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義経公の旅は続く…
2022/10/16 18:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
頼朝公と義経公の決裂から静御前との別離が描かれる第二巻。
流人に過ぎなかった頼朝も北条・伊東の後ろ盾を得て、今ではすっかりひとかどの大将である。幕府のこれからを考えると義経は明らかに敵になりうる存在だ。
史実としては『吾妻鑑』の記録が正確だろうと思う。『義経記』は基本的に小説だし、面白おかしく書き替えられていった経緯もあるので辻褄が合わない箇所もそこそこ含んでいる。
さて、この『ギケイキ』であるけれども、全体の構成は主人公の義経自身が過去を回想する形を取っており、自身が訳と解説を混ぜながらお話が進行していく。
本巻では唐突にあらわれる「常陸坊海尊」にもご注目頂きたい。突然現れて弁慶の大暴れに振り回される。
何者かは不詳だが超人だらけの本作では異質というか割りと普通の存在である。ちなみに『源平盛衰記』にも名前が見られるが史書には出てこないので架空の人物とみて良さようだ。
これという見せ場はなく住吉の合戦ではただの船頭でしかない。その後には遁走してしまうのだが、このあたりは次巻で書かれるだろう。どういうわけかその後、人羹(にんかん、人肉)を食べたとか、人魚の肉を食べたとか妙薬を飲んだとかで不老不死になったらしい。
伝承ではあるが『清悦物語』では、この常陸坊海尊が清悦と名を変えて逃亡を懺悔したり、源平のあらましを克明に語ったりいった伝説も派生している。不老不死では「八百比丘尼」の存在も知られるが、こちらも源平の合戦に通りすがったりとなにかと尾ひれがついて回る。ご興味があれば、柳田國男『東北文学の研究』、榎本秋『日本坊主列伝』、山田野理夫『東北怪談全集』等もどうぞ。
史実では平泉で自刃しているが、実は蝦夷に落ち逃れた、いや大陸へ渡って元として諸国を平定したとか「なんだッてェー!!おいキバヤシ!MMR出動だ!!」と荒唐無稽な伝承が数え切れないほど作られており、これも『義経記』の魅力と言える(MMRは荒唐無稽じゃないって?それは好きにして)。
話がそれたけれども『ギケイキ』では、当の義経自身が現代の我々に向けて話を投げかけてくる。義経公もまた不老不死の身を得ている、かどうかは分からないけれど、創作された諸々の伝承に乗って単なる現代語訳に留まらず背景や物語そのものを翻訳しようとしているのではないか。
成功すればとんでもない偉業である。だから町田康は面白い。
素敵すぎる。
2021/12/05 15:52
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投稿者:ナナカマド - この投稿者のレビュー一覧を見る
町田康の独特の文体で描かれた義経記、二巻目です。
一巻を読んで、「二巻では源平合戦での義経の活躍が描かれるのだな」と、
思っていたら、そこはカット…というか、もともとの義経記に記述が無いのですね。
知らなかった……。
命乞いする相手に対して、
「天知茂」と返す場面にめちゃくちゃ笑ったのですが、
これ、若い人に意味、わかるのだろうか……。
脳がしびれる感じ
2021/11/28 23:59
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投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
単行本が出たときにはビビって読めなかったが、文庫化を機会に購入読了。平家滅亡がすっ飛ばされてるのに驚愕だが、そうか、本家『義経記』がそうなんだなあ。知らんかった。相変わらず誰一人好きになれそうな奴は出てこないが、混沌のエネルギーが溢れるような二作目。まさに中世という感じ。ともかく読んでるときに息継ぎが出来ない感じ。疲れるというか脳がしびれる。
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