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茶々という人物を、名前は聞いたことがあったが初めてちゃんと知った。3度の落城に合い、親の仇の妻になるという壮絶な人生に絶望し続けるのではなく、なんとかそこから幸せを見付け出そうとする強さに心を打たれた。だが、茶々がなんど絶望してもまた立ち上がろうと思えたのは他でもない治長がいつも茶々の手を握っていたからだ。治長という人物ほど苦しい人生を送った人物もなかなかないと思う。幼い頃に誓った主君への純粋な忠誠心は、歴史の大奔流に流される中で愛に変わり、執着に変わり、やがて暗く深い陰となっていく。茶々を守ることが自分の生きる意味であるのに、茶々を1人の男として愛してしまったがために茶々も自分も傷付けることになる。そんな罪の意識にとらわれ続けた治長の人生の中に信繁と小枝という治長という人間全てを受け入れてくれる人間がいたことは本当に救いだったと思う。他の選択肢がどんなに提示されたとて結局茶々の味方でいることを選択し続けた治長。その姿は家康の言うとおりあまりにも憐れで人を惹き付ける。この物語は現世では決して結ばれることが許されなかった2人が死によってさざなみの彼方にある幸せの場所に辿り着く物語だと思った。願わくば、2人が天国で誰に憚ることなく幸せになっていてほしい。
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『苦難の先の幸せの場所を求めて…戦国純愛物語』
秀吉の側室 茶々と乳母子 治長の悲しくも美しい純愛を描いた歴史小説風ラブストーリー。置かれた時代の中で、様々な困難を乗り越えながらも、決して実ることのない愛の行方は… こんなドラマを想像すると、歴史の見方が変わりますね!
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「言の葉は、残りて」でどっぷりと鎌倉時代に浸らせてくれた作者が今度は安土桃山時代へと誘う、浅井長政の娘・茶々と乳母子・大野治長との身分を超えた愛を描く歴史恋愛物語。
同じ歳の乳兄妹として幼少を過ごし、小谷城、北ノ庄城、そして大坂城と3度落城の憂き目にあった茶々を最も近くで支え、その幸せを最後まで願った治長。戦乱の世で翻弄される茶々の人生を、そばで支え愛し続けた治長の姿に胸熱。
父の仇とも言える秀吉の側室となった茶々が産んだ2人の息子・鶴松と拾(秀頼)が治長との密通によるものという噂は当時からあったようで、その噂が本当だったらという前提で描かれる2人の身分違いの愛の物語は、周りを巻き込んで苦しくも切ない感情を呼び起こす。
特に、大坂城落城の時、もはやこれまでと秀頼が自害し、治長が茶々を自らの手にかけた後自害するシーンは現世で叶うことのなかった2人の愛を思い心が震えた。
茶々をはじめ、お市の方、寧(おね)、千姫、治長の妻・小枝など戦乱の世の武家の女の覚悟と生き様には背筋が伸びる思い。
歴史が苦手な私、今回もウイキペディアのお世話になりながら、しっかりと歴史の勉強もさせてもらいました。さて、次はどの時代の物語で楽しませてくれるのか、作者の新作が今から楽しみです。
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あんまり恋愛小説って好んで読まないのですが、佐藤雫さんの描く恋愛ものは前作を読んで心を鷲掴みにされていたので、今作を本屋で見た瞬間衝動買いました。
買った後に満足してしまって何ヶ月か積読の後、ようやく昨日しっかりと読み始めました。
読み終わった心境は結末も相まって複雑…ではあったのですが、やっぱり最高のお話だったと声を大にして言いたい、いや言わせてください。
「最高だったっっっ!!!」
淀殿自体は戦国時代を生き抜いた女性の中でも群を抜いて有名だったので知ってはいたのですが、治長との噂は全く持って知らなかったので驚きました。
やっぱりロミジュリ要素のある主従での禁断の恋というのは、破滅の道だとしても応援したくなりますね。これは時代を超えた普遍的なものなのでしょうか…。それは置いておいて。
みんながみんな、誰がのことを想って生きていて、めちゃくちゃ人ができているのです。と言うか生きる上での矜持を大切にしていて、自分の信念があるんですよ。戦国時代という死と近い世の中に生きていると、いつ死ぬのかわからない恐ろしさがあります。だからみんな自分の人生のあり方に理想と、それを貫くための決意がある感じがしました。
ついつい死は遠いものに考えてしまいがちですけど、いつどんなことが起こるかわからないのに、こんなに毎日ヘラヘラしてて良いのかなと、この本を読んでて焦りの気持ちが芽生えました。それくらい、この本に出てくる登場人物は生き様がカッコ良かったです!
佐藤雫さんの次作を読める日が待ち遠しい。
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浅井三姉妹の長女茶々と乳母子大野治長の物語。
中学生くらいの時に読んでいたら純粋に楽しめただろうが、正直題材もストーリー展開も出回りすぎていて既視感が強かった。
今や色々な説や考察が溢れているが、茶々が過酷な運命を生きた女性というのは変わりない。
どういう選択をしても、家康は豊臣を生かしておく気はなかったんだろうな。
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戦国の世に翻弄される茶々との愛を貫く乳母子であった(仮定)大野治長との物語。二人の言葉で書かれているので、心情がわかりやすい。
市の方・寧々・秀吉・真田信繁など、二人の周りの人物も生き生きと浮かび上がる。
この本一冊で戦国時代の歴史をワクワクしながら学ぶことができると思う。
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すごくいい!!!まだ2作しか読んでないけど佐藤雫さんの歴史小説大好きです。
信長の快進撃、秀吉の下剋上、家康の天下取り。
あぁもう、歴戦の凄まじさ、この時代に生きた者たちの覚悟。壮絶すぎて何度泣いたかわからない。
特に羽柴勝家と秀吉に泣かされた。
著者の創作はもちろん含まれているけど、歴史上の登場人物たちの内面の葛藤や人間性がよく伝わって全くイメージが変わりました。
こういう小説で学んだら歴史ってこんなに面白くて深く理解できるのだなと思った。のっぺり史実だけが書かれた歴史の教科書の奥にこんな壮大なドラマがあったなんて。
中学生の時に読みたかったわ。