0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
パンデミックで世の中が一番ピリピリしていた頃が舞台。
読んでいてあの頃の息苦しさを思い出した。
紙屋ふじさきの記念館の移転先が見つかった!
めでたく川越に移転。
川越はこのままだとほしおタウンになるかも(笑)
移転に対しての百花ちゃんの「がんばります」の言葉がとで頼もしく聞こえた。
新天地でがんばれ!
アルバムと紙箱作り
2024/01/15 21:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
閉館が決まった和紙の記念館は、新しい活動につなげるためにイベントをしようと企画していた所でコロナ禍に突入し、イベントは中止になったまま後片付けのみで終わってしまった。
記念館でのアルバイトから紙の奥深さに目覚めた主人公の百花だったが、大学最後の一年はコロナで一変した生活となってしまう。
授業もゼミもオンライン、アルバイトはなくなってしまい、就活もどうなるかわからないという三年前のステイホーム時代を思い出す。
自分の仕事はエッセンシャルワーカー枠だったので問題なく給料も出て、家では趣味の読書三昧で猫とステイホームを満喫していましたが。
それでも外に出れないストレスが最初の頃はたまっていた記憶がある。
まして誰とも会わない学生生活や就活活動、一人暮らしの孤独が与えた不安は計り知れない。
懐かしく思い出すにはリアルすぎ、話の一部にするには本の中でのウェイトが大きすぎるコロナ禍のエピソードだった。
それでも卒論に真面目に取り組んだり、ゼミの先生に手紙や記念品を作って送ってと学生らしい話も出てきます。
卒論の話に絡んで小川未明の『赤い蝋燭と人魚』も出てきます。
月光荘のシリーズでもこの作品が出ていたので青空文庫で読んでみた。
ストーリーもダークファンタジーのような仄暗さに満ちているが、これを題材にした絵画は映えるだろうし見てみたい。
学園祭ではそれまで作っていたサークル雑誌をどんな形にするか試行錯誤しながら、時代に合わせて柔軟に対応していきます。
コロナで人とのつながりが薄れてしまっている時代だからこそ日常を大切にしようというコンセプトのもとに、サークルの記念として小冊子を作ったりアルバム作りにチャレンジしたりと楽しそうだ。
卒論執筆の気分転換に紙箱を作ったりアルバムを製本したりと趣味の世界も楽しそう。
わたしも製本のマニュアルブックを読んだことがあるが、必要な材料が意外と多くて工作過程もなかなか複雑だったのであきらめたんだった。
いつか豆本と本をしまう箱をセットで作ってみたいです。
コロナの話が延々と続いていましたが、ようやく記念館の方も新設のめどが立ったようです。
しかも場所は川越とこれまでのほしお作品とのコラボがより加速しそうな立地だ。
レターセットや水引で加工したアルバムと新たな商品のアイデアも浮かんできて、新しく動き出そうというところで次巻へ続く。
投稿元:
レビューを見る
「紙屋ふじさき記念館」その6。
前作で現実世界のコロナ禍が物語を変化させ、本作ではコロナ禍中の一年が綴られる。
オンラインでのゼミや就職活動、最後の大学祭、卒論。
百花は無事に藤崎産業への就職を決め、ビルの建替えのため閉鎖された記念館は、より大規模な記念館として(ほしおさんお得意の)川越市で再開する運びとなる。もちろん百花は、そこの専任スタッフに迎えられる運びと、とことんとんとん拍子。
めでたしめでたし。
『結のアルバム』とは、水引細工を組み合わせた百花手作りの夫婦箱に、手製本で綴じ合わせた学生たちから恩師へのメッセージをおさめたもの。
一昔前なら色紙に寄せ書きなんてことをしたものだけれど…
紙や伝統工芸の話が興味深いので、まだ読んでいるが、ますます夢見る女子の小綺麗なモノローグ、人に読ませる前提で書いた日記帳のよう。
うーん。
気楽にお付き合いしていくシリーズかなぁ。
投稿元:
レビューを見る
シリーズ6作目。
コロナの世界的大流行の影響で記念館閉館イベントは全て中止。
大学4年生となった百花は、リモート環境下で卒論と就職試験に取り組むこととなる。
突然身に降りかかった未曽有の事態。
誰もが不安で、どう乗り越えたらいいのか分からなかった2020年を2年の期間をおいて描いてくれたことで、その実態を冷静に受け止めることが出来た気がした。
5作目の感想で、「書き急ぐのか?」と書いたが、この6作目でコロナに翻弄された1年を丁寧に描いていたような気がする。
学生の大事な1年さえも、コロナは奪ってしまった。
