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子どもに読んでやった本。なかなかシュールです。かわいい子どもの手がかじかんでしまうので、手袋を与えてやりたい。だけど自分は人間が怖い。そこで、子どもキツネの手だけを人間の手に化かして、うそんこの葉っぱのお金を持たせて、買い物にやるお母さんキツネのお話です。夜中に閉店後のドアを叩いて、たった1人で手袋を買いに来る子どもなどありえません。今なら児童相談所に連絡されそうです。しかも、お店のおじさん、キツネだとバレバレの子に手袋を売ってやります。大変いいひとです。文中かじかむ手を子ギツネが表現した「おててがチンチンするよぉ〜」は今でも真冬に我が家で使われています。類似語に我が家オリジナルの「おみみがチンチンするよぉ〜」もあります。子どもたちは、ここからの引用だということを忘れているかもしれませんが。
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子狐にとって初めての冬。初めての雪にはしゃぐ子狐の悴んだ手を見て、母狐は手袋を買ってやろうと考えました。母狐に片方だけ人間の手に変えてもらった子狐は手袋屋へ出かけます。人間を信用しきれない母狐は、子狐が心配でたまりません。そんな子を思う母の愛が見えてくる絵本だと思います。(by MIKI
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今年の目標は「月に1冊、小説を読むこと」。先月は20年以上振りにラテン文学の
名作『蜘蛛女のキス』を読んだ。
そして、今月は本書である。え?小説か?って。いいのです、私の中では児童文学
は立派な小説なのです。
小学生の頃によく読んだのは、学校の図書室や市の図書館で借りてきた伝記や
人名事典だった。なので、子供の頃に童話を読んだ記憶は少ない。
その数少ない記憶に残っているのが、新美南吉である。『ごんぎつね』なんて
何度、読み返したかしれない。
本書の収録作品の中にも狐を題材にしたものが多い。特に表題作である『手袋を
買いに』は、お母さん狐の最後のセリフ「ほんとうに人間はいいものかしら。
ほんとうに人間はいいものかしら。」を読んで、「ひどいことをしてごめんなさい」
なんて謝った覚えがある。あぁ、あの頃は純粋だったのだな、私も。笑。
動物と人間、大人と子供、都会と田舎。新美南吉のテーマに多いものだ。そして、
根底には人に対する優しい視線や温かい気持ちが流れている。
本書は大人向けの文庫なので挿絵がないのが残念。児童文学はやはり挿絵と一緒に
楽しみたい。
あぁ、新刊書店の絵本コーナーに走り出しそうな衝動と闘わなければ。汗。