盛りだくさん&考えさせられました
2021/10/22 08:51
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーについて詳しく知らなかったので、購読しました。
紙幅が362頁にもおよび、読み応えのある盛りだくさんの内容でした。始めから半分以上は、ヒトラーの伝記になっています。
そして、ラストの第6章でヒトラーが世にどう見られていたのかを追及して、当書は終わります。様々な見方があるのだなと、考えさせられました。もっとも、私にとってヒトラーは非情な人間にしか映りませんでしたが。
購読するにふさわしい内容です。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーに関する書籍は、沢山あります。新書でも、中公新書を中心に結構あります。しかし、岩波新書でヒトラーが中心のものは、初めてではないでしょうか。内容も、分かりやすくヒトラーの生い立ちからその死までまとめられているだけでなく、その評価についても述べられています。
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ヒトラー関する歴史学的な徹底検証がなされている。歴史は曲解されがち。ファクトに忠実でありたい。
(vページ)
神話や過大評価に踊らされぬよう、できるだけ正確な事実にもとづくヒトラー像を分有することが、あらためて要請されているのではないだろうか。
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副題が「虚像の独裁者」とあるように、彼の支持者またはアンチが作り上げてきたヒトラー像を一枚一枚はがしていくような印象を受けた。新書でありながらしっかり読み込めた。
彼のような独裁者は時を超えてまた生まれてくる可能性はある。私たちは、カリスマの巨像の部分にも目を凝らして立ち上がる勇気をもつことが重要だと感じた。
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歴史的出来事がブワーって書いてあって1/3くらい読み飛ばした。ヒトラーのことについて知るのは大事だけどもうちょいわかりやすい本から入るべきでしたね
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・ミュンヘン一揆の処罰に関してはバイエルンの関係者は相当怠慢、愚かだった。「愛国無罪」は国家を危機にさらす。
・「ユダヤ人のドイツからの追放」と「ドイツ領の拡大」という目標が二律背反。それらはそもそも失敗する運命だった。
・嘘まみれの人物を信頼するのは危ない。恒常的な嘘つきが突然正直になることはない。
・そもそも自国で兵役逃れした人を外国で兵に加えるというのがそもそも間違いだった。
・観光者減少によってオーストリアに圧力をかけたドイツの浅ましさ。
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ヒトラーをどのように捉えればよいか。政治手法、社会構造。現在の捉え方、これからの捉え方に対する警鐘も感じ取れる。
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出だしから興味をそそられる投げかけがある。ヒトラーについて読むとき、この好奇心に満ちた感覚が常にある。歴史上人物としてはまったく、好きではないにも関わらず。
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戦後長らくなされてきた世論調査では、ヒトラーが「悪い」面だけではなく、「良い」面もあったという解釈が今も続いている。また若い世代を中心にヒトラーに対し無関心な態度をとることも多い。世代を超えてヒトラー神話の再考を促すのが本書。生まれから敗北、そして死後の影響などを等身大のヒトラーを検証している。学術書のようで、なかなか難解な部分も自分にはあった。
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あの独裁者がどのようにして生まれ、そしてこの世を去っていったのか。コンパクトに要点がまとめられ、よく理解できた。そして今から何年後かに、あの侵攻国の独裁者も同じように語られるのであらう。
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本屋で新刊として平積みされていたので、購入したが、最後に2ページほどの「新あとがき」が追加されただけの新刊だった。
ただ、読んで良かった。なぜホロコーストなんて起こったのか、この本を読むと、現在こそファシズムやホロコーストが再現されるおそれがある時代だと思う。
ドイツ人より画一的な忖度社会である日本は、ヒトラー的な人が出現すると1/3程度の人間は支持する社会になっている。そして支持はしない人が過半数だったとしても、忖度する人が多いので、ファシズムに弱い体質の国だ。香港でも台湾でも…
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全体的に単発の人名など固有名詞が多く、読むのに苦労する。稀代の独裁者の虚像を排する諸述は実証的になるため仕方ないのかもしれないが、時系列的で散発的な事象の記述が連続し、その度に一度きりの固有名詞が出てくるので無味乾燥じみている。入門書というより、既にドイツ第三帝国に詳しい人向けの本と感じる。
WW1中の上等兵としてのヒトラーは、「我が闘争」はじめとした後々の述懐とは異なる点が多くあり、共感や憧憬を得るための詐称と指摘している。最前線ではなく連隊司令部付きの伝令兵であり、戦友より上司の将校と親しかったという。
ヒトラーはヴェルサイユ条約後のハイパーインフレと世界恐慌に見舞われたドイツを指導し驚異的な経済復興を成し遂げた面がある、という評価だが、その復興は財政的裏付けがなく、軍備拡大と生存圏確保といった前のめりな財政出動で成されたものだった。そのため財政的には破綻寸前で、その不足分を占領地からの収奪によって補わなければならなかった。ヒトラーの成した輝かしい経済復興は、後の際限なき侵略戦争と地続きで避けられないものなのだったろう。
プロイセン時代よりの伝統で、国家の中の国家として君臨していた国防軍に対し、初期の電撃戦指導の成功による史上最高の将帥”グレーファツ”権威と独裁者としての権力で、意に沿わない軍指導部を更迭し軍を国家の指導下に置いたことは一面正当な体制化に思えるが、戦局が後転してくると精神力重視的な非軍事合理的指揮の弊害がやはり生じている。
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独露関係から欧州の話が出ると必ずヒトラー周りの故事が出てくるので基礎教養に、と思って読み始めたのだけど、戦史は私には早すぎたようでした。
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ヒトラーという人物について、何者でもなかった若年期からその生涯を追い、過度な神格化や悪魔化をされがちなヒトラーの「正体」を見極めていく本。
様々な伝説や喧伝、はたまた罵倒や悪評に埋もれがちなヒトラーの等身大のラインを浮き彫りにしていく本と言えるだろう。
ヒトラーの歩みに合わせて、自然とドイツ第三帝国の興亡も辿れるので、そこらへんのドイツ史の通史的理解にも良い。
後半では本人死語のヒトラー評について解説しているが、『帰ってきたヒトラー』まで挙げられているのは少し驚きであった。
ヒトラー率いるナチスが国民に提供し、人気を博したのは「無責任さ」であったとする下りがある。他責傾向が増し、自身の持つ困難の原因を他所に求めがちな現代の世の中、再び帰ってくる萌芽はすでにあるのかもしれない。
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ヒトラー個人に焦点を絞った伝記と思って手に取ると肩透かしを食らう。ヒトラーと同時代のドイツ史でありながら筆の濃淡が大きく、著者の関心のない日独関係などはほとんど閑却される。「おわりに」から読み進めることをおすすめする。
あと、聞き慣れないドイツ語の名詞や人名が頻出するので、巻末に索引を用意してほしかった。