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信頼のダニエル・ヤーギン著作。歴史的なエピソードを交えて現在の問題を様々な思惑の地図として描き出す。ロシアのウクライナ侵攻前に出版されたものではあるが、その侵攻もこの「新しい地図」の文脈で考えることができる。
大きな潮流としては、個人的にこうまとめた。
・アメリカのシェール革命によるエネルギー自立
・それによるアメリカの中東関与の弱まり
・中国の共産党独裁国家としての経済発展と、その結果としてのアメリカとの対立
・ロシアの大国幻想、結局資源頼みの経済とプライドのアンバランス
・電気自動車へのシフトによるエネルギー需要の転換
・気候変動リスクに対応する化石燃料からのシフト
・これらの転換における中国の存在感
・そして全てに関連する地政学的なリスク、領土的野望
今後の産業や国際社会がどう進んでいくかを予言するものではないけど、予想するために必要なピースが素晴らしく読みやすい書き振りでまとめられており示唆に富みまくりの本。
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米国、ロシア、中国、中東と世界のエネルギー資源をめぐる各国との関係を詳細な事例に基づき説明した本。なぜ、米国が近年、中東への関与だ減ったか、なぜ中国が南シナ海を支配しようとするのか背景がよく理解できた。結局、人類は、未だエネルギー資源、レアアースに支配されており、その価格、産出量に振り回されるのかがよくわかる。
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温室効果ガス実質排出ゼロに向けて、急激な変化を目前にする今、踏まえておくべき世界情勢。
・アメリカのシェールガス、シェールオイルによる輸出国化
・中東依存の低下、世界の警察の必要性低下
・欧州へのLNG輸出、エネルギー地図の変化
・ロシアとウクライナとのパイプラインを巡る紛争、ウクライナの西側シフトと戦争の予感
ロシアの欧州パイプラインとEU各国の思惑、米国の制裁、復元力
・欧州のLNG基地建設による相対的地位の低下
・北極圏LNG開設による東方シフト、多様化
・2014年に購買力平価GDPで中国が世界一位
・東シナ海を巡る米中対立(資源次第で重要性が変わり得る)
・一帯一路(BRI: Belt and Road Initiative)と米リバランス政策、インドの台頭
・サイクス・ピコ協定による国境、中東の混乱
・国境を廃するカリフ制
・東地中海のガス田
・コロナ後のOPECに代わる米、ロシア、サウジの石油安定秩序
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エネルギー安全保障の過去から未来までを俯瞰できる一冊
脱炭素、カーボンニュートラルの世界的な潮流は間違い無いが、具体の対応はその国の地政学、資源、経済状況で異なってくる。
太陽、風、水の自然エネルギーは重要ではあるが、変化の鍵は化石燃料および資源国が握っている。
本書は、米国のシェール革命、中東の宗教と石油、南シナ海、自動車業界など、今の世界を知るのに重要なテーマを広く、濃く解説する。1章ずつが短くトピックごとに明確に分かれるため全体を俯瞰して部分を読み返すのが容易。
新型コロナ、ロシアのウクライナ侵攻など、世界はますます先行きが見えない。資源のない日本にとって、本書の知識は教養として皆が持つべきものだと感じた。
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エネルギー安全保障を軸にアメリカ、ロシア、中国、中東のキープレイヤーたちの思惑が見て取れた。
アメリカでのシェール革命はそれまでの石油市場のパワーバランスを大きく変え、経済力に圧倒的な影響を与えている。
ロシアは天然ガスを人質に取っている。
中国はシーパワーを手に入れるべく南シナ海を改造し一帯一路を張り巡らす。
中東はオイルマネーを持て余し発展に活かせていない。
そのような中、地球環境の持続性が喫緊の課題となり化石燃料の扱いを巡る先進国と発展途上国に大きな溝が生じている。
クリーンエネルギーへの傾斜が一時的であれ高負担を強いることに世界はどこまで耐えられるのか。
コロナやウクライナ侵攻を見るとエネルギーは地産地消でなければ自らの命運を他に委ねることななることがよくわかった。
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【感想】
本書はエネルギー問題を扱う専門家、ダニエル・ヤーギンによって書かれた「資源をめぐる地政学」の本である。原書が書かれたのは2020年9月とかなり新しく、アメリカ、ロシア、中東といった巨大産油地域の最新情報はもちろん、電気自動車や気候変動といった、エネルギー関連業界の動向まで余すことなく網羅している。まさに「新時代の地図」と言える一冊だ。
