貿易立国の繁栄と文化
2022/09/16 11:29
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フェルメールやレンブラントを代表とするオランダの絵画。17世紀の黄金時代、貿易で繁栄したオランダの生活事情から市民の家を飾る為のお手軽なサイズの絵画が流行した。そんな生活の一面やゼロメートル地帯に拡がる風景、流行のチューリップ取引を絡めて、楽しく解説。
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
オランダ黄金時代、そして才能豊かな画家たちと闇
フランドルの住人だった輝ける天才・ルーベンス
彼もまた動乱の時代の人。平和な時代に生まれていたらどんな作品を描いただろうか?
斜陽のスペインの宮廷画家・ベラスケス
坂道を転がりながら贅沢に溺れる王侯貴族をどう見ていたのか。
彼がオランダにいたら…つい想像してしまう。
晩年は不幸に見舞われたレンブラント
「放蕩息子の帰還」にはどれだけの嘆きが塗り込められているのか…
バーンのウィット兄弟の絵が凄惨
数年前に肖像画を描いた人物がなぶられ辱しめられ、兄と共に無残極まりない姿で逆さに吊るされている姿を描くことになった運命が悲しい。
アーフェルカンプが描いた冬景色
牧歌的な風景かと思えば画面の隅にカラスと犬が死んだ家畜を食う場面が。
一筋縄ではいかない皮肉な視線を感じた。
黄金も一皮剥けば暗黒というこんな時代をフェルメールはどんな思いで生きたのか。
少しでも幸せに生きたならいいが。
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フェルメール展がアムステルダムで行われていると聞き、気になって買った本。
フェルメールが生きた時代、スペインハプスブルク家からの独立だったり、東インド会社で儲けていたとか、穏やかに見えてかなり闘争心があるようなそんなオランダのことが好きになった~
これは何度でも読んで知識として身に着けたい本だった。
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[図書館]
読了:2022/8/3
「デルフト眺望」フェルメールの2点しかない風景画の一つ。傑作と言われるのも分かるなぁ。運河の静けさと朝の空気、永遠な時が止まったかのような「無音」さ。
「デ・ウィット兄弟の亡骸」これはやばい。。スプラッタじゃないですか…
p. 105 「とはいえ平らな土地には特別な景観もあるのだ。それは広大無辺の空であり、千変万化すゆ雲の動きだ。それらは海や川や運河の水に映り込み、天と地が一体になったかのような宇宙的感覚すら与えてくれる。
オランダ風景画において、いかに空の占める分量が大きいか。それは必ずしも構図上の効果のためだけではない。まさにその通りにしか見えないから、そういう画面になっている。」
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ある種、オランダの歴史書。オランダ人画家の作品解説を通し、当時のオランダの世相・風俗を伝えている。
宗教画が発達したカトリック国家(カトリック教会は絵画の大口発注者)と異なり、簡素なプロテスタント国家であるオランダで何故著名な画家が多数輩出されたのか。勉強になった。
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英中韓仏伊西…、語学学習者の数。蘭語は果たして何番目?アムステルダム以外の都市もわからない。現代日本人にとってこの国の存在は大きくない。江戸時代の貿易相手。唯一意識された欧州の国。……17世紀の地理学者が丹前を着ている。貴重品だったという。チューリップバブルがはじけたのも17世紀。現代日本とは違い、その後の長い不況はなかった。黄金時代の100年間。小さな絵画が庶民に流通。フェルメールにレンブラント。優れた画家が多かった。……パーツ探しのクイズ。見つけられずに、行ったり来たり。しっかりと絵の記憶を刻む。
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絵画から読み解いたオランダの歴史と風俗。
