潜入記って、面白いよね
2022/09/07 13:15
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分で言わないかぎりインターネットの世界では誰もどこの誰かはわからない、著者も丸一年ほど、たっぷり時間をかけて自分がユダヤ人であるということを隠して白人至上主義の世界を覗き見た、それどころか煽ってネオナチである正体を剥がした相手さえいる、著者もいうとおり、彼らは十字軍の時代は西洋は白人の天下だったという幻想にとらわれている、もちろんその当時のヨーロッパには北アフリカの人も住んでいたし、ムスリムの人も住んでいたし、黒人もいたと思うのだが。彼らがいうところの純粋な白人というのは彼らの幻想である、長い歴史の中で交配を続けてきた人類にそんな人種は存在しないと私は思う。日本でも「アウシュビッツは存在しない」という出鱈目記事を載せた雑誌が廃刊に追い込まれたことがるが、その時の右翼の編集長が今でも右翼雑誌の責任者として出版界に生き残っているのは不思議だし気持ちが悪い
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彼らを通すな!
彼らは悲嘆に暮れて、ファシズムとの戦を続ける決意を固めた者たちだった
はじめに
第1章 憎悪
第2章 ユダヤ人
第3章 過激主義運動「ブーガルー」の台頭
第4章 アシュリン作戦
第5章 インセルとの冒険
第6章 古き良き時代の宗教
第7章 カジノからの脱出、10代のレイシスト、テック企業の責任
第8章 高まる動き――加速主義と暴力
第9章 アンティファが内戦を起こすというデマ
第10章 私たちの安全を守るのは私たちだ
おわりに
憎悪について書くと人は変わってしまう
ニンニクの臭いでユダヤ人を見分けることができる
仕事を成し遂げる義務はないが、自由に放棄することもできない
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表向きは「レイシストぶっつぶせ」→実際肩透かし。作者はユダヤ人で「理由もなく世界から迫害されてます。」なんなら「モテない家から出たことない人間にネットで名指しで死ね死ね言われます」というような内容で、だんだん腹が立ってきた。今まであんまユダヤ人に対しては個人的に恨みなかったけど、そんな「自分ら可哀想」いうてる暇あったら、一回イ◎ラ●ル解体してみればいんじゃね?だって、世の中ユダヤ人の都合のいいことばったじゃん?そりゃやっかまれるし、●ラエ◎が存在する理由も、明確でないんだもん。「いつのまにかそうなってた」
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エスノステート
ダーキー
マノスフィア
14文字のデヴィットレーンと88はイルヒトラー
テレグラム
ジョガー
カイク
フィーモイド/フォイド
知らないスラング多くて楽しかった
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トランプが大統領選に再度立候補しており、彼の背後で蠢くものが知れるかと思い読んだ。トランプのろくでもなさは当然として、白人至上主義者の中に巣食っている底知れない闇の深さが理解できる一冊だった。レイシストの現状は遠巻きに聞いているだけでもヒドいのに、潜入捜査を含めて自分の身を削りながら真相を暴こうとしている著者の姿勢にはリスペクト。
ユダヤ人のジャーナリストである著者は、白人至上主義者にカウンターすべくアクティビストとして積極的に動いてきた経緯があえう。そんな彼女がこれまで経験したことや背景にある差別思想について丁寧に解説してくれている一冊となっている。白人至上主義と言われても日本だとピンと来ないかもしれないが、同じような人種差別は日本にもある。安田氏の「寄稿」にも書かれていたが、日本における在日朝鮮人差別は、米国におけるユダヤ人差別と類似している。またキリストではない1000年以上前の北欧の神を持ち出し、自分たちの存在を権威づけていくムーブは、日本の右曲がりのダンディたちにおいて、ヤマトタケルを持ち出している場面を見たことがある。このように、国が変わっても差別主義者は同じような思考回路やムーブで自分たちのポジションを確保していることに驚いた。(日本が海外の潮流をなぞっているだけの可能性も多いにあるが)自らの存在の矮小さを忘れさせてくれる大きな物語に乗っかりたい人が多いのかもしれない。
白人至上主義は人種差別、ミソジニー、同性愛差別など、あらゆる差別の根っこにあるものと本著では位置付けられていた。人は性別、国、人種といったように、さまざまなグループに属しているわけだが、特定のグループでマイノリティでも、別のグループではマジョリティとなる。アメリカはその坩堝なわけで、何を切り口にして差別するのかと考えてしまうが、「白人、異性愛者、男性」という従来のアメリカ社会で多数派を占めていた人たちによる暴力的な姿勢が目に余った。
タイトルに「ダーク・ウェブ」とあるとおり、インターネットやSNSがもたらした負の側面に大きくフォーカスしていた。情報通信速度が高速化したことによる利便性の一方で、それと同じ速度で悪意も高速で伝播していくことを痛感させられる。自分の考えを強化する都合のよい「事実」を大量に摂取、タコツボ化し、悪い方向へどんどん振れていき、凄惨な事件が暴発してしまう。各国にいる白人主義者たちが連帯し、負のエネルギーがマグマのようにたまっていき最終的に噴火するかのような差別プロセスの描写が見事。
アクティビストとしての側面を大いに生かして著者が潜入調査するシーンがハイライトだろう。差別を解説するだけにとどまらず、自らの身を差別のフロンティアに投じていく。ネット上でなりすます分には、直接的な被害はそこまでないものの、カジノで開催された極右の集会に潜入してツイッターでポストしていくシーンはかなりスリリングだった。大半の集会参加者はネット弁慶だろうことが想像つくものの、一人でも過激な人間がいた場合、銃による暴力が行使される可能性があるアメリカは日本とは段違いの怖さがあった。この手の本は読み進めることにエネルギーが必要だし目を背けたいことしか書いていないが、ヘッドラインを読んでいるだけではわからない実情を知るために定期的に読んでいきたい。