0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集ながら一ひねりある結末のお話が多く、少し強引かなと思うところもなくはなかったのですが、存分に堪能できました。ダークな中にも人間らしさが垣間見えるお話もあり、印象に残りました。
投稿元:
レビューを見る
いつになく結構取り返しのつかない事件ばかりで、子ども絡みもあって、なんとなく後味が悪い話が続いたが、最後で少し希望が持てた、そんなにスッキリでもないけど。
投稿元:
レビューを見る
鳥、蟻、魚、コウモリ、犬、プラナリア‥‥生き物が鍵となる犯罪を描く8つの短編。
いつもとはちょっと違った切り口が新鮮。さりげなく張られた伏線にもすぐに気づくけど、短編ながら巧みに練られた展開は見事で、優しさのある結末の付け方に読後も悪くない。
「白いコウモリ」と「再生の日」が私は好きだな〜。
投稿元:
レビューを見る
連作ではない短編集は久々だろうか。帯を見ると、短編ミステリの旗手・長岡弘樹さんの最新短編集は「生き物」が共通の括りらしいのだが?
最初の表題作「巨鳥の影」からびっくり。巨鳥だと思ったものの正体は…。彼はどこで知ったのか。素晴らしい文化をこのように悪用するとは。「死んでもいい人なんて」いないと言い切れるか。どんな悪人だろうと殺せば罪になる。似たような例は現実にも聞くが、ここまで腐った人間はいないと思いたい…。
本作の一押し「水無月の蟻」。蟻を飼育している青年が、隣りの女性に頼まれて蟻を貸した。まさかこんな目的だったとはねえ。気の毒だが自業自得か。本作中最も重い「巻き添え」。タイトル通りです、はい。現実にもある不幸な事例。ここまで偶然が重なることはないかもしれないが…。父の願いが届いてほしい。
「鏡面の魚」。語り部の男に一切同情はしないが、こんな改竄手段があったとは。色々突っ込みたいと同時に、素直に感嘆もした。短編だから生きたネタかもしれない。これまた重い「白いコウモリ」。子ども社会の残酷さと、少年の酷な運命。あまりにも壮絶な母の愛の形とは。どうか強く生きてほしい。
「見えない牙」の正体とは。うーむ、どうしてこんな男と再婚したのだ。その「父」とは呼びたくない男の視点で語られる、皮肉な結末に苦笑せざるを得ない。最後に「再生の日」。道を踏み外した元医学部生が、驚嘆した理由とは。このような実例が実際にあるのか知らないが、彼も再生できるだろうか。
全8編、突っ込みたいけど唸らされる、長岡流短編ミステリの神髄が詰まっている。
投稿元:
レビューを見る
ミステリ短編集。けっこう手掛かりとなる部分がどこなのかはわかりやすいのですが。だからといって真相まであっさりと見抜けるのかというと……それは無理。
お気に入りは「死んでもいい人なんて」。これも手掛かりは実に分かりやすくて「真相は見抜けた!」と思ったのですが。この動機は見抜けませんでした。そしてタイトルの意味。これもまた、わからないではありません。
「鏡面の魚」も凄いなあ。これは知らなかった! なるほど、という思いです。
投稿元:
レビューを見る
あっさりとしたミステリー短編集。
鳥や蟻、犬、魚、プラナリアなど生き物をモチーフにしていた。
とてもさくさくと読めた。265ページとまあまあなページ数だけど、あっという間に読み終えた。
後味も悪くなく、むしろ不思議とあったかい気持ちになるものもあった。
表題作の「巨鳥の影」は、そんなことができる人たちがいるのか、と興味を抱いた。
ミステリーを読みたい気分だけど、ボリュームが大きいのは抵抗あるなあ、という人におすすめ。
