投稿元:
レビューを見る
うーんこれは・・・しんどいな~。繊細な若者たちの感じ方、世の中の受け止め方を描いているのだと思う。
たとえば『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』の七森は、"男の子"の輪の中で"ふつう"に振る舞おうとし、そうしてしまう自分もイヤだし、そうさせる周りもこわい。少し経ってから、あのときの自分は誰かを傷つけていたと思って、後悔したり苦しくなったりする。
そういういろんな気持ちをどこにも吐き出せずに自分の中でぐるぐるさせているだけだから、苦しくって生きづらい。でも、へんな話だがこんなふうに文字にされると強力、というか圧力の高い表現になっており、読み手の私は直接言われたような気分になって、たじろいでしまった。こわい、つらいという想いと、言葉のつよさがアンバランスなのだ。
七森や麦戸ちゃんに気持ちを寄せきれないという点から言えば、私は生きづらさをはっきり感じたこともなければ、ひとの痛みにも鈍感な、強者ということになるのだろう。自分の言動で誰かを傷つけたくないのは当然だが、だからといって何も言えなくなるほどではない。自分が言いたいことと、人が言われたくないことを、その都度考えながらやっていくしかないのだ。
なぜそんなに怖がるの?と思って読んでいたけれど、さきの"アンバランスさ"のせいで答えをつかめずじまいだった。
投稿元:
レビューを見る
やさしくて少しいびつなストーリー
やさしくないひとはたくさんいるけど
やさしいつもりのひとも沢山いる
やさしいつもりに悩む人も
現代の優しさを考えさせられる
投稿元:
レビューを見る
他の人の感想通り、やさしいというより繊細さんって感じだな…と思った
強さを兼ね添えた優しさが好きなので登場人物の中では白城が自分にとって一番好感が持てる
「強くて優しい」に一番近いのは二つ目の「たのしいことに水と気づく」の方のお話かなと感じたので、収録されてる話ではこれが一番好き
一番最後の話も村田沙耶香みがあって(他の作家名出すのごめんなさい)好き
投稿元:
レビューを見る
「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」
恋愛がよくわからない、セックスに興味がない男の子が主人公ってだけでも心底嬉しかったのに後半は私が欲しかった言葉がいっぱいあって、読み終えた後に駅のホームで泣き崩れていた。
世間に蔓延る嫌なことを拾い上げ、自問自答をしていく。
それが誠実で凄く良かった。
「つらい」と吐露することがどれだけ難しいことなのか。
だからこそ、最後の数ページをこれから先忘れられないと思う。
私の心は強く強く揺り動かされた。
ぬいぐるみとしゃべる人は優しいが、ぬいぐるみとしゃべらない人の中には優しい人もいる。
愛しい愛しい物語。
「たのしいことに水と気づく」
結婚の話と忽然と消えた妹の話。特に前者は日本で結婚することの制約の多さや面倒くささについてもう少し踏み込んで欲しかったと思うけど良かった!
私は好き。
これも恋愛がよく分からないと思ってる女の子が主人公。
終盤が映画みたいに鮮やかだったので最高でした!
「バスタオルの映像」
私がたまーにお笑い番組を見かけても全然笑えないし面白くないと思うのはこういう部分だったのを思い出した。
好きなもの嫌いなもの、世の中色々な人がいるんだし千差万別当たり前なのに、自分と一緒じゃないから掌を返すように怒り出す。
今もどこかで見る光景。
リアルだ。
「だいじょうぶのあいさつ」
この本の中でこれが一番異色のような気がしたが、根底にあるのは一緒かな。
私自身、親とうまくいっていないので読んでいてグサグサ刺さってしまった分、ラスト4ページで号泣してしまった。
優しさが染みてくる。
この作者、マジでなんでも書けるんだな。
凄かった。
大前粟生、人類の希望。
投稿元:
レビューを見る
ほんタメ!から
やさしいってなんだろう。主人公はセンシティブなだけかなぁと思う。優しいところもあるけどすごく優しいと言われるとそうでもないと思うなぁ。いや、やさしいのかな。この物語を読んでる最中ずっと考えた。題名で気になってしまう。
抱えた傷やモヤモヤが自分で処理できない場合は人に話してスッキリするしかないのかなと再認識した。警戒感が強かったり伝える力がないと辛い思いを抱え続けるんだろうな。私は逆のタイプだから共感はできないけどこんな人もいるよねって理解するための材料になった。
たのしいことに水と気づく
このお話の方が好みだったかも。
たかが結婚ごときで私を変えられると思うな。
すごく好きな文だった。強さと勢いと怒りが伝わってきた。
投稿元:
レビューを見る
何回読んでも泣いてしまう。
ずっと言葉にうまくできない自分のしんどさが七森くんのしんどさと繋がる。白城さんだってちゃんとやさしいし、ヤナだってちゃんとやさしいことがなんだか余計に苦しくなる。
投稿元:
レビューを見る
やさしいというより弱い。
やさしいということは弱いということなのかも。
傷つきやすく、弱い人たちの話。
でもそれが悪いことだとも思わない。
投稿元:
レビューを見る
最後の話、優しすぎて傷つきすぎたゆえの行動に恐怖さえ感じて、珍しく最後まで読めなかった。。。
