感染症の中で歩み始める
2022/09/16 13:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
パンデミックにより、一度歩みを止め、インナートリップに浸った著者が、変わったかもしれない外の世界に向かって動き始めた。居着いてしまわないように、keep movingと、思考を周囲に向かわせ始める。感染症という非常事態は、希望を持つことにより予定調和を期待する日本の人々を、あらぬ方向に向かわせるが、ここで居つくことは禁忌のようだ。生きるとは、生が与えてくれる多くの可能性を享受することであるという。日本の社会は世間体という戒律の拘束力が強い国であるが、可能性を享受できるよう、常識ではなく良識で生きたい。
暇つぶしには向いている。
2024/12/06 23:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はまち - この投稿者のレビュー一覧を見る
期待していないからこそ、読んだときはへーと思える。つまらなかったら読み飛ばせばいいし。ところどころおもしろかったし。私にとって読書は暇つぶし。タイトルは最高の誉め言葉です。
ヤマザキさんの頭の中
2024/03/01 23:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界を飛び回っていたヤマザキさんが、コロナ禍の影響で日本で暮らすことに。
いままで見えてなかったことに気が付いたり、海外と日本の社会の仕組みの違いを深く考えたり、昆虫の一生から人間の生物としてのありかたを考えたりと、
グローバルな視点からヤマザキさんのさまざまな考えが興味深い。
さばさばした語り口でバッサバッサ切ってるイメージですが、考えはいたってシンプル。ますますファンになる。
投稿元:
レビューを見る
ヤマザキマリさんの前向きな考え方には目から鱗のところが多かったです。
非常事態の時どのような行動をとったかなど、参考になりました。
世界的視点で今回のパンデミックを見ているところもヤマザキさんならではだと思いました。
普通に考えたらただの困難な道も独自の打開策は必ずあるからあきらめずに思考することだと思いました。
何か、他の御著書で読んだことがある気がするのですが、一番参考になったヤマザキマリさんのエピソードを以下に抜粋します。
(P221より)
日本でアニメ化もされた19世紀イギリスの児童文学を私に読ませた母の目論みは、絵描きになりたいと言い出した娘を思い直させようというものでした。ご存知の方も多いと思いますが、あの物語は実に悲しいクライマックスを迎えます。画家になる夢をもった牛乳運びの貧しい少年ネロが、極寒のなか、大聖堂のルーベンスの祭壇画の前で愛犬パトラッシュと絶命してしまいます。アニメ放映の最終回では大概の人が「かわいそうに」とその死に涙しました。今でも思い出すと泣けるという友人もいます。母も最後のぺージをじっと見入っている私に、兼ねてから準備していたと思しき言葉を掛けてきました。
「ね?かわいそうでしょ?絵描きさんになるということは、そういうことなのよ」
しかし、物語を読み終えた私には、ネロをかわいそうだと思うことができませんでした。
そこへ至るまでの彼の煮え切らない態度に何か納得のいかないものを覚えていたので、「ネロは勇気がなかったからこんな目に遭ったんだ」と受け止めたのです。誰かが自分の絵を認めてくれるのを待っている姿には、謙虚さよりも「驕り」すら感じました。誰かの助けを当てになどせず、いざというときには知恵を狡猾に駆使すればいいだけのことだったのではないか、運河に停まっている船にでもこっそり乗り込んで、もっと暖かい地域に行っていれば、犬まで道連れにして死ぬようなことはなかったのでは、と考えたものです。
当時、私が『フランダースの犬』と共に読んでいたのが、『シンドバッドの冒険』と『ニルスの不思議な旅』でした。二つの物語に共通するのは、主人公が困った状況に陥っても、より広い世界に目を向けて冒険に乗り出すという点です。「才能があるのにそれを発揮することもなく、誰にも認められないまま死んでいくのね。かわいそう」という慈愛の倫理よりも、私にはシンドバッドのずる賢さのほうがずっと魅力的に思えてなりませんでした。
フランダースのネロも、外に目を向ければ逃げ道がたくさんあったと思うのです。目の前の環境だけでなく、地球全体を見るつもりで、自分なりの価値観を築いていけば生きていくこともできる。実際、ちょっと後ろを振り返るだけでも、「なんだ、あっちにもこっちにも道や扉がたくさんあるじゃないか」と違う進路が見えてくる。事実、私はそうして17歳のときに、絵の道を選ぶことが推奨されない日本を飛び出して、未知の国イタリアへ行ってしまいました。
投稿元:
レビューを見る
「立ち止まって考える」から続けて読了。
前作はパンデミックになってみて、のヤマザキさんだったが今回はその中で生活してみて見えたことが書かれていた。
移動することが当たり前だった人が、それができなくなったときの辛さは想像を超えると思うが、向き合い、エネルギーを違う方向に向け、これはこれとして暮らしている雰囲気が力強くとてもよかった。
投稿元:
レビューを見る