エネルギーが国際政治上の武器として扱われた例といえば「第4次中東戦争」であるが、そこから50年近く経った今でも、石油をはじめとする「資源」は常に大国間で緊張を生み出し続けている。
そのエネルギー業界に、近年大きなシフトが起きた。「シェールガス革命」である。
新エネルギーの発見によって、米国は世界最大のエネルギー消費国からエネルギー産出国に転換した。2019年には70年ぶりの純石油輸出国に返り咲き、2022年にはオーストラリアとカタールを抜いて、LNG輸出が世界トップとなった。
この出来事は世界のエネルギーの地図を塗り替えた。
ロシアは今まで、「ノルド・ストリーム」によって欧州との結びつきを強めていたが、アメリカの台頭により同地域への影響力が低下することが予想されている。そうなると西側だけでなく世界のエネルギー市場から完全に孤立してしまうため、それを防ぐために中国との大型契約を行ったり、サウジアラビアとパートナーシップを締結したりして、対米への足掛かりを築いている。
中東諸国も同様に面白くない。アメリカはOPEC非加盟国であるため、石油産出に関して連携ができない。アメリカの石油増産により原油価格が国際的に下落すれば、ダメージを受けるのは石油依存度の高い中東各国だ。また、OPECを主導する巨大産油国サウジアラビアとしては、中東諸国の火種になっているイランが石油増産を行うのを防ぎたい。ただし、原油価格の下落を防ごうと減産を行い、かといって他国は減産をしなかったら、自分たちだけがシェアを奪われる格好になってしまう。これがジレンマとなり、OPEC加盟国は対応に窮している。
エネルギーをめぐるテーブルの上では、こうした政治的駆け引きが繰り返されていく。これもひとえにアメリカがエネルギー大国に成長し、ロシアや中東の政治的意向を無視してパワープレイに走ることができるようになったからなのだ。
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以上は一例だが、本書はこのように「アメリカのシェールガス革命によって起こった影響」を、現在の世界情勢に当てはめて「新しい世界の資源地図」を作ろうとしている。本書が凄いのは、現在の情勢だけではなく、歴史の話もふんだんに交えている点だ。アメリカの章であれば、シェールガス革命前夜からエネルギー大国になり上がるまでの足取りを丁寧に説明しており、中東の章であればイラン革命からイラク戦争、ISIS誕生やOPECプラスの締結といった諸要素を幅広く解説している。読んでいて、「え、この密度で全世界を取り上げるの?」と思ってしまったぐらい、とにかく濃い。そして最後は「電気自動車」や「気候変動」も紹介している。国同士のやりとりだけでなく、マーケットの動向���取り上げ、そしてその分析も非常に細かい。これ一冊でエネルギーをめぐるトレンドを総ざらいできそうなぐらいだ。その分、ハードカバー600ページ弱という超ボリューム。だが、読む価値は大いにある。是非オススメだ。
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【まとめ】
1 アメリカ:シェールガス革命
シェールガス採掘技術の登場によって、テキサスはごく短いあいだに変貌を遂げ、並外れた成長の軌道に乗った。2009年1月から2014年12月にかけ、テキサス州の原油生産量は3倍以上増えた。この時点で州の産油量は、メキシコの産油量を上回り、さらにはサウジアラビアとイラクを除くOPEC加盟のすべての国の産油量をも上回った。
これは石油資源の地図をも描き換えた。パーミアン盆地の「スプラベリー・ウルフキャンプ」と呼ばれる一帯は、サウジアラビアの巨大油田、ガワール油田に次いで、今や世界で2番目に大きい油田と見なされた。イーグル・フォードも、クウェートのブルガン油田やサウジアラビアの別の油田に次いで第5位に食い込み、ロシアの石油力の拠り所になっているサモトロール油田を抜いた。米国は復活し、再び世界の主要な石油のプレーヤーに返り咲いたのだ。
シェールガス革命の結果、原油の輸入量が急速に減り、貿易赤字が縮小する。さらにこの革命が重要だったのは、国内に雇用をもたらしたことだった。2019年の時点で、シェールガス革命はすでに280万人以上の雇用を支えており、製造業、関連ソフトの開発事業、不動産事業といった関連産業にも雇用効果が波及した。また、今まで国外の拠点に向けられていた産業投資が、国内に方向転換し始めた。国と州の歳入は、2012年から2025年までで1.6兆ドルになると予測されている。
LNGのグローバルビジネスが加速した結果、オーストラリア、カタール、エジプト、イスラエル、ロシアなどで新しい輸出事業が立ち上げられている。
