助け合いが長屋の宝物
2023/06/20 10:15
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
三年間、この長屋に住めば願いが叶う、という噂のある三年長屋。
そこに、打ちひしがれ絶望していた元武家の主人公が雇われ差配として住み始める。
主人公は、やみくもに願うばかりでなく、きちんと毎日を精一杯真面目に生きている店子たちを見ているうちにどんどんお節介をやきはじめてしまう。
皆、家族を亡くしたり、理不尽な目に遭ったり、思うようにならない人生を歩んできた者たちばかりだが何とか前向きに生きようとする。たまには自暴自棄になったりもするが。
元武家の差配である主人公は、自分の生き方を間違えたのか、それとも良かったのか、考えながらも毎日お節介を妬いている。
読んで、少しは明日を良い日にしようと前向きなれる人が増えるといいな。
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三年長屋のタイトルも非常に気になったし、登場人物も個性だらけで、展開する次々に出て来る長屋住人にお梅という家主の裏側をじっくりと解き明かす所が良い。出だしから鬼嶋の腐れ外道に小判鮫の市兵衛の悪事を暴く所が良い。とても良い、暴く種明かしの後の非常に淡白な簡潔な娘の再会とまだまだ続くぞ的な新しい住人=火事で不幸になる人々。もうすっかり梶よう子さん読ませて貰う。よい豊読みたいなってこと。
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武士を捨てて差配になった、一言多い左平次を中心にして繰り広げられるお話。
最後が急展開でめでたしめでたし、人情時代物には平穏な結末が一番だと思う。
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長屋の話、たまんないね。
本所おけら長屋にも、かっこいい浪人が登場するがこちらは差配が浪人さん。
しかもなかなかのお節介。
差配と言えば、今放映中のNHK朝ドラ「まんてん」にも女性の差配さんがいい感じで登場している。
江戸時代はこんな感じだったのかねえ。
今や部屋を借りるには信用保証会社登録が普通だけど。
たまには人情に篤い江戸物を読みたくなる。
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独りぼっちになった浪人が、ひょんなことから長屋の差配人に。
軽く、読みやすい時代小説。
長屋モノは、大体が、登場人物も多く、
人の想いのいったり、きたりで、
嫌な気分にならないのがいい。
チャンチャンバラバラはないけど、
これも、元武士の差配を中心に、
長屋のかみさん連中や、その亭主など、
住民たちが、日常の厄介ごとから始まって、
私欲に走る悪徳家主や、その取り巻き、そして
癒着する同心などを、知恵を使って、懲らしめていく。
まぎれもなく、痛快時代小説だ。
三年住むと幸運をつかむといわれる「三年長屋」。
その差配人である佐平治は、妻を亡くし、さらに、娘と生き別れ、
蹌踉としているところを、家主のお梅に拾われ、
長屋の差配人を任じられる。
新米の差配だが、「差し出がましいようですが」と言いながら、
持ち前のお節介さをいかんなく発揮し、
夫婦喧嘩や捨て子など、長屋に起こる騒動に、
真正面から取り組んでいく。