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シロサイのノードン、ペンギンのチク、そして“ぼく”。三人の登場人物の人生が交わり、寄り添いながら歩みを進める、道なき道はそれぞれの地平線へ。
変化し続ける自然の一瞬を切り取った美しいイラストにも魅了される。
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動物園にいる動物はもしかしたらこう思ってるかもしれないと思うとなんだか胸が締め付けられそうな感覚になった。
人間さえいなければ、と人間の私が思ってしまった。
弱肉強食の世界の中で人間は異色を放っている。
保護ならまだしも、飼い慣らすのは間違いなのだろうかとすら思えてくる。
だけど、私は動物が好き、動物園も水族館も大好き
共存とは?これからも考え続けるべきなんだろう
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韓国の本。地球で最後の一頭となったシロサイ。妻を失い娘を失い同志を失い友だちを失い。それでも亡き友から託されたペンギンの子に最後の力をふりしぼって伝えること。自分は何者なのか、どうして生きぬかねばならないのか。大事な人を失い続けいつもひとり残されるシロサイの絶望。しかしそのシロサイも時が来て受け渡す側になる。命や想いは未来に受け継がれていくんだなと思う。長い長い夜を乗り越えて。
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これは本気ですばらしい本です。
憤り、虚しさ、可笑しみ、静かで深い愛、果てない想いと希望…感情のすべてがこの一冊にあります。
いろんな涙が出ます。
文章もさることながら、絵がまた素敵…
図書館で読んだのに飽き足らず、買いました。
私の好きな本、5本の指に入るくらいの愛読書です。
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4.5年から。最後のシロサイとなったノードン。彼の生きてきた道は、このタイトルに相応しい長い夜を過ごしてきた。あるペンギンとノードンの生き抜いてきたことの全てが、切切と人間である私たちに訴えてくる。サイの絶滅、オスのつがいなど、関連して伝えたい一冊。
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これは、長い長い夜のお話。
シロサイが、ペンギンたちが過ごしたいくつもの長い長い夜。
彼らには名前があった。
ノードン、チク、ウィンボ。
一頭と二羽の「お父さん」が繋いだ、いのち。
そう、その、いのち。「ぼく」と「お父さん」たちのお話。
「ぼく」は動物園のペンギン舎で見捨てられた卵だった。
ペンギンたちも飼育員たちも遠巻きに見ていた。
そこに、ふたりの「お父さん」チクとウィンボがやってきて、代わる代わる「ぼく
」を温めはじめた。
「ぼく」はチクとウィンボの愛情を受け止めて卵の中ですくすくと育った。
そこに「戦争」がやってくる───そして、「ぼく」は、シロサイのノードンと出会う───。
*
これはもう、泣いてしまう。
今、レビューを書いていてもあのシーン、このシーンと思い出し、胸と目頭が熱くなってくる。
こういう話に弱いんだよ。
作者のメッセージ性が強く、それが、弱点にも、強みにもなる気がするが、圧倒的なものがたりの力で一気に読ませる。
作者自身が描いたうつくしいイラストも、ものがたりには欠かせない魅力となっている。
イラストが構図といい、色使いといい、素敵なんよ。
最後に守りたいものを守れたら、その生き方は、幸福なのかもしれない。
そんなことを思った。
字の多い絵本のような、映画のような、そんな本だった。
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これまで苦手なKポップや韓流ドラマのイメージが強くて、どうしても手が出なかった韓国の作家さんの本。初めて読んでみました。
翻訳ものでもびっくりするほど読みやすかったです。翻訳物によくある、壮大な視野からの長い長い情景描写もなく、それぞれの動物の主観的視野で、感情を丁寧に描いていて、日本文学に近いけれど、言葉には上手く表せないけれどまた違った感覚もあって…
すごく、すごく良かったです。
〜 一つの小さなたまごに すべてをかけた
生きものたちの命の物語〜
と書かれています。
◯僕には名前がない。
でも、ぼくは自分が誰なのか知っている。
名前を持つってことよりも、ずっと大切なことを教えてくれたのは、3人の父さんたちだ。
ページ毎に色々な感情が溢れてきて、上手く感想を書くことができません。大切なもののために懸命に生きた、生きものたちの想いに、ひどく心を揺さぶられました。何度も読み返したくなる、大切な場面がたくさんある、素敵な一冊でした。
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児童小説ですが泣きながら読みました。
著者のルリ氏は2018年に地上最後のキタシロサイのオスが死亡したニュースを知り、本作を描いたそうです。
この物語にもオスのシロサイが登場します。
一人称を主人公とするなら、それはこのシロサイ・ノードンに育てられたペンギンとなるわけですが私にとっての主人公はノードンでした。
ノードンの最も古い記憶は、自分を囲むゾウ達の長い鼻。ゾウの保護施設にシロサイのノードンはいた。
ゾウ達に助けられ愛されて育ったノードンは、保護施設の人間たちによって外の世界に戻されることとなる。やがて妻となるサイと出会い最愛の娘を授かり幸せな日々を送るも、密猟者達により突然家族を失ってしまう。
生き延びたノードンは動物園に運ばれ、サイのアンガブーと出会うがー。
ここからなぜ、このノードンがペンギンを育てることになるのかは伏せておくとして。
読んでいる途中から涙をこらえるのに苦労しました。
怒り、憎しみ、諦め、慈しみ、愛、希望など我々が持ち得る様々な感情の全てがこの作品には詰め込まれており、その表現(翻訳)が秀逸。
時に鋭く、時に柔らかく読み手の心を刺激し続け心が震えるとはまさにこういうことかという思いです。
「いいか、わたしを信じろ。名前をもっていいことなど一つもない。わたしだって、名前のないころのほうがずっと幸せだった。第一、サイが育てたペンギンなんだぞ。名前なんかなぬても、おまえのにおい、話し方、歩き方だけでも、じゅうぶんに見分けられる。心配いらないよ。」
これは名前を欲しがったペンギンにノードンが向けた言葉です。
名前や所属、そんなもの(レッテル)ではなくノードンがペンギンそのものを見ていることがしっかりと伝わるこの言葉。現代を生きる私たちが胸に刻むべきものだと感じました。
本作はルリ氏が生み出したストーリーのみならず、美しいイラストも魅力の1つです。
作品の長さ、漢字の難易度からして我が子が読めるようになるのは暫く先になりそうですが、その時がきたら是非読んでほしいです。
また広く大人の方にも手に取ってほしいと思いました。
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密猟者に家族を殺された地球最後の北シロサイ・ノードン。ペンギン・チクに卵を託され生まれたペンギンの父となる。ノードンはペンギンに過酷な世界で生残る法を教える。目指すは海。人生観変わる。