中でも顕著なのはメキシコである。シェール層の一部は米国からメキシコに続いているが、メキシコには採掘技術がない。そこでメキシコはエネルギー部門の自由競争を開始し、国内外の企業から投資を呼び込んでいる。新しいパイプラインや発電所が建設され、米国のシェールガスがメキシコの発電所に届き、値段の高いLNGや石油にとって変わった。
トランプ政権誕生後、LNGは貿易紛争と政治の道具になる。
天然ガスの世界最大の生産国であり、なおかつ欧州における主要供給国でもあったロシアにとって、シェールは脅威だった。対象的にアメリカは、シェール革命のおかげで「安全保障上強硬策に打って出られる余地」ができたのだ。
シェール革命で地政学はどのように変わったか。
①イランとの核合意の締結。
→核開発絡みの制裁に対して、イランは原油供給を絞り価格をつり上げることで、輸入国を間接的に攻撃し、制裁を緩めさせることが可能だった。しかしアメリカの生産量の増加によって、イランの輸出量の減少が相殺される。結果、イランに強固な圧力をかけることが可能となり、同国を交渉のテーブルに引きずり出すことができたのだ。
②LNGの輸入をロシアに依存する割合が減ったことで、欧州におけるエネルギー安全保障が多様化された。
��れまで何十年にもわたって世界の石油市場を規定してきた「OPEC加盟国vs非加盟国」という捉え方は、「ビッグスリー」(米国、ロシア、サウジアラビア)という新しいパラダイムに取って代わられたのだ。
2 ロシア:帝国の復活を目指すエネルギー大国
ロシアは世界の三大産油国の1つに数えられる。天然ガスでは米国に次ぐ世界第2位の生産国であり、今も世界最大の輸出国だ。石油と天然ガスの輸出から得られる収入が、国と国力の財政基盤になっている。その収入は歳入の40〜50%、輸出収入の55〜60%、GDPの推定30%を占める。
ロシアが世界経済の主要なプレーヤーであるのは、何よりも石油と天然ガス資源のおかげだ。ロシアの原油輸出額は2000年に360億ドルだったものが、2012年には2840億ドルまで増えた。じつに8倍の伸びだ。同じ期間に、天然ガスの年間輸出額も170億ドルから670億ドルまで上昇した。石油・天然ガス収入の増大に伴って、ロシアは経済の弱国から強国へと変貌し、対外債務を返済し、国民の給与と生活水準を引き上げ、年金を増額し、ルーブルの「安定化」基金を蓄え、国防をさらに増強し、大国としての復活のために資金を投じた。
天然ガスの輸入をロシアに依存している欧州。そのエネルギー政策には2本の柱があった。
第1の柱は、天然ガスのシステムの強靭さとエネルギー安全保障を高めるとともに、欧州全体で天然ガスの単一市場の形成を目指すことだった。ガス会社は欧州内の各地に容易に天然ガスを輸送できるよう、パイプラインのつながりを増やしたり、必要に応じて、天然ガスの流れる向きを逆にできるよう、パイプラインを改良したりした。またLNGの基地や貯蔵施設への投資が促進されたほか、買い手による天然ガスの転売を制限する「仕向地条項」も撤廃された。
第2の柱は、気候変動対策として、脱炭素と高効率化、再生可能エネルギーへの速やかな移行を目指すことだった。先頭に立ったのはドイツだ。ドイツは「エネルギー大転換」というスローガンを掲げて、風力や太陽光発電の開発に大規模な助成を行った。
2011年、ロシアとドイツを直接繋ぐ――対立関係が続くウクライナを経由せずに――100億ドルの天然ガスパイプライン、「ノルド・ストリーム」が開通する。これによって欧州はますますエネルギー供給をロシアに依存することとなり、域内外の議論の的となる。
中欧の政策担当者やメディアのあいだでは、このパイプラインの建設で得をするのはロシアだという批判が根強かった。西欧の国々、とりわけドイツはそれとは見方が違い、市場や貿易や投資を含むもっと大きな相補関係の一部、地理的に避けられない関係の一部としてこの計画を捉えていた。
ノルド・ストリームが大きな物議を醸す中、ロシア政府から欧州へ向けて、1つのメッセージが発せられた。サンクトペテルブルク国際経済フォーラムでのことだ。ガスプロムのCEOアレクセイ・ミレルが、欧州からの出席者で埋まった会場で次のように言った。「ロシアに対する恐怖心を克服するか、さもなければ、ガス切れを起こすかです」。
4年後の2015年末、「ノルド・ストリーム2」建設のための調査が始まり、再び政治的議論の対象となる。
米議会はプーチンに近いと言われている個人や企業、金融機関を対象とした制裁を可決した。ノルド・ストリーム2もいくつかの法案で制裁の対象とされた。EUの中で東欧諸国は、ノルド・ストリーム2の建設を止めるための制裁を歓迎したが、そのほかの国の反応は違った。ドイツの外相とオーストリアの首相は共同声明で「欧州のエネルギー供給は欧州の問題であり、米国の問題ではない」「政治的な制裁の手段と、経済的な利害とを結び付けるべきではない」と述べた。理由はそれだけではない。欧州のあるエネルギー大手の幹部に言わせると、米国が制裁を科すのは「自国の天然ガスのため」、つまり米国のLNGの輸出のためだった。