ヤマサキさんの本はユーモア溢れ、説教くさくない所が良い。
過去の苦労を笑い飛ばす明るさ、冷静さ、俯瞰した観点から世の中を見る、賢いカッコいい女性だと思う。
以下、印象に残った箇所をメモ
●カブトムシ
「私が昆虫を好きなのは、彼らとは意志の疎通ができないから。」「通じ合うことがない存在と共生しているという実感」
●我が家の距離感
「一緒にいるときでも、お互いの生き方にいちいち干渉したり、自分達の価値観をおしつけたりしない」
「自分とは違う生き方を受け入れ、さらにそこから良い触発とリスペクトが生まれるかどうか。」
●安倍公房「砂の女」壁の向こうへ行こうともがく人
●
「大事をなしうる者は、小事もなしうる」
「keep moving」常に好奇心と感性を動かしつづけろという意味
「失敗を恐れるよりレジリエンスを」
「結婚は人生の解決策でもゴールでもない。」
「人間の社会が資本主義というシステムの中で稼働している以上、信憑性をかかげたいかなる推察や憶測も、誰かの利益のために情報として発信されている事は認識しておくべき」
「水溜りを避けて歩く方法論ばかり学んだ所で、水溜りに嵌まった場合にどうすればいいのか、我々の得意な機能である想像力を稼働出来ない人間が今は多すぎるのではないだろうか。極端なひとであれば、水溜りに足を濡らしただけで、ああ、自分の人生はもうおしまいだ、などど自分を追い詰めたりする場合もあるだろう」
投稿元:
レビューを見る
パンデミック下で考えたエッセイ。頷けること多数。ウィルスに対して勝ち負けで語るのは変。共有を前提にしない関係の意味など。
この人と暮らすと本当に面白いだろうなと思う。自分の頭で考え、偉ぶらず、卑下せず。
投稿元:
レビューを見る
「予定調和」という単語が印象に残った。
日本に住んでいる人たちは、甘やかされているように思えました。甘やかされて贅沢してるというわけではなく。。
私が想像したのは、日本人は言ったら(クレーム)言うこと聞いてもらえると思ってそう、という。
ピーチクパーチク言うだけで、自ら考えて自分のことは自分で責任を取ると思って決断できない。
自己責任論が蔓延ってるけれど、自分は責任取ろうとしない。他人のミスを過剰に挙げつらい成敗した気になってる。。
言えば改善してもらえる、管理してもらえる、コントロールしてもらえる。
IT化が進んだことで勘違いして、万能感を抱いてるのかもしれない。
人々の窮屈な感じは国土の狭さが関係してるのか?とぼんやり思った。
投稿元:
レビューを見る
パンデミック前は、"旅する漫画家"だったヤマザキマリさんが、パンデミックによって日本に長くとどまったことで、見えてきたこと、考えたことなどをまとめた本。
地球上の生き物の一種として人類を見たり、予定調和に沿った生き方、発言がよしとされる日本人の特性、慣習・文化を指摘したり、パンデミックの最中、反対する声も多かったにも関わらず、オリンピック・パラリンピックを十分な説明もないまま押し切って開催する政府の姿勢に対する違和感を述べていたりと、社会や人の生き方・考え方に対する深い考察が述べられた本。
古代から何度もパンデミックが起きているが、人はそれを生き抜いてきた遺伝子を持っているから、今回も大丈夫だというイタリア人の(ヤマザキさんの舅の)発想を含め、個人的には共感することが多かった。
特に次の点は今後も意識していきたいと思う。
・「常識」ではなく「良識」で生きる。
・Keep moving: 常に好奇心と感性を動かし続けろ。
・「パブリックイメージという予定調和」を過信しない。(パブリックイメージには予定調和的な期待が込められていることが多いので、鵜呑みにするのではなく、本質を見るようにしたい。)
投稿元:
レビューを見る
まず、著者の東京の自宅というか仕事場が
自分の自宅の近くであったことがわかって
そうなのか・・と驚き(本当の驚きまではないですが)ました。
内容的には、根底としては同意する考え方が多く
述べられてあり、同意するものが多く、また
納得というか、気づきをもらったものもありました。
ただ、イタリアや西洋と日本を2項的に比較する態度
には、ちょっとちがうのではないかなあと
思う部分もありました。
もっと、本当はボーダレスというか、何をアイコンとして取り上げるかという態度による違いだけのような気がします。
投稿元:
レビューを見る
前作たちどまって考えるからアフターコロナ歩きながら考えるをヤマザキマリさん講師小樽市民大学講座で学んだ。
投稿元:
レビューを見る
ヤマザキマリさんがコロナ禍で考えたこと。
外に目を向ければ逃げ道はある。
思考力と想像力。
keep moving
投稿元:
レビューを見る
何事も自分の頭で考えることの大切さを教えてもらえる本だ。信じることは一種の怠惰、という表現に感銘を受けた。
投稿元:
レビューを見る
著者の哲学がいろいろ垣間見えるエッセイ。
ただ、今までの破天荒な内容とは違って、少し期待していたものとは違うよそおい。
とはいえ、再び繰り返される暗黒の時代を危惧している考え方には同調する。歴史をよく知る人にとってのその危機感は説得力がある。
投稿元:
レビューを見る
先行き不透明な世界で、私たちはどう生きていけば良いのか? 「旅する漫画家」による、自分の足で歩き続けるための実践的指南書。