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投稿者:ひろとこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
他には読んだことのないタイプの本だった。絶滅動物かわいそう的な本ではなく、出島にドードーがきたかもしれない歴史的事実を追ったり、世界をめぐって学術的な興味をかき立てられたり、何よりその裏には著者の行動力と熱い思いが感じられて、とても楽しかった。その上で1周回ってやっぱりドードーが絶滅していなかったら良かったなと思うのである。
ドードーを私が初めて知ったのは、「不思議の国のアリス」
2022/04/04 12:12
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドードーを私が初めて知ったのは、「不思議の国のアリス」。涙の池からアリスと動物たちが上がったあと、体を乾かすために「コーカスレース」を始めることを提案するのがドードー鳥だった。ドードーはルイス・キャロルことチャールズ・ドジソン自身を指しているともいわれている、そのふっくらした体形とか、吃音とか。最近の研究では、ドードーはそこまで太っていなくてスリムな体だったらしいというのが通説になっているそうだ。飛べないハトの仲間でオランダ人に「発見」されてから1世紀もたたずに姿を消したというから、ここでも欧州の連中は碌なことをしていない。今。モーリシャスでは代替種を使った生態系の実験をしているらしい、絶滅した種に近い種を住まわせて環境を元に戻そうという。しかし、その実験には代替種のいないドードーは参加することができない
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絶滅した動物の代表のような、個性的な見た目の飛べない鳥、ドードー。
『不思議の国のアリス』や『ドラえもん』にも登場するので子供にも知られている…かもしれない(知らない人も結構いる気がする)。
この本は、同じ絶滅したオオナマケモノについて調べていた著者が「日本にドードーが来ていた」という論文と出会ったことから始まる、日本から世界をわたる長き旅=堂々めぐりについて書かれたもの。朝日新聞の広告欄で見て、一目惚れして手に取った。
表紙には、出島を望む長崎の高台に佇むドードー画。これは歴史画ではなく、論文を書いた研究者(画家でもある)が描いたものだが、夢のある、表紙にふさわしい絵画である。
出島に滞在したオランダ人の記録がすでに1938年に日本人により編纂されていて、そこに「ドードー鳥」と記されているのに、それは動物学、ドードーを研究するような人の目には触れずに、2014年、オランダとイギリスの研究者により発見され、論文となった。
オランダ人はドードーを絶滅させてしまった贖罪感をしばしば口にするそうで、たぶんそれは、ドードーの不恰好な姿(本当はもっとスマートであることがこの書には描かれているが)や、飛ばないことから捕獲されやすかったと聞く時の想像のしやすさというか、残酷さを思い描くからだろうか(狩猟再現画というのが掲載されてるがほんとかわいそう)。
しかし、「間抜けな鳥(ドードーの語源)」だの、「吐き気を催す(肉が硬くて美味しくなかったそうだ)鳥」だの、「おろかな超おろかな鳥(チェコ、2回言わなくても)」散々な言われようで、本当に気の毒な鳥だ。
でもその気の毒さ、見た目の間抜けさが人を惹きつけるのかなあと思う。
はるばる日本に来たドードーの行方は…本書を読んでください。
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堂々(ドードー)めぐりの物語、おもしろかった。図版がきれいで、文章中に参照の形で何回も出てきて、わかりやすかった。
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江戸時代のドードーが来日していた!絶滅した鳥類の痕跡を辿る旅は結論のない堂々めぐり。
「不思議の国のアリス」や「ドラえもん」にも登場し、絶滅種としては異例の知名度のドードー。痕跡を追って日本からオランダ、ロンドン、生息地だったモーリシャスまで。少ない記録や標本を辿る。
言及される図版ははぼ掲載しており可能な限りカラーなところが良い。
題名のとおり結論のない堂々めぐりなので、劇的な展開がなく単調。それだけ脚色もなく真摯に、ドードーと向かい合っているということだろう。
生産性のない知的な探求、博学的な内容だからこそ楽しめる一冊。
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江戸時代初期、長崎の出島に絶滅鳥ドードーが来ていたらしい❗400年の時を超えた堂々めぐり、カラー図版も多く、興味深く読んだ。
