スモールコミュニティを描いたミステリーの新境地。
2021/11/26 20:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
捜査が進むにつれ、スモールコミュニティの抱える闇が浮き彫りになっていくミステリーは目新しくはない。
本作もその類のミステリーなのだが、従来のスモールコミュニティを描いたミステリーとは一線を画す。
というのも、偏見や噂に惑わされることなく真実を追求する揺るぎない正義感を持った主人公・ピップのキャラクターが、スモールコミュニティを描くミステリーにありがちな陰鬱さを吹き飛ばしてくれるため、扱っているテーマとは裏腹に読後感はどこか爽快感すら感じることができるのだ。
また、ピップが調査で手に入れた証拠を文字だけではなく地図やイラストなどを用いている点も魅力の一つ。
SNSのトーク画面や手書きメモなどをそのまま画像として載せることにより、臨場感はもちろんのこと、ピップと同じ目線に立って事件を追うことができる。
それらのマルチメディアに隠された真相に気付くことで、ピップの追体験ができるようになっているのだ。
それらの他にも、容疑者同士の知られざる関係性やピップが大切に思っている人々の知られざる一面などが明らかになる展開により、読者は物語がどこに終着するのか予想できない。
個人的には余りにも容疑者を増やしてしまったが故に、誰もかれもが怪しく見えすぎて真犯人が明らかになった際の驚きが薄れてしまったのが少し残念だった。
しかしそれでも本作のリーダビリティと魅力的なキャラクターは一読の価値有りと言える。
暗澹たるミステリーではなく、読後感に心地良さを求めたい方には是非ともオススメ。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
五年前の女子高生殺人事件という暗い事件のはずが、読後感がいい!それは、多分、ピップとラヴィの性格によるものなのだろう。明るいミステリーを読みたい方、オススメですね
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自由研究で過去の殺人事件の真相を探る青春ミステリ。登場人物誰もが怪しく見え先が読めない展開に夢中に。主人公の探究心と行動力も気持ち良い。作業記録やマップ、iPhoneなど最新ガジェット、映画ネタなども登場するのも面白かった。
各ミステリー誌の今年のランキング系の評判通り個人的にも『ヨルガオ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ著)と並んで今年の海外ミステリーNo.1候補です。この2作本当に甲乙付け難いです。
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これがデビュー作とは驚き!
高校生の少女が5年前の少女失踪事件の真相を探るミステリー。主人公の純粋で、まっすぐな性格がとても魅力的。ネットを駆使して疑わしい人物たちの関係性を暴いていく所は、まさしく今っぽく、非常に面白かった。
ラヴィとのその後が気になる所なので続編の日本での発売を待ちたい。またNetflixあたりでドラマ化にうってつけの作品だと思うので、そちらの方も期待。
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めっちゃ面白かった!!!
注意⚠️わんこが死にます……
容疑者に、インタビューしていく形式で話が進んでいくんだけど、主人公が真犯人を見つけ出すために、かなり無茶をしたりするのが、少し苦手…見つかったらどうすんの…って感じだったけど、話としてはかなり面白かった。
登場人物が割とサクサク出てきて、話を聞くたびに、最有力容疑者がコロコロ変わっていって、二転三転してすごく面白かった。
最後のスピーチも感動したし、gw中に読んでよかった本になりました。
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「英米でベストセラーの謎解きミステリ!」という帯に魅かれて読みました。
内容は女子高校生のヒップが、リトル・キルトンで五年前に、アンディ・ベルという17歳の少女が失踪し、遺体は見つからなかったものの恋人のサル・シンが容疑者とされ、森の中で自殺したという事件を、サルの弟のラヴィ・シンとともにサルの無実を晴らそうと調べていくというものです。
狭い町の中の事件で、怪しい人物がどんどん出てきてピップとラヴィはページが進むごとに容疑者をどんどん増やしていきます。
でも、581ページ中470ページまでは「どうしてこれが大ベストセラーなの?」と思うくらい淡々としていてちょっとつまらなく感じました。
でも470ページを過ぎたところで真犯人がわかってからは「やっぱりこれ、面白い!」と思いました。
そして狭い町で起こった事件なのでピップは犯人と繋がりのある、自分の友人たちのことまで考えて行動します。その為に自分が危ない目に遭ってしまうのも何のそのなんです。ピップの勇気と真心と行動力は凄かったです。
ピップとラヴィのコンビもよかったです。何か進展を思わされました。
もちろんシンの無実は証明されましたが、この物語でも最も人のよかったシンが還ってこないのだけは泣けるところでした。
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五年前に一人の女子学生が行方不明になった。そして、彼女と付き合っていたボーイフレンドが自殺し、彼が犯人とされ、事件は終わった。
その五年後、彼の無実を信じて一人の女子学生が自由研究として調査を始めた。
それは人々のいろいろな顔を暴きだすことにもなるのですが……。
ほぼ一気読みでした。いやぁ、面白かったですね。これが初めて書かれた作品とは思えないですし、翻訳者の方も素晴らしい!