フェルメール、レンブラント、パルス、ロイスダール、バグハイゼン、ブリューゲルなどの代表的な画家の絵画を取り上げて、オランダの歴史や事件、オランダ人の気質などを学ぶことができる。 絵として描かれたものには、画家の意図や象徴が隠されており、見る人はそれを理解しなくてはいけない。 時代背景や登場人物などの知識があって、初めて絵の深読みができる。 この本では、オランダの歴史とともに、絵に込められた意味をやさしく解説されていて色々勉強になった。 質素で堅実な感じがあるオランダ人だが、意外にギャンブル好きだったり、商取引や科学に長けていたり、当時から先進的な考えを持つ人が多かったらしい。 絵画も盛んに取引され、多くの作品が出回ったが、現代まで残っているものは少ない。 それだけに現代でも見られる絵画が、時間を経て生き残った名画と言われる由縁である。日本が江戸時代にオランダに門戸を開いたわけがわかるような気がした。 (オランダ絵画には宗教色がほとんど感じられない)絵画の謎解きが味わえて歴史の勉強にもなる本だと思う。
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庶民のための絵画といえばフランス印象派というイメージだったが、オランダではなんとその2世紀も前、17世紀に庶民が絵画を愛でる時代がはじまっていた。
17世紀オランダの壁には、庶民の家や店など、さまざまな場所に小型の絵を飾られていた。
当時のオランダは、ほかヨーロッパ諸国に比較して経済的に豊かで、貧富の差が少なく、庶民まで暮らしの中に楽しみを見出す余暇を持てていたそう。
17世紀の100年間で、2000名の画家と、500万点以上の絵画が流通していたと試算されている。
実学を好み、好奇心が旺盛で、遊びも大好きという国民性には非常に興味が湧いた。こういうご時世で旅行がなかなか難しいが、ぜひ行ってみたいものだ。
オランダといえば風車とチューリップのイメージだった。
チューリップはてっきりもともとオランダに生息していた花なのかと思っていたが、原産地はトルコ。17世紀にオランダに輸入された。
当時オランダの人々はその鮮やかな色合と凛とした姿に夢中になり、チューリップバブルなる社会現象まで起こった。珍しい品種の球根には空取引まで実施され、当時最高の値がついた球根は、富裕な商人の年収の1.7倍程度の値段で取引されたらしい。
【本書で紹介され、個人的に気に入った絵画3点と感想】
・ワイク・バイ・ドゥールステーでの風車
(ヤーコプ・ファン・ロイスダール作 1668~1670年頃)
「低音なのに非常によく通る響き」の喩えは、この絵画の魅力をわかりやすく伝えていると思う。
画面の2/3を覆っている空はどんよりとした雲に覆われているが、その切れ目からは青い空が見えている。
海のそばで風は非常に強そうだ。
大きく存在感のある風車小屋が、空の中にどんと構え、風を受けている。
風が強い場所にいったときの、奮い立つような気持ちを思い出す。
オランダのアムステルダム国立美術館に収蔵されているとのことで、いつか直にみてみたい。
・ハールレムの聖ゲオルギウス市民隊幹部の宴会
(フランス・ハルス作 1616年)
オランダで当時はやっていたという集団肖像画、依頼主たちは代金を割り勘してお得に楽しんでいたというから面白い。
計12名の人物が描かれているが、すべての人物が魅力的な顔つきで描かれており、なんとなく人柄を察することができるのが非常に面白い。
合わせて描かれている装飾品や食卓、室内の様子も豪華で、非常に見応えがある。
175x324の大きい絵らしく、人物はほぼ等身大なのではないだろうか。生で見るとさぞ迫力があるだろう。
・スケーターたちの冬景色
(ヘンドリック・アーフェルカンプ作 1608年頃)
様々な階級の人が、同じ表情で嬉々として楽しんでいる。
ざわめきが聞こえてきそうなくらい楽しげ。
かなり細かい絵なので、実物をみるとさらに発見があって楽しそうだ。
その他→
・「サイのクララ」で画面奥に描かれた子連れのドレスの女性がつけている「ヴィザード」という黒い楕円形の仮面。
非常にインパクトが有る。耳にかけたりするのではなく、歯で噛んで装着したらしい。つけているとしゃべれないとのこと。
ちょっと現代日本の美意識からすると特異な感じがする。お歯黒的な感じだったんだろうか。気になる。
・「父の訓戒」悪書で値段の交渉などをしている絵だが、当時父が娘に説教している絵として紹介されていたという経緯が面白い。
大阪市立美術館で「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」を見たのが本書を知る切っ掛けとなったのだが、そういえばその美術展でも、4,5枚は売春をほのめかす絵があった。(鶏の受け渡しや、室内に猫がいることなど、見る人が見ればわかるメタファーで表されている絵が多く掲出されていた。)
当時人気の画題だったのだろうか??
