黄金なるもの、天より堕ち【電子特別版】 みんなのレビュー

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投稿者：やじやじ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ネタバレあり

みっちり詰まった感のある作品でした。
敵国（ローマ帝国風）の人質にさらた皇子ユーニス
そしてその目の前に現われたのが祖国の将軍グイード
将軍としてではなく剣闘奴隷として現われた。
記憶喪失となっている彼を性奴隷として自分の側に置くことになったユーニス
ユーニスが子供の頃からもっているグイードへの想い
一方交互視点なのでグイードの秘密や思惑・想いもすぐにわかる。
そして敵国の中での二人の関係
将軍の顔と剣闘士の顔の二つを見せながら
（内心に恐れ多いとか思いつつ）身体の関係も深まっていく二人

ままならぬ虜囚の身の上であってもそこで責務を果たそうとするユーニス
そして密かにその「至宝」を救い出そうとするグイード
王子の周囲の環境を密やかに整えていったりする。
好意と背徳感
お互いがそれぞれ隠しつつ、お互いを求める様はぐっときます。
が、そこだけではない。
ロマニアの皇子・皇女たちが下衆いので
かなり酷い目にあわされつつなのですが。
その皇子・皇女の様は落ちる寸前の爛熟した果実の様をまざまざと見せつけてくる。
そして、まさにそうなるのだ。
なので、ユーニスもただ綺麗な人質だけの扱いはされないし
（まあ、かなりえぐくてエロいです）
爛熟した果実が地に落ちるまでの過程、
ユーニス（そしてグイード）が果たした役割を含めてすごい物語でありました。

ただ、ロマニア帝がその地位につき国に対してどう思って過ごしていたかも
ちょっと気になる。
（彼のしたことの非道さは筆舌に尽くしがたく、
また彼女がその後生き延びることができたのがとても不思議なくらいなのですが）
「見ずにはおられなかった」その気持ちも含めてもう少し描いて欲しかったかもと。
あと、ガイウスがどうして知ったのかは知りたかったかも。
（ちょっともやっとしたものが残った）

爛熟した実が落ちる時代に生きた王子と将軍の
最後にタイトルの意味がすとんと落ちてくる物語でした。

☆4.5