ミステリなので読んでくださいという感じになってしまいますが、このところ新人のミステリ作家さんに当たりが多くて私はご機嫌です。
シリーズとなり、三冊目も出ているそうなので、早めに翻訳、発売お願いします(笑)
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読みやすかったし現代の技術駆使しててよかった。物理的に壊されてもバックアップがあるのって強い。
素人が事件解決するにはこれくらいの力業が必要なんだ…自由研究の域ではない……。
犬が死んだのが一番悲しいんだが、そのためだけにその存在を出すな!ただ愛でさせろ!と思いました。
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海外ミステリー、数年ぶりの読書。
登場人物と本の厚さで読む前から挫折感ありでしたが、内容に入り込めてしまいました。
主人公の女子高生と一緒に犯人は誰だ!と探し求めてる自分。
解き放してる中、家族、姉妹、環境からなる事件、友達からの裏切り行為、理不尽な事も出てきて嫌悪感もありましたが、主人公の女の子が偏見など物ともしなく、ラヴィと一緒に行動していく姿に惹かれました。
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ミステリと青春小説の融合。ティーンの暗黒面やコミュニティの閉塞感、人種差別など、暗く重たい題材を扱いながら、読み口はライトで爽やか。主人公のピップやその周辺の登場人物のカラッとした元気よさが読んでいて気持ちよく、読者の間口を広げてくれそう。
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2021年の話題作だから、と考えなしに購入したが、触れる機会の少ない海外文庫であることと本の分厚さに、読み始めるまでに時間を掛けてしまった。
日本語とは違う、訳文特有のものがあった。
言い回しや会話の中で登場するジョークにはピンと来ないものもあったが、全体を通して、一読でスッと理解できた。
登場人物は多くない。
人物相関図は頭の中でしっかりと描けるが、調べるうちに一人ひとりの意外な一面が明らかになっていくため、物語が進んでも誰も容疑者から外れてくれない。
それが読み進める原動力となり、最後まで推理を楽しめた。
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ピップは五年前の女子高生アンディ・ベルの失踪事件を自由研究のテーマに選んだ。
自殺したアンディの彼氏サルが犯人ではないと信じているのだ。
サルの弟ラヴィを相棒に関係者にインタビューを重ねて調べていくが、調査が進むほどに知り合いの名前が「容疑者リスト」に増えていく。
テーマにした事件は町内で起こった事件なのだ。
〇文句なく面白かった。自由研究ということで、記録の取り方やインタビュー、仮説など丁寧に進めてる。LINEやメールのやり取りなど現在の調査だな~と。
一緒に謎解きをしている臨場感がある
ピップとその家族の信頼感あふれる明るさ、学生らしい前向きさと幼さ、成長するYA らしさもある。
調査といっしょにケンブリッジ受験も並行してチャレンジしているのがスゴいわ
〇“モンスター”はいないというメッセージ
〇ラヴィはいいやつだ。よく、くさらずに頑張った
〇コモン・ロー違反について。
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読んでいて、何となく懐かしさを感じ、何故かなと思っていたんだけれど、文体というかノリが、中高生の時分に読んでいた、『トラベリング・パンツ』とか『プリンセス・ダイアリー』のシリーズに似ているんだ。ティーンエイジャーの女の子の日常。
そこに殺人事件が絡んでくるから、もちろんもっとこちらの方が物騒ではあるんだけど、感覚としてはあの頃夢中になって(多分あこがれつつ)読んでいた物語に近い。
主人公ピップ(ピッパ)の人物造形が素晴らしく、誰もが好きになって応援したくなる女の子で、頭の良さと正義感も申し分ない。学校の「自由研究」で過去の殺人事件を調査する、というのは少し突飛といえばそうだろうか。
親友の女の子たち、自由研究のパートナー、両親や弟、学校の仲間たち……ピッパの夏の大冒険(にしては悲劇と危険が多すぎるが)、今どきのSNSやメッセージアプリというツールを上手く使いつつ最先端の少女探偵が見出す真実。
ピッパはとても良いジャーナリストになるだろう。
続編も刊行されるようなのでとても楽しみ。
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わたしが長々と語るより、とにかく読んで欲しい。
読んでくれたらわかる!!
むしろ予備知識なんかなにもいれずに読んでえええええ!!(叫
と言いたいくらい、とにかく最高の一冊でした。
ピップ、君に惚れたよ。
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高校の自由研究で殺人事件の解明を始めたピップ。犯人とされた人物は無実なはずだということで始まる調査。謎がいくつも提示され、調べ、また振り出しに戻ったり少し進んだりの繰り返し。そのなかでピップの人柄がとても魅力的でそれだけでこの作品は面白い。でもそれだけではなくてミステリーとしての、謎解きの部分の面白さ、事件の奥に隠されているもの、人間の愚かな部分が見えてきたりと色んな面から楽しむことができる。相棒のような役割のラヴィとのコンビもよくてずっと二人のやりとりを読んでいたくなるし、この本の世界から出るのが嫌になるような最後まで楽しませてくれる作品。