表紙とタイトルでかわいいと思って買ってみたら、めちゃくちゃ重い話カーニバルだった。笑
タイトルの話も、優しすぎて乗り越えられない弱さがたくさんすぎて。あーわたしも昔こんな時あったなって場面が沢山あってしんどかった、、
少し年をとって思うのは、あの時は諦めたり見なかったことにする力が今よりなかったなということ。
わたしが許せない、わたしが受け入れられない行動をもう見なかったことにしたり、吐き出したりする術を具体的につけていかないとこの世は乗り切っていけない。
ぬいぐるみとしゃべるのはきっとみんなの処世術であり癒しであり悲しみや怒りの浄化なんだろう。
そうじゃないと、優しさと弱さだけに飲み込まれちゃうことは、時にそれが暴力や怒りに変わったりすることもある。優しすぎることは残酷にもなりえるんだよなあ。
映画でこの感じをどうやって表現されるのかすごく気になる、、、
投稿元:
レビューを見る
感じやすい人間は時に疲れてしまう
どちらかというと私もそっち側の人間かもしれない
最近HSPなんていう便利な言葉もあるけど
感受性が強く他人の痛みや心に共感してしまう人は
本当に生き辛いよなぁと思った
不安で空気を読みすぎてしまったり、
相手の気持ち考えすぎて、
全然見当違いな心配したり、
読んでいて思い当たる節があった
ぬいぐるみにこそ最近は話しかけないけど、
話しかけたりぬいぐるみを大切にして心を保つ人たち、分かるよ分かるって思った
私の場合は今は対人間より
対猫と接してる方が癒されるし
考えすぎて感じすぎて疲れるので
とりあえず休みたいです
投稿元:
レビューを見る
独特の文章。主人公たちの「やさしさ」と感じやすさを表現するため、いろんな留保がついてまどろっこしい印象を受ける(もちろんそれも含めて狙いだと思うけど)。
自分が大学生の時、ここまで露骨に嫌な思いをしたことはなかったけど、男子学生たちに見た目でランキング付けられたりとかそういう気持ち悪いことは無数にあり、あの時の自分は鈍感で良かったな思うと共に、知らずに傷つけただれかがいたんだろうなと思う。
投稿元:
レビューを見る
ちゃんと理解しようとすると難しいものたちが、ここには書かれている。
「ちゃんと理解する」って何だろう?
人が伝えたいことを、そのまま受け取れているだろうか?
投稿元:
レビューを見る
映画化すると聞いて原作から読んでみました。表題作は独特の文章と主人公のあまりに繊細な思考がしんどくてしんどくて。でもそこがとても良い。私もたぶん学生の頃に漠然と考えていたはずのことが丁寧に丁寧に言語化されていて、痛々しいったらなかったです。(いやでも私はこんなに優しくなかったしもっとアホでした)
とはいえ、インターネット黎明期だった私の学生時代とは他者や社会との関わり方も全然違っていて、今の時代だからこその生きづらさもヒシヒシと伝わってきて。「あーこんなに先回りしちゃえるんだ」とか「あんなに繊細なのにここはスルーできちゃうんだ」とか。今っぽい感覚が新鮮でもありました。
映画祭ではよりによって監督がマンスプレイニングされたとTwitterで話題になってましたが、さもありなん。わかりたくない人には存在すら認めたくない世界観だと思います。優しく繊細で傷つきやすく、見る人が見れば「面倒くさい」思考がどこまでもまとわりついてきて、とても息苦しい。そこが良いのです。映画をみるのがめちゃくちゃ楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
タイトルからほんわかして明るい話なのかなとおもっていたけど、人の心の闇の部分もみえて読んでいて少し辛くなったりもした。映画化してるみたいなので、機会があったら観てみたい。
投稿元:
レビューを見る
すごく小さなものの集まりで、ぐるぐると回ってまた戻ってきたりして、それがオリジナルのものとして表出したりしなかったりするものが優しさに近いのかもしれない。初めて味わうような読書体験でした。
投稿元:
レビューを見る
あらすじ
人に言えない悩みや愚痴をぬいぐるみに話す活動をするぬいサー。
そこに所属するジェンダーの押し付けが苦手な主人公の七森、そして仲良しの麦戸ちゃん。それからテニサーとぬいサーを兼部をしている白城。七森は恋愛としての好きな気持ちが分からないままひょんなことから白城と付き合うことになる。しかし最近学校に来ていない麦戸ちゃんのことも気にかけておりーー…
感想
七森は成人式で地元に戻った際男らしさの押し付けやからかいにより傷ついたが、発言した本人ではなくホモソな社会が悪いと考えていた。私は酷いことを言われた直後そのように思えないだろうから広いフィールドでものを考えていて驚いた。
また、七森は自分と関係のない悲しい出来事でもちゃんと傷ついていてすごくピュアなんだと思った。真っ白すぎるが故にちょっとでも黒い絵の具が飛び散ったら目立つみたいな。
この本を通して思ったのは本当に優しい人って人より傷つきやすくて繊細なのかもしれない。だから本当に優しい人は人間として現代で生きるには結構辛いのだろうなと感じた。全然関係ないけど会社の経営者は人格破綻者が多いのもそりゃそーかって思った。七森みたいに優しかったら経営なんてできないよ。自分とは全く違う考え方で生きている七森の視点を体験できて新鮮な気持ちで読めた本だった。