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『魂の剣』に続くシリーズ第3巻。〈大審問〉の試練を越えた双子は戦いの経験と生活の糧を求め傭兵になるが……。
〈大審問〉直後の双子の動向から始まり、傭兵になった二人の訓練と新たな出会いが語られていく。砂時計の瞳に金の肌、病弱な赤ローブと、おなじみの姿となったレイストリンだが、この時点ではまだ皮肉屋な側面よりも青年らしい若さと未熟さを残しており(たぶん素直さも)、教官や仲間たちとの交流を通して成長していく姿を見られるのが嬉しい。キャラモンが関わることになる新キャラの魅力も大きく、他の竜槍のメンバーの不足を十分に補っている。
一方、アリアカス将軍に接触したキティアラは、自らの価値を証明するべく、思いもかけない任務を受けることに。ここからの、どファンタジーな展開には大興奮。冒険が戻ってきた感にワクワク。
兄弟たちがそれぞれに直面する試練は、どこにつながっていくのか?先が気になるところで下巻に続く。
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レイストリン戦記の第二部。双子が傭兵として過ごした日々の詳細が語られる。軍隊に入隊した二人の生活は訓練の日々で、フルメタルジャケットを彷彿とさせる。
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〈大審問〉を経て赤いローブの魔法使いとなったレイストリンと双子の兄キャラモンが生きる糧を求め傭兵となり成長していく姿を描いた第3巻
一方で野望に燃える双子たちの姉キティアラはその冷酷さと度胸で暗黒の女王タキシスの軍勢の中で地位を確立していく
今作も魅力的なキャラクターたちが大勢登場する中で最も心惹かれるのはレイストリンを鍛え上げる茶色のローブの魔法使いホーキンス師
茶色のローブは正式な魔法使いではないことを示していて、レイストリンも最初は蔑むような態度をとるんだけど彼がめちゃくちゃかっこいいのよね
見た目は背が低くて腹が出た赤ら顔の40代で、頭は禿げ上がり、顔も毛がなくツルツルと最低の部類
だけどいくつもの戦場を生き抜いてきた圧倒的な経験に裏打ちされた教えはすぐにレイストリンの尊敬を得ていくんよね
なんていうかまだまだ子供じみたレイストリンと比較して圧倒的に大人なんよ
そして生きることは戦うこと、生き残るために謙虚に学ぶことの大切さを教えてくれるんよ
常に自分省みて内に向かって閉じていくレイストリンの目を大きく見開かせ成長を促し、厳しさと優しさを持ったまさに師と呼ぶにふさわしい存在
それがホーキンス師
うーんやっぱり男は中身よ(女もだけどね)かっこいい
この師ともっともっと長い時間過ごしていたら『伝説』での悲劇的結末は変わってたんじゃないかなって思わせる存在でした
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『大審問』を終えた、双子の弟「レイストリン」が将来の為、兄の「キャラモン」と共に、“狂男爵”と呼ばれるソラムニア騎士の軍隊に傭兵として入隊する話なのだが・・・『魂の剣』があまりに良かったせいか、却って、その起伏に乏しい平坦な内容が気になってしまった。
確かに、双子を一人前に育てようと登場する、「クェズネル教官」や「ホーキン師」の存在感は、男爵含めて、少々変わり者でありながらも、しっかりした人間性を持っており、それに感銘を受けて、笑いも含めた双子の成長物語として読めるとは思うが、その割には、具体的な訓練の内容が非常に少ない上に、物語でいう意外性も殆どないのが、なんとも冗長に思われて、まるで長いプロローグを読んでいるような印象に、終いには、ここまでページ数が必要だろうかと感じたくらいだったし、そもそもタイトルに反して、レイストの出番が少ないのは、いくらなんでもと思う。
そのため、最も印象に残ったのは、キティアラの、相も変わらず、いい根性をしたスリリングな冒険譚であり、中でも、他の者が過小評価した剣の価値を、彼女一人が唯一見出したエピソードには、殊の外、後からじわじわと来るものがあって良かった(しかもその剣を鍛えた人は・・)。
とはいっても、伝説の5巻と6巻の前例もあるように、最終巻では、全てが見事に繋がった一気読みの面白さなので、仮に私と同じ思いを抱いた方も、どうか、ここで読むのを止めないように。