読んだ時も思ったが、こんな丹念な取材をして本にしてくれる人が居る、ということが少しホッとする。そして資本主義社会は限界に近いのだろうなあ、とも思った。
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『保身 積水ハウス、クーデターの深層』 藤岡雅 (著)
2017年6月1日に積水ハウスは地面師に騙され、取引総額70億円、55億5900万円を支払った。
事件の舞台は、東京都品川区の山手線五反田駅から徒歩3分の立地にある旅館「海喜館」の旅館敷地600坪。そんなことがあるのだと思った。森功の『地面師』を読んで、地面師の手口は実に巧妙で用意周到なのだ。地面師チームは、役割分担がきちんとされる。一番肝要なことは、地主になりすます人をどうリクルートするかにある。地主への徹底したリサーチとそれに基づいた偽地主の作り方と証明書の偽造。まさに、職人技が発揮される。
本書は、積水ハウスの会長が辞任したということから、それは解任であり、なぜ解任されるクーデターが起こったのか?を執拗に追求していく。
2018年1月24日の取締役会では、和田が「詐欺事件について責任を明確化する」として、地面師に積極的に関わった阿部の社長解任動議を出したものの否決される。その後、阿部が「新しいガバナンス体制を構築する」として、和田を解任する動議を出したところ、和田が解任させられた。和田は阿部の責任を追及したはずが、返り討ちにあった内紛劇があった。まるで、映画のようなことが日本で起こっている。土地購入の承認を得るための稟議書承認の際、4名の回議者が飛び越され、予め現地視察をしていた社長が先に承認した。回議者全員が押印したのは手付金支払後だった。
やはり、社長の判断がこの事件を引き起こした。社長はそのことを隠蔽しようとする。騙された上に、隠蔽するから、事件はややこしくなる。「日本人はウソを言うと怒りますけど、隠すことには抵抗がない」と指摘する。
経営トップの不正を監視して、制御する機能は日本にはないと言う。
著者は、法務局が本人確認せず、司法書士などの書類が揃って居れば認めるという登記の問題を指摘する。また、そのお金は振り込みでなく、小切手だった。それを扱った銀行が三菱UFJ銀行。支払われた会社は、ペーパーカンパニーだった。銀行には責任がないと言えるか?
本来なら騙されるはずのない事件。日本の土地登記のシステムとそれに関わる銀行の安易さ、会社のトップの判断ミスを指摘できない仕組みなど、地面師が暗躍できる空間があることを、見事に浮き彫りにした作品だった。
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積水ハウスが55億円の詐欺被害にあった地面師事件に絡み、社長の責任を追求しようとした会長が逆に辞任に追い込まれたクーデターから3年近く経ち、事件の裁判や株主提案を経た2021年5月に刊行された本。
「事実は小説より奇なり」と言うけど地面師事件そのものは面白いけど小説どころか「絶対やっちゃアカン取引」啓発ビデオくらいにしかならなそうなお粗末なもの。対して、失脚させられた会長はじめ老兵たちが真のガバナンスを求め米国関係者を巻き込み捨て身の株主提案を行うまでの流れは胸が熱くなる。
クーデターにまつわる実際のところは一方からではわからない。が、裁判時の提出資料などをもとに書かれていて信憑性はある程度担保されているし、何より後半での真のコーポレート・ガバナンスとは何か、そして日本でそれを実現しようとするのがいかに難しいかについてが面白くて魅力のある良書でした。
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クーデターとは、革新派が保守派を倒す構造なのかと思っていたが、こんなパターンもあるのか。
欧米式株主至上主義には全く賛同できないが、日本式経営家族主義も闇は深い…。
経営の新しいカタチを生み出せないものだろうか。
組織の統治は構成員の納得感と信頼感に支えられている、か…。
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民主主義における「少数意見の尊重」と「多数決」が、資本主義における「少数株主保護」と「資本多数決」に繋がってる。「憲法」の概念が「コーポレートガバナンス」になってる。最終的にはそう整理されて、その観点から地面師以降の積水ハウスを捉えている。経営の安定性を、その中身ではなく、仲良しクラブでの株の持ち合いに求めたのが日本流経営で、中身がないから限界が来てるのが今の低迷なんだろうと思った。
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五反田にある謎の廃墟「海喜館」をめぐる積水ハウスの詐欺事件とそれから起こるクーデター。
調べれば調べるほど「なぜ騙されたか?」と疑問に思うほどのずさんな地面師の手口と、社長案件だからと無理筋決裁に進めて行く当時の積水ハウス経営陣。
社長を譴責→追放しようとした会長を逆に解任してしまい、自らの失策の責任を取らないままに被害者として事件を隠蔽する経営陣を追及する各種取材。
オリンパスと何も変わらない日本の大企業の暗部を改めて白日の下に晒した一冊。
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地面師事件に端を発した積水ハウスの内部紛争の顛末を記した一冊。クーデターを起こした側が取材を基本的に受け付けていないので、見方が偏っている可能性もあるが、とても迫真に迫る出来栄えであった。ここまで書かれても反論等をしなかったり取材に応じないということは、書いてあることが相当に事実に近いということになるのか。そうであれば社員は本当にかわいそうだと思うし、これでは誇りをもって働くことなどはできないのではないかと思うけど、大きな会社だから、どこか遠いところで起こった出来事という感覚なのかな。
前半は事件や会社内部の動きがリアルで面白く、後半はコーポレートガバナンスのくだりがとても印象的だった。これまでコーポレートガバナンスというのは、この本の登場人物も言っている通り、インナーコントロールと勘違いしていたかもしれず、本当の意味に近いところが本書で理解できたように思う。個人的にはコーポレートガバナンスをもっと深ぼって学んでいきたいと思った。
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一人の記者が、一連の騒動の当事者「の一部」の取材を基に書いたものという点は割り引いて読むとしても、
日本企業における企業統治の特徴をストーリーで学べるという点にこの書籍の価値があると思う。
事件のインパクトの大小はあれど、どんな企業においても、積水ハウスの一連の騒動の萌芽を抱えているのだろうと思う。社長案件の名の下にスピードばかり意識してリスクチェックが疎かになるくだりとか。
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Amazonオーディブルで聴いた。
面白かった。
積水ハウスの地面師事件は、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」よりこちらの方が詳しいくらいだった。
信じられないほどの積水ハウスの杜撰さ…何度も取引から手を引く機会はあったのにねぇ。
積水ハウスの代表取締役解任について、クーデターを起こした側の取材ができていないので和田会長寄りになってしまうのは仕方ないにせよ、普通こういうのってもう少し双方にもっともな言い分があるものだけど、本件ではクーデターを起こした側に何の正当性もなさそう…。
理由が保身しかなくない?
読んでて阿部一派?にイライラしてしまった。
ガバナンスを無視しまくった人がガバナンス、ガバナンスと言うのは何なんだ。