・オランダは、現地の言葉では「ネーデルランド」と呼ばれている。なぜ本邦では「オランダ」と呼ばれるようになったのだろう。
そういえば、蘭学の蘭はオ「ラン」ダのランなのだろうか??
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多くの知らなかった絵画との出会いがありました。絵画の描かれた背景を知るのは楽しい。
オランダと言えばチューリップですがチューリップパブルの話は特に面白く読みました。
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17世紀のオランダの文化、生活、暮らし、戦争、事件などを40点近い絵画とともに、細部まで説明されている。
絵画なんてお金持ちの家にしかないと勝手に想像していたら、昔のオランダでは、庶民の家にも飾られていたらしい。オランダ人の間では、「人生の目の歓び」として絵を飾ることは当たり前だったらしい。素敵だなと思う。
うちは名画はポストカードでしか飾れないけど、うまく描けている子どもの絵は額に入れて飾ってある。これも目の歓び?
昨年、フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」の修復後の絵を美術館で見る機会があり、この作品も本の中で触れられていたので、興味深く読んだ。
修復前の余白がある背景も、修復後の画中画が現れた背景もどちらも好きだけど、フェルメールの思いが詰まった本来の作品(修復後の方)が大事にされていったらいいなと思う。
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オランダはフェルメールだけでなく、デステイルまで私は大好きです。江戸時代にオランダだけが西洋国で唯一鎖国中に貿易を許された国。
ネザーランドと言われた低国。小国であっても将来住みたい国の一つ。
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表紙の絵に惹かれて手に取ったのですが
思いがけず、素晴らしい発見の詰まった本でした。
中野京子さんの分かりやすくリズム感のある文章。
絵画を通して17世紀のオランダの黄金時代が紐解かれます。
オランダが スペインのハプスブルク家の所領から独立した様子が
ユーモアたっぷりに描写されていて、つい笑ってしまいます。
《しつこく金をせびり続けるストーカーから
やっとのことで自由になれた。
完全に手を切るまで実に80年が費やされた!》
これ、最高!
そして、カラーの見開き2ページで展開される数々の絵画。
その歴史的意味はさることながら、
背景や床、テーブルの上に描かれた小物たちの解説が楽しい。
例えば、フェルメールが描いた『地理学者』。
彼が羽織っている上着は日本の “丹前” で、
オランダ東インド会社が長崎の出島を通して仕入れたものだと。
造船技術に優れ、海洋貿易で他国を抜きんでていた
当時のオランダの様子をうかがい知ることができます。
常々疑問に思っていたことが二つ解明されました。
一つは、大塚美術館で観た『真珠の耳飾りの少女』のこと。
「えっ?!」と
びっくりするくらい小さな絵だったのです。
オランダには画家がたくさんいて、
庶民の顧客のために小さな絵を薄利多売をしていたのだとか。
納得です。
二つ目は、”go Dutch” (割り勘)という表現。
なぜ オランダ人(Dutch)?と疑問だったのです。
《絵の発注にも集団自画像という方法で割り勘にした》
オランダ人のシビアな金銭感覚が解説されていて
ストンと腑に落ちました。
オランダという国の特異な魅力がたくさん詰まった作品。
この本一冊で、絵を観る楽しみが何倍にも膨らみました。
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17世紀半ばのオランダの周辺諸国
都市
独立戦争
市民隊
女性たち
必需品
オランダ黄金時代 年表(前半)
chapter1
宗教
風車と帆船
東インド会社
実学志向
食材
オランダ黄金時代 年表(後半)
chapter2
チューリップ・バブル
悪場所
事件
手紙
遊び
chapter3
あとがき
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フェルメールなどの1650年頃の絵画を通して、絵や画家の解説だけではなく、当時の人々がどのような暮らしをしていて、どのような世界情勢で…というのを説明されています。レンブラントと徳川家光は同世代の人で2歳違い(レンブラントは1世代下)。鎖国時代の貿易相手オランダに思いを馳せ、絵がまた面白くなりました。
去年の7月に催された『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』を観に行く前にこの本を読んでいたら…と、後悔してしまいます。
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いつもの中野京子さん。絵画と歴史を紐付けて解説してくれるので、世界史に無知な私にはとても有難いです。オランダってかなり特殊な国ということがわかり、行ってみたくなりました。