2019年12月20日、ロシアとウクライナのあいだで話し合いがまとまり、果てしなく続きそうだった天然ガスをめぐる両国の激しい争いが和解に達したというニュースが伝わった。ロシアが引き続き5年間、ウクライナ経由で欧州に天然ガスを大量に輸送することを約束したのだ。これによりウクライナの通過料収入の目処が立った。さらに驚きだったのは、ロシアがウクライナへの約30億ドルの賠償金の支払いに応じたことだった。
ロシアとウクライナの長い争いについに終止符が打たれてから数時間後、ドナルド・トランプはフロリダへ向かう途中に防衛予算法案に署名し、ノルド・ストリーム2への制裁を発動させた。この制裁に対してメルケルは「EUへの不当な内政干渉だ」と怒りをあらわにした。
プーチンは現在、エネルギー政策を東方にシフトしている。中国への接近である。
ロシアも中国も、「一極支配」と米国に「覇権を握られた」国際システムにも、活動家やNGOにけしかけられた民主主義の普及と体制の転換にも、反対の立場で一致している。両国が唱えているのは、多極化と、何よりも国家の(とりわけ自国の)「完全な主権」である。
二国間の議題の最上位に置かれたのは、大規模な天然ガスの契約の問題である。中国は経済成長を支えるとともに、大気汚染を抑えるため、どうしても天然ガスの利用を増やしたかった。一方ロシアは、ヨーロッパの顧客への依存を弱めるとともに、石油・天然ガスへの旺盛な需要があり、なおかつ政策と経済の両面で方向性が近い国の市場に、将来軸足を移す必要があった。
2014年、2国間で「30年で4000億ドル」という超大型の契約が成立。この結果、中国はドイツに次いで、世界で2番目に大きいロシアの天然ガスの市場になった。
2019年12月2日、上海で超大型の天然ガス事業の契約が交わされてから5年半後、全長約3000キロのガスパイプライン「パワー・オブ・シベリア」が開通。プーチンがソチで、習近平が北京で開通に立ち会った。今や、エネルギーがロシアと中国の戦略的パートナーシップの土台になっている。
3 中国:覇権を狙う新進気鋭
中国は産業革命時代の英国と同じように「世界の工場」になった。例えば、中国は現在、鉄鋼(世界の生産量のおよそ半分を占める)、アルミ、コンピュータの世界最大の生産国だ。電気自動車や風力タービンに必要なレアアースでも、世界最大の生産量を誇っている。2011〜2013年の3年間で、中国で消費されたセメントの量は、米国で20世紀中に消費されたセメントの量を上回る。保有する資産も莫大だ。中国国家外為管理局の外貨準備は、3兆ドルにのぼる。���のおよそ3分の1は米国債で占められる。
同時に、中国政府は輸出主導型から消費主導型の経済への転換を図ろうとしており、中国は消費国としても急速に成長している。SARSが流行した2002年、中国のGDPは世界のGDPのわずか4%だった。2020年のコロナウイルスの流行時には、その比率は16%に達していた。これはつまり、世界各国が新型コロナウイルスの打撃を受ける以前から、中国経済は世界中に影響を及ぼしていたことを意味する。
エネルギーをめぐって現在紛糾しているのが、南シナ海をめぐる問題だ。
南シナ海の海底には石油や天然ガスが眠っているとされているが、期待されているほどの資源が本当にあるかは定かではない。現在、南シナ海で生産されている原油は日量90万バレルほどだ。これは2019年の世界の産油量の1%にも満たない。
では、将来はどうか。ある中国の予測では、未発見の埋蔵量は最大で1250億バレルと見積もられている。これはイラクやクウェートとほぼ同じ規模だ。ただ、米エネルギー情報局は120億バレル程度だろうと推定している。また、資源が発見される可能性が一番高いのは岸に近い海域であり、争われている海域にはその5分の1の埋蔵量しかないと考えられている。
南シナ海が重要なのはむしろエネルギーを含む貿易だ。
2001年のWTO加盟以来15年で、中国の石油の消費量は2.5倍に増えた。しかし2020年初頭の時点で、石油の輸入量は世界の総需要の75%を占める。
また、世界の石油タンカーの約半数が南シナ海を通っている。この海域を通る世界貿易の額は3.5兆ドルにのぼり、中国の海上貿易の3分の2、世界貿易の30%を占める。行き先は中国ばかりではなく、日本や韓国へ向かうタンカーもある。日本や韓国は、中国の行動によって石油の輸入を妨げられるリスクを負っている。
しかし中国にとっては米海軍が唯一のリスクだ。中国のストラテジストが念頭に置いているのは、次のような危機のシナリオだ。台湾が独立の動きを見せ、中国がそれに対して軍事行動を起こす。すると米国が対抗措置として、南シナ海の中国の石油ルートを断つ。そこから導かれるのは制御不能の事態だ。
