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面白くないわけがない、テリー伊藤の評伝。しかも著者は『上野アンダーグラウンド』、『全裸監督』の本橋信宏。
冒頭の、オリバー君(人と猿の間の生物ではないかと言われた)をホテルのスイートルームで接待した(騒ぐので檻に入れて蹴飛ばしたら大人しくなったという)エピソードから始まり、学生時代にデモで投石が目に当たった壮絶な体験と医者と看護師の無慈悲な言葉により斜視になってからの人生模様に、一日で読み終えてしまった。
面接では一点でも良いところがあったら他はダメでも採用する、ただ性根の真面目さとか礼儀は重んじる、ADにも白いパンツを履かせ、スタイリッシュさを求めるなど、伊藤の部下を見る目や育成に着目して読んだ。
『テレビに出たいやつみんな来い!』ってものすごく印象に残ってるが、たった10回しか放送されてなかったのか、と驚いた。
エンディングの美しさを含め、満点の本。
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やっぱり文章だけだと熱量が伝わらないので、ここはひとつNETFLIXに映像化してもらわないと。その際は当時のテレビ画像をふんだんに使ってね。
ただノスタルジーは少なめで。
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書籍版『全裸監督』を執筆したノンフィクション作家で、テリー伊藤と旧知の仲でもある本橋信宏によるテリー伊藤伝。
読みやすく大変おもしろかった。著者自身がテリー伊藤の人となりや仕事ぶりを、駆け出しの頃からよく観ていたのだろう。関係者へのインタビューも多いし、丁寧に取材したであろうことが伺える。高く評価されるべき一冊だと思うけど、その割にはあまり話題にのぼっていない様子で意外。
人との縁は人生を大きく左右する。テリー伊藤がIVSに入社するいきさつや、採用する側になった時に友達多そうな奴を採用する、という下りを読んで改めてそう思った。
今となってはテリー伊藤はテレビに出る側の人間という印象があるが、ディレクター時代にどんな仕事をしてきたのかよく知らなかった。「たけしの元気が出るテレビ」や「ねるとん紅鯨団」はちょくちょく観ていたけど、それにテリー伊藤がどう関わっていたのか知らなかった。子供の頃に「びっくり日本新記録」をおもしろく観ていた記憶がうっすらあるけど、あれにも関わっていたとは知らなかった。
この本を読むと、日本のバラエティー番組に(海外の番組にまでも)テリー伊藤の演出が与えた影響がよくわかる。特に、テレビ番組で素人をどういじるか、という点について、テリー伊藤の影響を抜きにして語ることはできないだろう。
今のガバナンスやポリコレ、労働に対する基準とはかけ離れた部分も多そうだし、テリー伊藤本人もなかなか問題のある人物であることが伺えた。しかし、最後の斜視を治療した章にはぐっときた。左目が話しかけてきたのだ。「なんで放っておいたんだよ」テリー伊藤が答える。「ごめんごめん。もっと早く治せばよかったね」しかし、もし若い時に斜視を治していたら、よくも悪くも今のテリー伊藤はいただろうか?