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面白かった!!ビジュアル資料もたっぷりで、大満足のノンフィクション、よくばり科学日本史世界史ミステリという感じでしょうか、上質です、とっても上質(2度言う)。表紙が魅力的ですね、長崎の出島を丘の上から見下ろすドードー、これは興奮です。内容は日本に輸入されていたドードーの足跡を辿り、ドードーについての基礎知識、ドードー研究の現在を読みやすく、トピックに分けてQEDに迫っていきます。迫るだけですが(笑)。正保4年のドードーと日本のドードー研究者、西洋史ヨーロッパにおけるドードー、モーリシャス。こういう系統の本は鳥類学者や自然科学系の研究者が著者であることが多く、そっち系の文章には慣れていない人も多いと思うが、本著はさすがの文学者によるものなので、非常に読みやすく、うまいことベイトをあちこちにちらせて、するすると引き込まれていきます。書店で、自然科学のコーナーに置いていたのだが、これは一般図書、ノンフィクションのところに並べておくほうが、売れるのでは?と思う。多くの人に読んでほしい1冊。
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正保4年(1647年)約375年前に絶滅した鳥(ドード)を
めぐって、世界のあちらこちらに堂々めぐりしたお話。
地理的にはインド洋のモーリシャス島の固有種でありながら、ヨーロッパ、インド、日本が関わる世界規模のスケールで移動した鳥、ドードー話が面白い。
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江戸時代の日本の出島に生きたドードーがやってきていた。そんな事実を確認した著者がドードーの実態に迫る。絶滅した動物について知るために過去の文献を具に調べる必要があるが、そのためにはドードーについて先人が記録を残していなければそもそも情報を得られない。著者が丁寧に文献にあたり、知見を持っている人を取材し、モーリシャスで発掘作業にも携わる。そして本書が次のドードー研究へとつながっていく。書名の“堂々めぐり”はもちろん“ドードー”からきているが、調査は堂々巡りにはなっておらず、どちらかというと調査の螺旋階段を上るイメージである。本書はドードーについて生物学的な知見を得るものではない。調査とはこのように実施し、次の世代に何を残すのかを語ったものである。そこを楽しむべきである。
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ドードー鳥をフックにインテリジェンスミステリーな感じで、その軌跡を追うという形。それにしても文献とか残ってそうで残っていなかったり、またドードー自身の不確定さから靄がかかった軌跡で、非常に面白く仕上がってます。江戸時代に日本にドードー鳥がいた。これだけで話として面白いのですが、その追っかける中での判明する歴史と事実と推察は非常に興味深く読めます。
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ものすごく気になっていたテーマが
魅力的なタイトルで出版されたので購入。
絶滅してしまったドードーが実は日本に上陸していたなんて
想像しただけでワクワクしながら読みました。
わかっていること、わかりそうなこと、まだわかっていないこと
それぞれ現時点での状況を知ることで
研究は今もこれからも続くのだなと実感しました。
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すごい…
大作。大力作。
何がすごいって、愛がすごい。
最近見た映画や本の中でもとりわけ愛が深い。
すっかりドードーのファンになって、終盤出てくるドードーら絶滅種が生きていた頃の再現図見たときには涙が出そうになったくらい。
好きなものに対して、ここまで一心不乱に身を捧げられるのが本当に素敵だしかっこいい。
あと、著者の川端さんの、いい人なんだろうなと思わせる人となりも良い。ところどころお茶目というかかわいい。
ニワトリが目の前駆けていって、思わずソリテア?!となっちゃうところとか、
ゴールデンバット(黄金バット!)←ここかわいい
ブロンズ像のゾウガメを一瞬本物と見間違えてテンション爆上がりなのもかわいい笑
これを読んだ貴方は確実にドードロジストの仲間入り。
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魅力的なタイトルに魅かれて手に取った。
日本にドードーが来ていたなんてなんてワクワクするのかと。決定的となるものはなくとも読後もワクワクの気持ちは消えることなく、モーリシャスの絶滅動物と世界の歴史との関連について知ることができた満足感に浸れた。
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17世紀には絶滅していたドードーという鳥を巡る話である。絶滅した生物を求めて世界の各地を取材するドキュメンタリーの要素もある。
この鳥は江戸時代の始めに長崎に連れてこられていたらしい。その記録を探るが決定的な資料がないのは残念だ。
原産地のモーリシャスがオランダ、フランス、イギリスの支配を受ける中で、絶滅種の研究が影響を受けたことや、いま他種の移植によってもとの形に似た生態系を復元しようとする試みがあることなども紹介されていた。
人間によって自然がどれほど影響を受け、どこまで手を入れることが許されるのかを考えさせられた。
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ドラえもんによって日本人には特に馴染みが深いかもしれない絶滅種の代表格ドードーが日本に来ていた?というところから始まる著者の旅。
学術調査に近い紀行のような本なので、読み手は選ぶと思う。ドードーという言葉に特別な感慨を覚えるなら読んでみたら面白いと思う。