米中のあいだには、鋭く対立する経済問題が山ほどある。トランプが大統領に就任してから、中国は極めて危険な地政学的競争相手として「敵国」の最上位に位置づけられている。副大統領時代のマイク・ペンスによれば、中国は「米国の技術をごっそり盗み取り」、「世界に類のない超監視国家」を築いた国であり、今や「米国の軍事的な優位を切り崩し」、「米国を西太平洋から追い出そう」としているという。
対して中国は、「米国で強まっている覇権主義、パワー・ポリティクス、単独行動主義」に非があるとし、米国は「絶対的な軍事的優位」を追求し、「国際的な安全保障環境を損ねている」と米国を非難した。また、アジア・太平洋地域が「国家間の競争の中心的な舞台になっている」のは、「域外の国々」(つまり米国のこと)が「不当に中国の領海や、中国の島嶼部の周辺水城や空域に侵入して、中国の安全保障を損ねている」せいだとされた。
しかし、米中はより一層相互依存を高めている。ゼネラルモーターズの中国での自動車の販売台数は、米国での販売台数を上回っている。トランプ元大��領による貿易戦争以前、米国の大豆の輸出は60%まで中国向けで占められ、アップル社のiPhoneの中国での売り上げは年間400億ドルにのほった。さらに、中国は米国産LNGの最大の市場になるとも予想されている。
4 中東:世界最大の産油地域
OPEC最大の産油国サウジアラビアと、主要な産油国の1つであるイランとの現在の争いは、どちらが中東の地図において優位に立つかの闘いだ。それは宗教や、イデオロギー、国益の衝突という形を取り、覇権への意欲によって支えられている。
2014年9月頃、原油価格が1バレル当たり100ドルを切った。それが11月には77ドルまで下がった。原因はいくつか考えられるが、需要の増加をしのぐ勢いで米国のシェールオイルの生産が増えていたのが一番の要因だ。
地政学的な緊張や混乱によって原油価格が上がるのは自明の理だったが、今回は真逆の現象が起きている。サウジアラビアは、OPECの中で数少ない、原油価格にテコ入れできるほどの減産を行える国だ。しかしサウジアラビアは減産に消極的だった。自分たちだけ減産し、ほかの国が減産しなければ、市場シェアを失うからだ。OPEC外のメキシコ、ロシアも減産をしない意向である。新しい問題はOPEC外に新しい産油国が増えすぎたことで起きたのだ。
OPEC各国の大臣たちはその日、決定を下さないという決定を下した。価格を市場に委ねたのである。
その後の数週間、原油は市場にとめどなく流れ込み続け、2015年1月には5ヶ月前の半分以下に価格が暴落した。米国ではシェール業者が大打撃を受け、企業の倒産数は100件近くにのぼった。
石油輸出国の大半が苦境に陥った。ロシアでは、政府系ファンドの資産が急速に目減りしつつあった。サウジアラビアは赤字に転落し、外貨準備高の切り崩しを加速させていた。イラクの石油収入は崩壊した。2015年、ベネズエラは破れかぶれになり、ほかのOPEC諸国に「米国内で反シェールの環境保護運動」を起こそうと呼びかけた。
2016年11月、OPEC諸国間で「アルジェ条約」が承認される。総生産量を日量120万バレル減らすことを盛り込んだ減産措置である。2週間後、OPECと、ロシアに率いられた11カ国の非加盟国グループ(米国やカナダはもちろん入っていない)の代表がウィーンに集まって、協定を結ぶ。OPECの日量120万バレルの減産に対し、非加盟国は55万8000バレルの減産で応じることが決まった。OPECと非加盟国の新しい連合体は「OPECプラス」とも「ウィーン連合」とも呼ばれるようになった。
OPECプラスは地政学的な秩序の再編にも繋がった。ロシアとサウジアラビアがパートナーシップを締結したからである。ロシア側からすれば、アラブ諸国で随一の米国の同盟国であるサウジアラビアとのパートナーシップは大変都合が良く、サウジアラビアからしてみれば、ロシアはイスラエルやシリアやイランなどの、中東の全陣営と話ができるプレイヤーだった。
サウジアラビアは現在、「ビジョン2030」を掲げ、石油以外の輸出を大きく伸ばすことを目標に国の変革を目指している。経済の多様化、民間部門の成長、石油への依存の軽減など、国の運営を多角化することで安定を図ろうとしている。ただし、サウジアラビアは王国であり、雇用の大半が政府部門の仕事であることから、ビジョン2030に��社会全体の構造改革が必要となる。
5 電気自動車
石油産業にとって電気自動車の台頭は、100年ぶりに強敵となりうる競争相手が現れたことを意味する。
現在、電気自動車の販売のおもな推進力になっているのは、政府の政策だ。その状況は世界中どこでも変わらない。
世界で一番電気自動車やプラグイン・ハイブリッドが普及しているのはノルウェーだ。2019年には販売台数の45%を占めた。ノルウェーでもやはり政府の支援がものを言っている。補助金額がかなり大きいのに加え、路上でも優遇されており、電気自動車を買わないほうがおかしいと感じられるほどだ。
