戦争の本質は人が無残に虐殺されること
2022/04/20 11:23
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
まさに墨子が読まれるべき秋でした。中国古代、戦国時代に生まれたとされる墨子に関して、あまりにも知らな過ぎた。いかなる戦争にも正義はないと訴え、非戦・非侵攻を主張した。あまねく人を愛すること「兼愛」を必要とし、平和のために奮闘努力せよと叫び続けた。天下の治乱は政治家や官僚たちの判断決断により生じ、人の幸不幸は当人の努力次第と考えていた。著者は亡くなる前日、墨子を読みなさいと告げたという。今こそ、読むべき時であろう。
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国古代、戦国時代に生まれたとされる墨子に関して、あまりにも知らな過ぎました。いかなる戦争にも正義はないと訴え、非戦・非侵攻を主張しました。あまねく人を愛すること兼愛を必要とし、平和のために奮闘努力せよと叫び続けました。初めて知りました。
「墨攻」で知った墨子
2023/05/14 18:10
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投稿者:ヒトコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
酒見賢一さんの「墨攻」で墨家の事を知った。半藤さんのお父様がおっしゃったように、世界から戦いがなくなることはない。
しかし、その時その時にきちんと戦争の芽をつぶすための奮闘努力をする。それが「非攻」を目指した墨子の行動。
「平和には戦争以上の努力と忍耐が必要なんです」という中村哲さんの言葉に通じるのだと思った。防衛の為の備えは
必要だが、周りに脅威を感じさせてはいけないし、軍備以外の外交努力も必要だ。
また読みたい古典が増えた
2021/11/24 16:41
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投稿者:dsukesan - この投稿者のレビュー一覧を見る
墨子は、名前は知れども、中身は知らずで、特に関心もなく過ごしてきた。けれども、半藤さんが、読みなさいというからには、何かあるのだろうと、読んでみた。
本書は、導入編といったところで、墨子の何たるかは、今一つわからなかったけれども、墨子をねたに縦横無尽に古典の知識が展開される。墨子の兼愛、非攻、任侠、天、など色々な概念。日本国憲法の9条の精神的根拠になりそうな気もした。墨子も、いつか翻訳した原典に当たってみたいと思う。
巻末の中村哲さんとの対話が圧巻。西欧的な民主主義を入れないと人間は幸せになれないというのは驕り。経済や社会制度が変われば至福が来るという風潮への疑念と、人を殺して、戦争してまで、その社会制度を取れという押し付けが正しいのかという問いは、大切な問いだと思った。
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著者の半藤一利さんの著作は、今までも何冊も読んでいますが、今回の著作は扱っているテーマがちょっと毛色が異なっていたので気になって手に取ってみました。
ご存じのとおり「墨子」は、中国戦国時代、諸子百家の墨家の開祖で平和主義・博愛主義を説いたと言われています。
本書では、この墨子の論をまさに半藤流の語り口で縦横無尽に解説していきます。ところどころでの確信犯的な脱線のトピックも楽しいですね。
ただ、この著作で高らかにうたわれている半藤さんのメッセージ、「非戦」への決意はとても大切な志だと思います。巻末の中村哲さんとの対話の内容も併せて思うに、お二人ともとても素晴らしい方だったと本当に残念でなりません。
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墨子は、名前は知れども、中身は知らずで、特に関心もなく過ごしてきた。けれども、半藤さんが、読みなさいというからには、何かあるのだろうと、読んでみた。
本書は、導入編といったところで、墨子の何たるかは、今一つわからなかったけれども、墨子をネタに縦横無尽に古典の知識が展開される。墨子の兼愛、非攻、俠、天、など色々な概念。日本国憲法の9条の精神的根拠になりそうな気もした。墨子も、いつか翻訳した原典に当たってみたいと思う。
巻末の中村哲さんとの対話が圧巻。『西欧的な民主主義を入れないと人間は幸せになれないというのは驕り。』経済や社会制度が変われば至福が来るという風潮への疑念と、人を殺して、戦争してまで、その社会制度を取れという押し付けが正しいのかという問いは、大切な問いだと思った。
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故・半藤一利さんの著作。非戦への奮闘努力として古代の思想家の墨子を解説。いつも通りといえばそれまでだが、脱線が多すぎて読みにくかった。しかしながら、理解したところでは、
・兼愛・非攻の精神でどんなケースであれ、誰の利益にもならない戦争は身を挺して止める
・そのためには、縦横無尽に王や士大夫を説得して戦争の未然防止らに勤める
