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2023年3月24日図書館から借り出し。
最初にパラパラ眺めてみたら、行間が詰まったワード文書みたいな絵面に仰天する。
文書は一枚に限定している会社によくありそうな、一頁あたりの文字数がたっぷりで、とりあえず概説にあたる第一部を読んだ。
とりあえず最後のページまで目を通したが、とても「読んだ」という状況ではない。
貸出期間2週間で手におえる本ではない。
技術哲学についてこれまでの議論を整理/要約しながら進める第2部「理論から技術を考える」のところでは、ハイデガー、マクルーハン、メルロ=ポンティ、ドレイファス、フーコーあたりまではなんとかついていったが、スティグレールとかフィーンバーグ、ウィナーとか、初めて見る(技術)哲学者の考え方の説明になると、凝縮して説明されている内容の理解が難しいところが、わたしには多すぎた。
第3部「具体的な技術から考える」では情報の問題、自動運転やセックス・ロボットの問題、更には人新世まで扱っているところは興味深く読める。
第4部「技術哲学を超えて技術を考える」では倫理・道徳、さらには言語哲学からウィトゲンシュタインを持ち出すところは著者の独自の視点で面白い。
アメリカの教科書風に仕上がっていて、各章末には「復習問題」、「ディスカッション・テーマ」、「推薦図書」、「Key Terms」が掲載されている。
巻末の参考文献には、邦訳があるものは最新のものまで記載されている。
翻訳の日本語もこなれていて読みやすい。
もう一度借り出して、じっくり読みたい。(買いたいけど5,500円は…)
しかし、これが学部学生の教科書と言うのには恐れ入る。
日本の大学生には、まず無理。
著者はウィーン大学教授となっているが、原著はオックスフォード大学出版が版元だから、ヨーロッパの大学で教えるときの教科書なのかもしれない。
(ついでにアマゾンで原著を探したら、翻訳本よりも高かった。どうやらアメリカの大学教員らしき人が、学部学生には難しすぎると書いてたので一安心。)