未だに混沌した謎めいた時代としか感じられない重要な時代を読み解く貴重な大作。
2019/05/30 09:36
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
未だに混沌した謎めいた時代としか感じられない重要な時代を読み解く貴重な大作。対米開戦に代表される第二次世界大戦に至る国民意識を醸成していった1930~40年代。世界的にも様々な問題が渦巻いていたが、アジアでは欧米列強による植民地政策への抵抗問題が主流だったようだが、それにソ連からの共産主義化が絡んだのが問題を大きくしたか。そんな中で唯一植民地化を免れ先進国の仲間入りまで果たした小国・日本の立場は確かに微妙でしたね。こうした混沌とした状況の中で、関東軍を主軸とする軍部がどんどん暴走を開始し、国民までもがそれを支持していった狂気の時代。世界史は好きで詳しい方の私だが、この時期の中国・朝鮮辺りのことになると歴史的事件の羅列としては知っていても、今ひとつピンと来ない。何がピンと来ないのかも良く判らないのだが、やはりピンと来ない。そうした意味で、あくまでも著者の視点ではあるが、歴史的事件の間を補完して、一つの物語として見せてくれる本作品は歴史を考え直すための貴重な作品である。
アッ、もとい。本題。謎の関東軍特務機関員:間垣徳蔵に呼び寄せられるように歴史的事件に関与していく敷島四兄弟。S1では4人が満州に引き寄せられるが、本作S2では徐々にその立場を鮮明にしながら歴史的事件に関与し始める。あくまでも外交官として政治的解決を考える長男:太郎、微妙な違いはありつつも間垣徳蔵に操られるように謀略戦に取り込まれていく次郎・三郎・四郎。さてその行き着く先はまだまだ7巻も残ってる。遠くて長い。
S2は、1930年から1932年の上海事件まで。
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投稿者:Zero - この投稿者のレビュー一覧を見る
ついに満州事変勃発。しかる後、謀略の末に建国された満州国に未来があるとは思えない。もう少し平和的に建国できなかったものなのだろうか。建国理念はすばらしいと思うので。
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昭和6年の満州事変勃発。そして中国大陸に戦火が広がる。
謀略と武力で突き進む関東軍。
中国に集められた敷島4兄弟は、周りの状況に抗しきれず戸惑いながら、それぞれの道を行く。これから、4兄弟はどうなっていくのだろう?
理念と行動
満州進出から第二次世界大戦にいたるまでの日本政府、帝国軍にも、理念と行動はあった。
そして、理念の実現のため、状況を有利にするため、謀略や力業をよしとする当時の雰囲気。
翻って、現在はどうか?政府・国会、ネット。。。
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船戸与一の作品にしては、興奮度が少ない。
ハラハラどきどきがない。船戸節がさく裂ならず。
まだ「満州国演技」の序にあたるからか、満州事変の歴史の現実を我々が知っているからか
3巻目からを期待
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2作/9作。
満州事変、上海事変。
中学校社会科教科書じゃあ、ほんの2~3行の記述に過ぎない歴史が、重厚に語られる。
「歴史は小説の玩具ではない」と謳った筆者の執筆姿勢に依るならば、ここで語られる歴史は概ね史実に準じてるのだろう・・・と考えると、なんともやりきれないものが残る。
あの時、あれが無かったら……
あの時、ああされていたなら……と後付けで語るのも虚しい程に、様々な立場、信条からなる大きな流れに抗いようもなく日本は、歴史が刻んだ悲劇の刻へ向かって突き進んでいる・・・。
★3つ、7ポイント半。
2016.12.20.新。
※兵卒たちが血で血を洗う激戦を繰り広げている最中、将兵たちは昼の戦闘が終れば旅館に帰り膳飯を食して酒を飲み、政治を語らう……
当然のように営業を続ける宿泊施設や飲食店。。。
戦時の“獣性”を正当化するかのように市街地の婦女子を襲う……
部下が銃撃を交わしている真横で煙草を吸い…“陣中見舞”とばかりに箱ごと置き去る・・・。
非日常の極みたる“戦争”のすぐ隣に描かれる一部の人々の“日常”が、当時の悲惨を逆にリアルに浮き上がらせているのが、印象に残る。
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1928年~1945年の17年間の満州の歴史。登場人物4兄弟の視点で語られる。満州事変から第二次世界大戦終結までの流のなかで、南京事件、張鼓峰事件、ノモンハン事件、葛根廟事件、通化事件と有名な事件が次々と起こり、4兄弟それぞれの立場で事件と向き合う様子が描かれる。満州の歴史を詳しく知らなかったので、勉強になった。何が正しくてなにが正しくないのかなんてだれにもわからないと感じた。
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満州事変のことが書かれている。
満州事変とは、
満州(現中国東北部)の奉天(現瀋陽)郊外の柳条湖で1931年9月18日に起きた鉄道爆破事件に始まる日中両軍の軍事衝突。
と、信頼できるネットの記事に書かれている。
この小説では、満州事変のことを細かくかかれているが、退屈である。
ほとんど飛ばし読みになっており、最終巻まで読み続けられるか、自信をなくしているところ。
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4兄弟が4者4様に堕ちていく…時代の大きなうねりの中で、人はさも自分に無力なのか。いや、それが歴史という残酷さなのか。
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文庫でも8巻あって先が長いので、色々な本の合間に少しずつ読み進めて2巻目読了。
運命に抗おうとするも、敷島4兄弟を嘲笑うかの様に時代が飲み込んでいく。
そして、得体の知れない間垣徳蔵の存在が恐ろしすぎる。
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シリーズ2巻目。1巻目の勢いある面白さからちょっとパワーダウンした感じがする。四兄弟それぞれを描く部分が減って、史実に沿った戦いっぽいシーンが多かったからかな。馬賊として颯爽としていた次郎がうらぶれてしまったのを筆頭に、三郎は思考停止で融通が利かないし、四郎も頼りないなりに危なっかしさでいろんな目に遭ってた前巻に比べると締まらない感じ。8巻目までたどり着けるだろうか。