・天を奉ずる点では儒家と同一だが、天は抽象的の存在ではなく鬼神を使わして実際に懲罰を加えるもの。お天道様に反した行いはすべきではない。
・運命論・宿命論には反対。未来は行動によって変えられる。
・墨守というが、戦争絶対抑止のため、攻められた側に加担して、土木工事や加工技術を駆使して絶対に守り切る戦をした技術集団が墨家。
ということ。なるほど、専守防衛のもと平和維持を諦めずに全力を尽くす。義に反する行動はしない。今の我々に必要な考えだと思う。
別の著作でもうすこしちゃんと読んでみたいと思うが、関心を持たせてくれるきっかけとなったという意味で本書に感謝したい。
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著者自身が文中でもあとがきでも書いているように、脱線話が多く、墨子に興味があって読み始めた者にとってはいささかイライラする。著者にしてみれば、その方が軽い仕上がりになって読者にとっても読みやすくなるだろうとの思いもあるのだろうが、著者と同時代を生きた読者にはともかく、若い読者の感覚にはそぐわないように思う。著者の言わんとすることは若い読者にこそ届けたいものであるだけに、そこが残念だった。もうすこしオーソドックスに墨子について語ってほしかった。ただ、巻末の中村哲との対談はよかった。短い紙幅の対談でありながら、アフガニスタンの現状や中村哲の活動とその思想が本当に読みやすくわかりやすく語られている。この部分を読むだけでも、この本を読む価値があると思った。
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あまねく人を愛する思想とか、古代中国にあって非戦を解き、非戦をつらぬくためにむちゃくちゃ戦争に強かったとか、虚実あるのかもしれないけれど、関心をもって読んでみた。うーん。半藤氏のくだけ方がちょっと昭和風できつく、ちょっと肩透かしを食った気分。面白くはあったと思うんだけど、あの人も墨子の系譜、あの人も墨子を読んでたんじゃないか、なんて展開させるやり方は、読みやすくはあったものの、ちょっと軽かったかな。軽さについては、あとがきで著者からの説明があったけどね。まぁ、墨攻とか、読んでみたいとは思ったかな。
中村哲氏についても書いてあったし、対談もあったんだけど、思ったよりは短かった。中村氏については、やっぱり単著を読むべきだろうな。
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うーん、ちょっと思っていたのと
違っていた感じ。
ペシャワール会の中村哲さんとの対談が
興味深かったな。
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著者の作品は、一度読んでみたいと思いながら、数冊が積読状態になってしまっているんだけど、個人的教養文庫フェアブームに乗って、いよいよ読んでみた次第。以前、”墨攻”の漫画化を最初の方だけ読んでなかなか面白かったけど、本作に触れて、その思いさらに膨らむの巻。何より、徹底した非戦論が好もしい。儒学とは似て非なるもの、ってのもなるほどって感じ。氏の他作品も、順次紐解いていきたい。
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墨子よみがえる
講談社学術文庫の『墨子』は前に読んだことがあって。
(今見直したら2011年…え、そんな昔!?)
思想の全体を理解したとは言い難いとはいえ、今でもずっと気になる思想家の一人。
それを半藤一利氏が解説するとなったら、読まねば。
結論から言えば、思ってたんと、ちょっと、だいぶ、違った。
墨子の解説を求めてる人には全くおすすめしない。
いつもの半藤さんのお話を、違ったエッセンスを加えて聞きたい、という人は是非読むべき。
巻末の中村哲氏との対談は必読。
愛って、強くて弱いんだなって切なくなった。
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読書で久しぶりに感動した。『墨子』は最近続けて諸子百家を読む中で、知名度も低かったのでなんの期待なく読み始めたのだが、半藤一利氏の歯切れのいい文体や筆者を「隠居」、編集者を「おろく」と呼ぶ会話形式で敷居を低くしてくれたお陰で、すんなり『墨子』の世界に入ることができた。半藤氏のお名前を知ったのも亡くなったというニュースが初めてだったので、それまで知らなかったことが非常に悔やまれた。世界各地で相変わらず戦争が頻発する現代に、「今こそ『墨子』が読まれるべき」という半藤氏のストレートな意見は溜飲の下がる思いだ。墨子が「兼愛」「非攻」を掲げるも受け入れられなかったのは時代に握りつぶされたからだろうか。それとも弊害となる側面があったのかはまだよくわからない。しかし、「知らない」ということが大きな損失だと痛感した。また、特別附録『中村哲さんに聞く』も良かった。半藤氏は中村哲さんを「現代の墨子」として紹介されていることに全く同感し、つくづく中村氏の死が惜しまれてならない。世界には土地や民族それぞれの幸福感があるのだから、我々の価値基準で判断してはならないと思った。どちらもこの世にいない今、残された言葉はしっかり受け止めたいと思った。