投稿元:
レビューを見る
静かに忍び寄る殺意。ハッとするようなトリック。8篇ともに、冷静に計算された伏線と人物の抜かり無き行動力、ふと覗かせる人間性がバランス良く融合した作品だった。
投稿元:
レビューを見る
【収録作品】巨鳥の影/死んでもいい人なんて/水無月の蟻/巻き添え/鏡面の魚/白いコウモリ/見えない牙/再生の日
「巨鳥の影」 刑事が聞いた鳥の鳴き声のような音の正体がポイント。
「死んでもいい人なんて」 一見、窃盗犯に対する過剰防衛に思える事件。窃盗犯が忍びこんだのは息子の担任教師の家だった。
「水無月の蟻」 内気な男の隣人への暴走する思い。隣人が男の世話している蟻を借りた理由とは。
「巻き添え」 マザコン息子を溺愛する母の怖さ。
「鏡面の魚」 薬品名を間違えた医師の医療過誤か。ホワイトボードマーカーで鏡面に描いた魚を泳がせる方法が気づかせたことは。
「白いコウモリ」 交通事故で入院したままの加也斗の母は、「吸血鬼」になったのか。
「見えない牙」 義理の娘である小学生の四葉とうまくいっていない「おれ」。四葉が持って行ったスマホを取り戻すため追いかける。
「再生の日」 学費を払えなくなり、医学部を中退することになった「おれ」。過激派に入り、時限爆弾作りに手を染めるが、試作品を盗まれてしまう。
真相(らしきもの)がわかっても、すっきりしない作品が多い。現実はそんなものだろうけれども。
投稿元:
レビューを見る
*生活のなかで、ふとした心の隙間に忍び込む殺意や悪意が、蟻や、鳥、魚、犬、プラナリアなど、さまざまな生物と絡んで事件が発生する。のぞきや、泥棒、殺人など、犯罪の背後にあるドラマを描き、謎解きだけではないミステリーの魅放つ放つ。その根底には温かなまなざしと伏線のしかけがめぐらされている。心の揺れや、ゆがみが引き起こす犯罪&どんでん返しの妙を堪能する8篇の極上ミステリー*
いつも通りお見事な展開です!
特に今作はさらりと読みやすく、全てが集約されたラスト3行がじんわり胸に染み入ります。
謎が解けても、悪事が詳らかになっても、淡々とその事実を受け入れて静かに終焉する物語たち。
泣き笑いのまま迎えるような、不思議な読後感です。
投稿元:
レビューを見る
長岡さんらしい、わかりやすいのに面白いミステリー短編。タイトル作のように展開が読めてしまう場合も多いのに、書き方が上手いのでわかっていても面白い。
投稿元:
レビューを見る
短篇ミステリー8篇
次々に繰り広げれる謎解きに一気読み♪
本題にもある鳥、今回は蟻、魚、犬など、さまざまな生物と絡んだ事件が巻き起こります。覗きや泥棒、殺人など、物珍しさはないものの、いつもの如く、伏線の嵐(笑)
読み進めながら、考え、悩み……爽快と落胆を繰り返す(笑)
どんでん返しの妙を堪能‼
投稿元:
レビューを見る
いつもの感じの長岡さんですね〜
えっ。そうくるか?みたいな展開は、あまりなかった。
なるほどね〜くらい。
サクサク読めて、内容について
深く考えずに読み終えてしまって
みんなの感想を読んでから
鳥とか蟻とか犬とか…
あら?生き物つながりだったの?
と初めて気づいたわ
「死んでもいい人なんて」
私は1番共感できた。
そう。死んでもいい人なんていない!
なんて所詮、綺麗事で…
死んだらいいのにって思っちゃう人が多いものよ。
でも実際死なれなら、そう思ってしまったことを
きっと後悔するんだろな
だからやっぱ軽く「死ね」とは言うちゃいかんな。
とよく思うんだけどね。
でもこの話では、死んでもいい人がいた。
だから共感!
