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「心が視える」からと言って、それが「正しい」とは限らない。
例えば同じ景色を見ても感じ方は人それぞれであるのと同じように、誰かの想いを見ても、結局解釈はそれを見た人が考えること。
この話の場合は、キッコの主観による解釈、希望的解釈が入ってしまう。
要は色眼鏡だ。
その人の本当の想いを正確に汲み取ることなど、きっと誰にだってできはしない。
それゆえに、キッコは何度も間違えてしまう。
魔法使いの力は万能ではないのだ。
まひろの作る美味しそうな料理にもてなされつつ、一筋縄ではいかない人々の思いを解きほぐしていくお話。
様々な愛の形がでてきて、今ならではの多様性を感じることができた。
そして、前述通り人の思いの解釈、その難しさも。
心が見えたからと分かった気になるのは、作中にもあったように一歩間違えば傲慢なことなのかもしれない。
そうやって何度も失敗しながら、それでもキッコは自分なりの思いも貫きつつ学んで進んでいく。
それを支えるのは不器用ながらも誠実なまひろの存在。
すれ違いもあったが、昔から縁の繋がっていた二人。
いいコンビだと思う。
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人の心が『視えて』しまうキッコは母親とうまくいかなかったり友達を傷つけてしまったりと、本人も辛い思いをしている。
そんなキッコと彼女を見守るひなたの温かいお話しでした。
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江の島の風景や登場人物の心情描写がきれいな作品です。
出てくる料理も美味しそう。巻末にレシピが載っているので作ろうと思えば作れてしまいます。
他人の心が常人よりわかるとどんな良いこと・悪いことがあるのか、それを教えてくれるような物語です。
人間の気持ちを理解するって本当に難しいことだなと改めて思いました。
最終的に心温まるような結末になるようにつくられたためか、今回は恋愛感情が絡んだ話だけで構成されていました。
あとがきを見ると作者は続編を書くつもりでいるようなので、次回作は恋愛以外の話も読んでみたいです。
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江の島へと続くすばな通りの脇道に立つ「ひなた食堂」。入院中の父に代わり厨房に立つまひろはある夜、帰る場所の無い少女、キッコと出会う。
「ここは、腹を空かせた人が飯を食う場所だから」
まひろが作った生姜焼きを平らげた彼女は、いつしか食堂の看板娘に。明るくて恋バナが大好きなキッコさん。でも彼女には「人の心が視える」という大きな秘密があって――。
キッコの瞳がほぐした心をまひろの美味しいご飯が繋ぐ。「ひなた食堂」が、あなたのお腹も心もいっぱいにします。