たくさんの人が虚無感に襲われたと思うが、自分の心の中にいつもいた大学4年生、高校3年生など最後の1年間を奪われてしまった人々の想いが、今作を通じて知ることが出来た気がする。
もちろん、今作はフィクション。
作者さんだって、本当の大学生ではない。
それでも百花やゼミの同級生、サークルの仲間とのやり取りから、にじむやるせなさや、その中で必死に前を向こうとする気持ちを感じ取ることが出来た気がする。
リモートのやり取りしか出来ない中で、自分が出来ることを見出そうとする人たちの言葉にも勇気をもらえた。
特殊な環境だから、これまでのような内容とは違うけれど、唯一出て来た「結のアルバム」のラストには涙がこぼれた。
記念館の未来には驚きだったが、次作から藤崎産業の社員となる百花の活躍に期待。
今作の刊行記念のオリジナルグッズが、すごい気になる・・・
投稿元:
レビューを見る
シリーズもだいぶ長くなってきて、主人公の成長
や先の未来が描かれるはずなのに、ここにきてコロナ禍。。でもしっかり向き合って描いてるほしおさんに拍手。緊急事態宣言、数年前のことなのに今でもあのときの状況が鮮明に思い出されるのは、やっぱり誰にとっても衝撃が大きかったのではないかなぁと思う。
でも主人公が本質は変わらないながらも、成長していく姿がこれからも楽しみです。話の中で、やる気っていうのは出そうと思っても出るものではない、まずは始めてみることでやる気が出てくる、という言葉があり印象的でした。
この先の続くお話が明るいものであるように、引き続き応援したいと思います。次の新しい記念館のお話が待ち遠しいです。
投稿元:
レビューを見る
春霞の小箱から世相を反映した内容になっていて、記念館の閉館は新型ウイルスの影響でイベントが中止。淡々と片づけ、そのうちに緊急事態宣言なんてものが発出され、大学最後の年は不穏な始まりを迎えた百花。家族がいるからなんとか家だけの生活でもなったけれど、一人暮らしの大学生にはかなりきつい期間だっただろう。
百花の就職活動、藤崎産業の採用活動はされるのだろうか。館長はいま必要な部署で取り急ぎがむしゃらに働いているよう。
タイトルのアルバム、どんなものかととても期待していた。画で見られないのは残念だけれど、百花が卒論の合間に作成していた箱、いいなぁ。水引で模様がつけられているなんて、なおさら!先生もさぞかし嬉しかったと思う。
投稿元:
レビューを見る
コロナが始まって3年がたとうとしています。始まりはこうだったなぁとか、あの頃はこんなに長く続くなんて思ってなかったなぁ、何て思いながら読み進めていました。
「世の中はいいことばかりではないですから、苦しむこともあるでしょう。でも、良く生きてください。」ゼミの笹山先生の言葉が、今のこのコロナの時代を生きる私達へのメッセージに思えて、ぜひ多くの人にこの本を読んで欲しいと思いました。
大変な時に卒業の年を迎え、でも無事「藤崎産業」に就職できた百花。ここに行き着くまでの、多くの人との関わりと、そこから学び歩んでいこうとする百花のたゆまない努力。これから新しくできる記念館での、百花の活躍と成長が
とても楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
コロナで日常が大きく変わってしまった時代。この時期の学生さんや新入社員さん大変だったと思う。コミニュケーションのとり方に悩んだ時期ですね。
百花さんも就職が内定し、記念館が川越になりそうで、この小説も川越の仲間入り?
これからの展開が楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
コロナ禍を真正面から扱っている今作。これは、紙というものの歴史を捉える点、そして何より「繋がり」を考える意味でも避けて通れないテーマ。優しい物語の中に作者の強いメッセージを感じた。
投稿元:
レビューを見る
シリーズ最初の頃は、ずいぶん自分に自信のない主人公だなと思った百花も、大学四年生となり、悩みながらもしっかりと卒論と就活に取り組んでいる。自分の好きなことを見つめ、たくさん考えて未来を決めていく百花が素敵だった。ゼミのみんなから担当の笹山先生への贈り物は百花のアイデアで手書きのメッセージを製本したアルバム。オンラインで何でもできる時だからこそ、紙の良さを感じた。笹山先生の「世の中はいいことばかりではないですから、苦しむこともあるでしょう。でも、よく生きてください。」の言葉に、よく生きていこうと思った。
投稿元:
レビューを見る
この時代の学生の切なさよ…。
フィクションとはいえ、無事卒業おめでとう!