米国では、連邦税額控除が最大のインセンティブになっている。控除額はバッテリーの大きさで決まり、各メーカーの最初の20万台の販売までは、最大で7500ドルだ。州や市で独自のインセンティブを導入している場合もある。追加の税額控除や、相乗り専用レーンの通行許可、無料駐車場などだ。2008年の金融危機に対する財政刺激策の一環で、オバマ政権はテスラに4億6500万ドル、日産に12億ドル、それぞれ電気自動車の開発のための融資を行った。
自動車と燃料供給者の世界が、新しい競争の舞台になった。もはや単に消費者に自家用車を販売するだけの競争ではなくなっている。単なる自動車メーカー同士の競争でもなければ、ガソリンブランド同士の競争でもない。競争は多元化している。ガソリン車と電気自動車の競争であり、自動車の個人所有と移動サービスの競争であり、人間が運転する車と無人の自動運転車の競争でもある。その結果が、技術とビジネスモデルの闘いであり、市場シェアをめぐる争いだ。変化は徐々にだが、確実に起こっている。攻勢をかけているのは電気だ。石油はもはや無敵の王者ではない。ただし、もうしばらく、運輸産業は広く石油の影響下に置かれるだろう。
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気候変動に関心があって読んだ。グローバルトレンドは理解できるが、国益が複雑に入り組んだ世界で、脱炭素を簡単に進めるのは簡単でないと思わされた。グローバルトレンドはそれとして、自分はどうするか、自分の組織はどうするかを考えるとますます悩ましさを感じる。
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プーチンの話は面白かった。石油を手にすることがロシア復活に繋がることをよく知ってたんだな。プーチンは。サウジアラビアも石油をアメリカと繋がった王族が手にして国を富ませてるから、石油だけで、他に産業が弱くてもなんとかなるんだなとか思ってサウジアラビアの話に期待。中国の話は新聞に書いてあることだけ。イランやイラクについては、感情的なアメリカ人。読む価値なし。ホント恥ずかしくないのかね。
国別だと中国やインドが悪いと書いてあるけど、国民1人当たりにするとどれくらいなんだろ。ヨーロッパとか人口少ない国多いから実は1人当たりの消費量って中国少ないとかないのか?
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この本には、地政学とエネルギー安全保障の変化によって、世界がどうなっていくかが書かれている。
舞台となるのは、4つの国と地域。アメリカ、ロシア、中国、中東だ。エネルギー安全保障において、現状最も重要なのは、石油と天然ガスの確保である。アメリカでのシェールガスとシェールオイルの発見は世界のバランスを大きく変えてしまった。
そして、今後のエネルギー安全保障の鍵となるのが気候変動への対策(カーボンニュートラル)になる。めちゃくちゃとも思えるくらい高い目標が設定されているが、これを達成させるための3つのキーワードがある。1つ目が炭素回収、2つ目が水素、3つ目がバッテリーだ。この3つの技術革新が求められる。
この本の原書の発売は2020年だったので、少し情報が古い。今の世界情勢を知ったら、もっと違った考察が出てくるのかもしれない。
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やっと読み終わった(1ヶ月くらいかかってしまった気がする)
大変勉強になるので、皆さん読まれる事をおすすめします。
中東の複雑な歴史を理解できている方だとスムーズに読めそうです。
読んで考えることも、とても多い内容。気候変動についても、もっと勉強したいし、そういう勉強会みたいなのあったら是非参加したいと思う内容です。
それにしても、こんな時に戦争始めたプーチンは改めて憎たらしい!とも思います。
なんだか、こんな感じだと地球滅びるのかなぁ?と冷静に考えて怖くもなります。
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エネルギー分野の変化によって塗り替えられた新しい世界の地政学。
たとえば、シェールオイルの登場によって、アメリカは、原油の輸出国になることすら可能になった。
エネルギーの産出できる地域、国家と、移送の問題、利権、地球環境問題と、それに伴う地政学的な変化、覇権国家の変遷・・・・・・こういった話って、地球上のすべての地域を覆っていて、とにかくもー範囲が広すぎるよ。
したがって、本書は、600ページ近くもある。
どちらかと言えば、政治学的なアプローチなので、統計データや、グラフ、計算式などは、出て来ない。
重要な箇所では、必要に応じて、地図が掲載されてるけど、それ以外は、とにかく文字ばっか・・・・・・読んでて疲れる。
もっと、詳しい地図がイッパイ載ってて良いし、エネルギーの変遷を表す、一目瞭然なグラフとか表が、掲載されてるべきじゃないの?
