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みんなのレビュー251件

みんなの評価4.1

評価内訳

247 件中 1 件~ 15 件を表示

垣根を越えるアート鑑賞

2021/12/14 22:36

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:第一楽章 - この投稿者のレビュー一覧を見る

全盲の視覚障害者であり美術鑑賞者でもある白鳥さんと美術館をめぐるノンフィクション。「見えないのに鑑賞って?」と思いますよね。美術館に一緒に行って、どんな作品かや、それから感じたことを自由に語り合い、白鳥さんはそれを聴きながら質問して、またそこで鑑賞が深まって…
そうやって言葉に出しているうちに、晴眼者にも自分に”見えていなかった”ものに気がついたり、自身の内面に視線が向かったりと、相互に実りの多い鑑賞会の様子やそれに付随する旅などが、生き生きと描かれています。本は、筆者が初めて白鳥さんと鑑賞に行くところから始まるので、驚き・戸惑い・気づきを一緒に追体験するかのような読書体験となりました。
こうした美術鑑賞の仕方があるということは、伊藤亜紗さんの『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の中で、”ソーシャルビュー”として紹介されていて、いつか参加したいと思っていましたがCOVID-19のせいで叶わず、まずはこの本で疑似体験することとなりました。
で、読み終わって感じたことは、もしかすると特別なことではなく、特別なことにしているのは自分の中の”垣根”のせいかもしれないな、ということです。展覧会に誰かと行く、そしたら「あそこに蛙が描かれているの気がついた?」「え、どこ?」「最後の審判の様子、グロかったね」「わたし、絶対地獄行きだけどあれは嫌」みたいな話しますよね。その輪の中に目の不自由な人がいても、それは美術鑑賞の楽しみ方として変わらないんじゃないかな、と思いました。むしろ、何が表現されているかお伝えするステップは必要でそれが言語化されるので、「この人はどこをどう見ているのか」がわかって、かえって面白そう!(これって晴眼者だけでも、オンラインでもできますよね。)
「磐梯山が見える道中で、白鳥さんは何気なくつぶやいた。
 「俺さあ、思ったんだけどさ、障害ってさあ、社会の関わりの中で生まれるんだよね。本人にとっては障害があるかなんて関係ないんだよ。研究者や行政が『障害者』を作り上げるだけなんだよね」」(P.187)
白鳥さんにとっては美術館が、社会が作り上げる枠から自由になれるところなのでしょう。白鳥さんの考えに異論がある人もあると思いますが、こちら側で”垣根”を作ってしまっていないかは、時々振り返ってみる必要がありそうです。

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むしろアート以外のことをたくさん学べる

2021/12/29 05:07

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:魚大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る

全盲の白鳥さんと著者の友人を連れて美術鑑賞をしていくなかで、白鳥さんのアートとの向き合い方やアートが教えてくれるもの、そして最終的に私たちはどういう存在なのかを考えさせられる本。

気づき: 人は過去の出来事とすり合わせて物事を見ている。すなわち視覚で物事を見ているのではなく脳で見ている。

優しさや気遣いも行き過ぎれば差別や偏見になる。

思ったこと:
言葉の選び方や親近感が湧く文章の書き方が好きだなと思った。

自己満だけの優しさや気遣いは、ありがた迷惑。本当に必要な助けかどうかは本人に聞くしかない。それで断られてもそれでよし。受け入れてくれればそれでよし。差出す側も受ける側も気兼ねなく手助けし断われる社会になるべき。

誰しもが優生思想を持っている。それはより良い遺伝子を後世に残すための本能であると思う。生まれてくる子が健康であればそれで良いと言う考えも優生思想の1つである。

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荒野

2023/10/31 17:26

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書の中でたびたび登場する「荒野」ということばが印象に残った。この本と同じころ「ショッピングモールから考える」という本を読んでいてそっちで「砂漠」が言及されていたせいかもしれない。この本の著者は「美術館はオアシスである」と言いたかったんじゃないかと思った。分かり合えないことが障害物扱いされてギスギスした日常世界が荒野だとすると、分かり合えないことが面白いもの、あるいは新しいものの見方として受け入れられる世界が美術館。そういう観点で美術館に行ってみるのも面白そうだ。

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面白いのに深く考えさせられる

2023/03/15 12:42

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:302 - この投稿者のレビュー一覧を見る

重くなりそうな部分も軽やかに書かれていて良かった。
ページ数は多いけどサクサク楽しく読める。
そして色々と考えさせられる内容だった。

「見えなくてかわいそう」「見えなくて大変だな」というのは、自分が見えているから思うこと。

人は自分が普通で基準だと思ってしまいがちだし、正しいか間違っているかを決めたがるけど、ありのままをただ受け入れ認めることが出来たら、差別や偏見で傷つく人が減ると思う。

第4章で、9.11やヒロシマなどの展示について「悲劇そのものに焦点を当てるだけでは不十分」「相反する意見や視点を知ることは出来ない」とあるが、何事もそうだなと思う。自分が見たり知ったりする面だけでなく、他の面もあるのではと意識することを忘れないようにしたい。

私も白鳥さんとアートを見に行ってみたい!

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2021/09/15 22:29

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2021/11/14 17:05

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2021/10/04 23:52

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2023/02/09 04:13

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2021/09/29 20:53

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2021/10/10 01:36

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2021/10/26 19:15

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2021/10/17 23:03

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2023/03/27 18:15

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2021/11/03 08:10

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2021/10/27 09:13

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