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日帝時代から朝鮮戦争、軍政下を経て現代まで、声をあげられなかった女性4世代の物語。
耐え忍び我慢することが、次の世代によりよく生きてもらうための最良の道と信じるのが親であれば、その姿に我慢できないのが子供なのかもしれない。
いつか夜が明るく照らされますように。
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大きな物語だった。
苛烈な生涯に翻弄されながらも生きて、生きて、生き抜いた女性たちの物語。
どの世代の彼女の物語にも「私は絶対に、なにものにも侵されない」という強い意志があり、静かな筆致ながらとてもパワフルだった。
日本占領下の韓国のパートなど、読んでいて辛い部分もあるのだけど日本人こそ読むべきではないだろうかと思う。そこで生き抜いた人たちが存在していたこと。
高祖母、曽祖母、祖母、母、そして私と、いろんな代名詞が出てきてそれが複雑に入り組むときがあるのでたまに今の話は誰?となるのだけどそのうち慣れる。
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"――ヨンオクは、朝鮮人が日本人よりも卑しいと思う?
祖母が首を横に振ると、本物の卑しさはそんなふうに人間を卑しいと語る、まさにその口にあるのだとおじさんは言った。"(p.122)
"誰もいない家で学校に行く準備をしていた九歳の私にも、鉄棒にぶら下がって涙を堪えていた中学生の私にも、自分の体を虐めたい衝動と闘っていた十九歳の私にも、自分を粗末に扱う配偶者を容認していた私と、そんな自分を許せなくて自らを攻撃したがっていた私にも近づいて耳を傾ける。私だよ。ちゃんと聞いてるよ。ずっとしたかった話を聞かせて。"(p.379)
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冒頭から引き込まれて夢中で読んだ。
被差別民として生まれた曽祖母、戦争に翻弄された祖母、家父長制から逃れられない母。離婚を経て都会を離れ、祖母が暮らす町に移り住み、自らの傷と向き合う娘。
女性たちの100年の物語。
辛い現実のなかでも手を取り合うことができる相手がいることが何よりの救い。
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自分と瓜二つの曽祖母。
9歳から会っていなかった祖母に
曽祖母の話を聞くと
それは、今では考えられない過酷な人生だった。
女性が虐げられてきた時代に
曽祖母や祖母たちがどのようにして生きてきたのか。
そして、その時代を生きてきた上で呪いのように蓋をしてしまった心を私は覗く事ができた。
こんな扱いがあって良いのか。
女性というだけで、差別民というだけで、同じ人であるのにも関わらず、物理的にそして精神的に傷つける人たちがいる。
『この世には心からの謝罪をしてもらえなかった者たちの国があるはずだ』
私はその国を知っている気がする。
きっとその国を知っている人たちはたくさんいるはず。
久しぶりに涙が出た本だった。
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離婚をし、心に深い傷を負った私は、9歳の頃に祖母の家で十日ほど過ごした思い出の地ヒリョンに住む。
祖母と思いがけない再会をした私は、祖母と曾祖母の生きてきた時代を知ることになる。
日本の統治下を生きた曾祖母は、被差別民の白丁出身であり、その娘に生まれた祖母は朝鮮戦争時の避難民だった。
母は、曾祖母と祖母の歴史の被害者となった挙句、今も婚家から軽んじられている。
身分の違いや女に生まれたという理由だけで、ありとあらゆる差別と侮蔑を受けていた時代。
曾祖母や祖母、母、私へと繋がる百年の物語。
我慢すれば事は治ると母は言っていたことを思い出した。
今はそんな時代ではないけれど、それでも婚家とのつりあいだとか、どこの出身だとかは気にしていたような気がする。
母娘の問題も時代は変わらずあるものだと思った。
ただ祖母や曾祖母の生きてきた時代を聞くことがなかったのは今更ながら残念だった。
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夫の不倫で結婚生活を終わりにした私は、祖母の住んでいるセリョンに引っ越しをした。祖母とは長いこと交信をしていなかったが…。セリョンの天文台が職員を募集しているのを見つけて応募した。採用されると、住まいを探し、小さな車に荷物を積んで引っ越しをした。これからセリョンで生活が始まる。そして祖母のことや、曾祖母のことなどを聞く。曾祖母、祖母、母、そして私の四世代の話。女性にとって厳しかった時代を過ぎてきた祖母の話…。祖母の視点か、祖母を見ている人の視点か、誰の話をしているのか、時々戸惑ってしまうことがあった。