投稿元:
レビューを見る
短編のサスペンスミステリーですね。
モノローグ形式で余計な描写が無い分文章が冴え渡り、それでいて人間の温もりを感じさせられる文章はさすがですね。
全部で8編。それぞれに魅力を引き出した秀作だと思います。
今後の活躍が楽しみですね。
投稿元:
レビューを見る
「巨鳥の影」「死んでもいい人なんて」「水無月の蟻」「巻き添え」
「鏡面の魚」「白いコウモリ」「見えない牙」「再生の日」
8話収録の短編集。
本作は鳥・蟻・魚・コウモリ・犬・プラナリア等の様々な生物をアクセントに用い事件に絡めた面白い趣向のミステリー。
1篇が短いながらも文章の巧みさで脳内で短編ドラマが再生される。
どの作品もラストの切れ味が楽しめるが、印象深いのは予想の上を行く表題作『巨鳥の影』
ハートフルな後味を残す『死んでもいい人なんて』
人間の裏の顔にゾッとする『水無月の蟻』『見えない牙』
8篇のドラマを満喫した。
投稿元:
レビューを見る
だいぶ以前に、作者 中岡弘樹氏の「教場」を読んだ。
警察小説が、面白くて、色々な作者のを読んだけど、この作者の本も、構想が、素晴らしいと、思った。
今、人気のタレントさんが、主演して、話題を振りまいている。
さてさて、この本も、短編が、8話も入っている。
活字も大きく、すいすいと、読みやすい!
最初の「巨鳥の影」
工場の事務所から300万円が盗難に…
スペインの伝達方法が、ゴメラの口笛と、いうオチなのだけど、……
昔、アメリカ映画でも、アパッチののろしや口笛伝達を、していたのを思い出しながら、次の
「死んでもいい人なんて」
裕福な家庭で、妻は小学生の教師。
そして、家に強盗に入ったのは、教え子の父親を撲殺してしまった。
虐待された子は、ガリガリに痩せていた理由が、最後でわかる。
そして、教師の家庭に、その子は養子になっていた事も。
昔猿を飼い慣らして、鍵を開けさせる外国小説があったけど、…養子になっている展開は、なるほどと、思った。
「水無月の蟻」蟻をペットにする発想には、どうトリックになるのだろうと思いながら読み進む。
なるほど、砂糖と薬を仕分けする発想!
でも、蟻は、薬は持って行かないのだろうか?
水槽をひっくり返したら、蟻の巣の物まで混じってしまいそうで、少し無理がありそうな気がする。
「巻き添え」飛び降り自殺した所に、その下の人物が巻き添えで死亡!
溺愛している息子を殺人犯にしないようにした母親の想い。
ちょっと複雑!
「鏡面の魚」
このトリックのホワイトボードマーカーに水を垂らすと、書いた線が浮かび上がるのは、最近テレビでもしていたし、児童書にも、掲載されている。
女の執念で、このトリックと薬の違いが理解出来る看護師の頭の良さに、社会的に葬ることを考えついたのは、凄い!
それとも、涙で、書いた字が浮いて無くなったのか?
「白いコウモリ」
吸血鬼と供血器の違いに!
母親の脳死状態になる前から、子供へ自分の意志を表明していた事に、母親の強い愛情を感じてしまった。
「見えない牙」
母の再婚相手の男性。
誰も知らない場所で、穴に滑り落ちた娘と獰猛な野良犬。
駆け引きの上手かったのは、娘の方であったけど、一酸化炭素中毒で、意識遠のく時、最後に、娘からお父さん!と、言う言葉を聞く。
憎しみだけの終わり方でない所が、少しだけ良かったと、思われた。
「再生の日」
医学生が、爆弾テロに……と、思われたのだが、爆弾を入れた鞄を取られてしまう。
その犯人は、親指が、ふっ飛んでしまったのに、足の指を半分付けて貰っていた。
まるで、プラナリアが再生するかの如く……
一冊で、こんなに沢山の話が、含まれており、充実溢れる作品であった。
動物が、沢山出てくる所も、そして、人間のちょっとした思いが、最後には、どんでん返しに!
面白かった。