物語は川越シリーズに合流?
投稿元:
レビューを見る
コロナ禍の学生の卒論、就活、サークルの実態。
活動を制限された中での人は、不安定になって…
今回は何もできない中で作り出していく事について、どう気持ちを切り替えるか、百花の心理描写がたくさん出てきた。
それでも、この学校、このサークル、このゼミは恵まれている。
残念だったのは、百花の作った箱、アルバムの製本したものなどが、どこかイラストででも入っていてくれたらよく理解出来たのになぁというところ。
投稿元:
レビューを見る
「紙屋ふじさき記念館」シリーズ、六作目。
コロナ禍になった初年度が背景になっている。あれから3年、現在は感染者数が多いとはいえ、当時に比べれば、ウイルスの性格もわかってきて、またワクチンも開発され、だいぶ世の中も落ち着いてきたと言えるかもしれない。当時の非常事態宣言、感染したら「死」も意識しなければならない、ワクチンもないといった状況をこの小説を読みながた思い出していた。
主人公やその仲間たちも大学4年になり、コロナ禍の中、就活も卒論も頑張っている。この時期大学生活を送る人たちは本当に辛く、孤独な日々だったろうと感じた。
投稿元:
レビューを見る
コロナ禍の始まりは、こんな風だったなぁと思い出しながら読んだ。
それまでの当たり前が当たり前でなくなった日々。
不要不急の外出は禁止。それでも勉強や仕事はしなくてはならない。
世の中が停滞と変化を同時に求められたもどかしい時期。
学生さんは、特に気の毒だった。
百花はまさに学生さんで、その中で卒論や就活をしなくてはならなかったのは大変だったろう。
急速に変化した世の中で、「和紙」への意識が今後どんな風に変わっていくのか、変わらないのか、楽しみにしたい。
投稿元:
レビューを見る
このシリーズ6冊目。今度も配偶者のほうが先に読み終えた。
コロナ禍で記念館の閉館イベントも中止になった前作から続き、全編を通じて蔓延が始まったばかりの頃の街や生活の様子が描かれる。
不要不急の外出自粛、オンラインでの会議や面接、リモートワーク、病院や介護施設での面会謝絶といった緊急事態宣言下での生活だが、それらには私たちが経験したことやニュースで取り上げられた以上のものはなく、あの時はそうだったよねというようには思いながらも、あまり面白みはなし。
ただ、『いまのこの社会が現実。こんなことになってなかったら、って思うのはやめよう。いまだからできることはあるんだから、悔いがないようにいそれをやり遂げよう』という前向きな気持ちが表されていたのは、この物語らしくて良かった。
そうした状況を下敷きにしながら語られる第一話のメインは、百花の藤崎産業への入社試験。
ただでさえ緊張するのに加えてオンライン面接とは、なかなか動揺する局面ね。
ありきたりな展開だが、このタイミングで手漉き和紙の見本帳を送ってくる一成の心遣いが嬉しい(彼も成長したよね)。
第二話は大学祭に向けた雑誌づくりが中心の話。
コロナ禍の制約の中での知恵の出し合いだが、3年生も2年生もみんな前向きで救われる。
今やここから3年経っているのだが、色んなところでこういう知恵を出し合ってきて今の暮らし振りがあるのだなと改めて思わされた。
途中挟まれる松下さんの祖母の話は切ない。
第三話は卒論の話、の筈が、その気休めに箱づくりを始めたら、そちらがメインになった模様。
紙小物について考え出したり作り始めたりすると次々とこうしたらどうかということが湧き出して来るところはさすが“小鬼ちゃん”。
そんなことしないで早く卒論書きなよという気持ちだったが、こちらが気を揉んだ割にはあまり呻吟が描かれずに卒論が完成したのにはやや脱力。
記念館が再スタートすることになった時のオリジナルグッズを考えたり先生に渡す手紙の本づくりなども重なって、最後まで小鬼ちゃん振りのほうが目立つ。まあ、彼女らしいけど。
最後に出てきた記念館の移転先が川越になるのは、楽しみなようでもあり安易なような気もしたり。