って、思うんだけど。
米国のシェールオイル革命から、メキシコとブラジル、パイプラインの戦い、
ロシアの天然ガス、エネルギー安全保障をめぐる衝突、ウクライナがEUに接近したことで起こった争い、ロシアの中央アジアへの進出、
G2(中国と米国)、南シナ海を巡る問題、一帯一路の盛大な構想、
ISISのサイクス・ピコ協定の無効化、
電気自動車の登場によって塗り替えられるエネルギー問題、エネルギー転換とグリーン・ディール・・・・・・
とにかくもー、文字が多すぎるし、知らないことが多すぎて、疲れた・・・・・。
地政学ってゆーのはさー、1人の研究者で1冊の本を書くのって、そもそも、ムリじゃない?
それぞれの専門家が、詳しい専門知識を持ち寄って、それぞれの意見を擦り合わせながら、それを大局的な見地からまとめるジェネラリストもいて、1冊にまとめるべき内容だよ。
もっと、グラフや、表や、統計データも組み込んで、読みやすくしてほしい。
文字ばっか延々と続くのは、おかしいよ。
プルーストの小説じゃあるまいし。
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83
シェール革命で、地政学も変化した。
世界の石油市場は一変し、エネルギーの安全保障の概念が変わりつつある。
これまで何十年にもわたって、世界の石油市場を規定してきたOPEC加盟国vs.非加盟国、という構図から
アメリカ、ロシア、サウジアラビアのビッグ3、という新しいパラダイムに取って代わられた。
モスクワ、リヤド、ワシントンの間で、前例のないやり取りが交わされるようになった。
113
ウクライナがEUとの関係を深めれば、地政学的にも大きな影響をもたらす。
ウクライナは必然的にロシアから離れることになるからだ。
しかし、ロシアにとってウクライナは、主要な関心事だった。
143
中国とロシア
両国の役割分担ははっきりしていた
地政学的な連携のもと
中国が、製造、消費財、金融を
ロシアが、石油、天然ガス、石炭、その他のコモディティを提供する、という関係
プーチンが中国を
「重要な戦略的パートナー」と呼び
習近平がロシアを
「最も信頼できる戦略的パートナー」と呼んだ。
ロシア海軍が南シナ海で、中国海軍の軍事演習に参加した
中国との軍事協力の拡大が最優先事項だと
ロシアの国防相は述べている。
214
一帯一路には、最大で131カ国が加わる、とも言われている。
イタリアとギリシャも参加に前向きだ。
216
中国の一帯一路構想 地図
出所:IHSマークイット OECD CSIS
220
多くの国は中国からの投資を欲し、新しいグローバル経済に加わりたいと考えている。
しかし同時に、自国の独立も確保したい
ロシアや米国との関係を使って、中国の影響力の増大とのバランスを取ろうとするだろう。
225
2014年、イラクとシリアの間に惹かれた「サイクス・ピコ協定」の線を、ISISが消し去ったことを示すため、1本の動画がインターネット上に広められた。
サイクス・ピコ協定は死んだと、男は言った。
ISISが目指したのは、国境と国民国家を廃し、代わりに、カリフ制を復興させることだった。
国家主権ではなく、イスラムの権威と7世紀の諸構造にもとづいた帝国を築くこと。
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電気自動車の台頭は、石油産業にとって、世界の石油需要の35%を占める乗用車とライトトラックに、100年ぶりに強敵となりうる競争相手が現れたことを意味する。
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2009年、中国が米国を抜いて、世界最大の自動車市場になった。
その後も、米国との差を広げ続けている。
中国政府は2025年までに
国内販売される自動車の5台に1台を
新エネルギー車NEVにしたいという考えだ。
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インドでも、国内の自動車を電動化しようとする機運が高まっている。
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英国では、2040年までに、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する計画を発表した。
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バイデンは素早かった
2021.1.20.
大統領就任式で宣誓してからわずか数時間後
初めて大統領執務室の机に向かうと
「本日をもってパリ気候協定に復帰するという約束」を履行する大統領令に署名した。
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歴史か、国際法か、ナショナリズムと軍事力か、相互依存と共通の利益か、
今の南シナ海のをめぐる争いはこの対立によって特徴づけられている。
「歴史的な権利」という言葉で、鄭和を思い出せ
「海洋の自由」には、フーゴーー・グロティウスを
「米中の軍拡競争」には、アルフレッド・セイヤー・
マハンを
「米中関係の悪化」には、ノーマン・エンジェルを思い起こし
密接に結びついた世界経済の中で、切っても切れない関係にある両国の衝突コストを考えよ。
今、争われている海峡には、これら4人の亡霊が潜んでいる。
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エネルギーと地政学について。大部だがテーマごとに区切られており読みやすい。
・供給者として、OPECはもはや重要ではない。産油国としては米国が一位、次いでロシア、サウジの順番になっており、これがビッグスリー。中東はその莫大な埋蔵量と生産量の調節が可能なため、輸入国にとっては今後の重要。
米国ーシェール革命の影響
ロシアーガスのパイプラインを通じた欧州との関係
中東ーイラン(シーア派)とサウジ(スンニ派)の盟主争い
というのが3つの柱。
また、これまで見込みがないと考えられていた東地中海でもイスラエル領で巨大なガス田が発見され、今ではイスラエルもガスの輸出国となっているなどエネルギー資源の発見により今後も地政学的な影響があちこちで起こりうる
・需要家としては中国の話と欧州が少し出るぐらい。日本はもはや世界の中での存在感が無視できるレベルになっているのを実感させられる。中国は産油国としても日量380万バレルあり、世界第8位。しかし需要がこれをはるかに上回っており、輸入量は世界の総需要の75%を締めている。
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米国のシェール革命がエネルギーを取り巻く地政学上のパワーバランスを一変させたことがよく分かる1冊だと思う。中東の複雑な歴史については改めて勉強が必要だと痛感した。
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ー 以来、技術とイノベーションはエネルギー転換の要因になってきた。そのためには着想や発案から技術やイノベーションが生まれ、さらにそれらが最終的に市場へといたる必要がある。これは必ずしも短期間で起こるわけではない。エネルギーはソフトウェアとは違う。現に、リチウムバッテリーが1970年代半ばに発明されてから、路上を走る車に使われ始めるまでには、30年以上かかった。近代的な太陽光や風力の産業は1970年代初めに誕生したが、規模が拡大し始めたのは2010年以降だ。しかし、デジタルから新素材や人工知能、機械学習、さらにはビジネスモデルなどまで、イノベーションのペースは、関心の高まりとともに加速している。背景には、気候対策や政府の支援もあれば、投資家の判断、異分野の企業やイノベーター間の協力、技術や能力の収斂もある。
何がいつ起こるかは、関わる者の才能や、開発を支える資力、真剣さ、困難に負けない気力、創造性の豊かさにも左右される。イノベーションからは、破壊的なものであれそうでないものであれ、新しい技術が生まれ、それによってエネルギーと地政学の新しい地図が形成されることになるだろう。しかし地図は直線的に進む未来を保証するわけではない。ある程度の頻度で、思いもよらぬ妨げに見舞われ、そのつど進路変更を余儀なくされることは間違いないだろう。シェール革命も、2008年の金融危機も、アラブの春も、2011年の福島の原発事故も、電気自動車の復活も、太陽光のコストの急落も、世界的な大流行を引き起こす感染力の恐ろしく強いウイルスの出現と経済の暗黒時代も、米国の政治を揺るがした2020年の大規模な抗議行動も、予期せざるものだった。
しかし、予期でき、備えられる妨げもある。わたしたちがそれによって具体的にどういう道を進むことになるかまでは描けないとしても、はっきり「見えている」ものもある。1つには気候をめぐる困難の数々がそうだ。しかしそれだけではない。緊張が高まり、分裂が進む世界秩序においては、国家間の衝突もそうだと言える。 ー
ウクライナ侵攻の前に出版された作品だが、世界で起きている資源戦争の今が分かる作品。
僕たちアラフォー世代は10代の頃に『沈黙の春』を読み、環境問題に向き合わなければならないと教育を受けてきた。にも関わらず、その後の30年間、ほとんど何もして来なかった罪は重たい。
そして僕たちは来年40歳になる。次の25年で何を実現出来るのか、それが2050年の未来の姿を決める。そう考えると、僕たちの年代の責任が非常に重たいのがよく分かる。
僕たちは本来は、世界を変えなければならないのに、日々の小さな仕事に振り回されているのはいったい何故なんだい???
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化石燃料は政治力に関わっている
各国が政治的な影響力の支配を避けるため、なるべく分散して化石燃料を輸入している。
欧州はロシアの依存を減らそうとしているが、ドイツは大丈夫か?電気料金が上がる未来しか見えない。
中国がかなり政治的影響力を強めている。
今後のエネルギーは自国で作れるようになることが理想?