最終兵器「国滅ぼし」
2023/06/12 21:02
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
斎藤道三一族の三代記を描いた物語であるが、彼らに寄り添った男のい代記でもある。道三の父、道三、そして道三の子・龍興の悪党ぶりが目立つ。しかし、読み始めから「国滅ぼし」という最終兵器を口にし、銅を大量に集め隠し持とうとする謎が、読むものを引きづり込む。読み終えればわかることだが、「国滅ぼし」は必ずしも国を失くしてしまう兵器ではなく、国を癒すものだと教えられる。国を奪うという行為委が、戦乱を終わらせ、民の平穏な生活をもたらすことを、道三一族はもくろんでいたのかもしれない。
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
斎藤道三。有名な武将ですが、織田信長との関係において語られるくらいで、この斎藤道三を中心にした本は読んだことがなく、すごく興味が湧きました。また、出だしの書き方からワクワクさせられました。斎藤道三を中心にその父と子の3代にわたるストーリー。と思いきや、実は4代にわたるストーリー。史実とフィクションを組み合わせながらの構成は、この著者の得意とするところで、この本でもそれが如何なく発揮されていて、お見事でした。そしてなんといっても、この物語の見どころは貨幣。源太の妻のお景が、源太が戦場から帰って持ち帰る貨幣を巡るやり取りの変化に思わずニヤリ。最後のシーンも、戻ってきた感があって良かったです。
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期待していた通り、と言うか、期待していたよりも遥かに面白かった。斎藤道三の国盗りが親父と二人で成されたことは、いろんな本を読んで知っていたけれど、じいさんまで関わっていたとは、驚愕の事実(?)だ。これだから、時代小説はやめられない❗
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まむし三代記。歴史時代小説の分野でありながら、ダークで魅力的な大胆不敵なヒーローを斎藤道三の親子三代で、見事に表現させています。
国盗りとは、史実はどうであれ、やはりダークの部分はでてくるのだが、そこに国滅ぼしという歴史ロマンを加えた事が素晴らしい。
単なる歴史時代小説の枠組みを大きく超えた大作である。
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歴史小説の主人公として斎藤道三は描き易そうで、描くのが難しいと思われるが、意欲的に描き切った作品かなと思う。個人的には、従来の道三のイメージとは異なるもので、良くも悪くも歴史小説というよりも、ヒューマンドラマという感じの作品だった。国滅ぼしはちょっと強引かな。
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斎藤道三。有名な武将ですが、織田信長との関係において語られるくらいで、この斎藤道三を中心にした本は読んだことがなく、すごく興味が湧きました。また、出だしの書き方からワクワクさせられました。斎藤道三を中心にその父と子の3代にわたるストーリー。と思いきや、実は4代にわたるストーリー。史実とフィクションを組み合わせながらの構成は、この著者の得意とするところで、この本でもそれが如何なく発揮されていて、お見事でした。そしてなんといっても、この物語の見どころは貨幣。源太の妻のお景が、源太が戦場から帰って持ち帰る貨幣を巡るやり取りの変化に思わずニヤリ。最後のシーンも、戻ってきた感があって良かったです。
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戦国時代を背景とする小説だが、凄く興味深く読み進め、素早く読了に至った。言葉を換えると、なかなかに夢中になって、頁を繰る手が停められなくなったのだ。
斎藤道三と、その父の長井新左衛門、その息子の斎藤義龍の三代という物語であるが、同時に斎藤道三の祖父である松波高丸も登場するので、斎藤道三を三代目とする物語という一面も在るかもしれない。そういう様子を、長井新左衛門と少年という年齢の頃に出逢って行動を共にし、斎藤道三や斎藤義龍の近くに在った源太という男の一代記的な時間軸で描いているという、なかなかに凝った造りの物語だ。
斎藤道三は美濃国に君臨した戦国大名である。一介の商人から身を興したというような伝えられ方をしてもいたが、実はその父が美濃国で台頭し始めていて、斎藤道三はそれを継承しながら、美濃国の支配を固めて行ったのである。そして色々な物語が伝えられるが、息子の斎藤義龍の時代になって行くのだ。
本作はその美濃国で二代で台頭して行き、三代目に至ったという経過を踏まえて創られた物語になっている。故に物語の冒頭は、法蓮房と名乗る法華宗の僧であったという斎藤道三の父が登場する挿話から起こっている。
未だ少年の源太や、他に色々と訳が在りそうな男達が或る仕事を請負うべく待ち合わせ場所に在る。そこに法蓮房がやって来て、その一団に加わった。そして或る仕事に臨むことになるのだが、それが契機で法蓮房を中心とする同志の一党が結成される。この一党の行く末というのが本作の物語ということになる。
法蓮房は「国滅ぼし」と仮称する秘密が在って、その秘密を護り抜かなければならないとしている。この「国滅ぼし」とは何なのか?秘密兵器か?秘術か?或いは何らかの秘策か?そしてこれは息子の斎藤道三の代にまで受継がれて行く。
「国滅ぼし」の秘密は秘密として在るのだが、法蓮房が長井新左衛門となって美濃国で重きを為して行く中での、様々な謀略や戦いの様が非常に興味深い。これは息子の、やがて斎藤道三を名乗る長井新九郎の代になっても受継がれる。
全体を通じて、応仁の乱が続く時代に、親を喪い、自身も左腕を損なって不自由な中で懸命に生きる松波高丸の姿を描くという篇が適宜挟まる。この松波高丸が次代に託した想いというのが、この物語の底流に在るのかもしれない。そして、応仁の乱の時代から、長井新左衛門、斎藤道三、更に斎藤義龍と世代が下って行く中での「時代の変化」、「社会の変容」というようなことが在るのだと思うが、そういうことを押さえた物語だ。そしてその三代の近くで人と時代を見詰めたということになる源太が在る。
非常に興味深い物語で、広く御薦めしたい。
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暗黒の時代、因果、夢。国滅ぼしを操るものが、中世という時代を終わらせる。まむし三代に留まらない面白さが、ここにある。
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私にとって時代小説は、人物名や地名、時代背景、難読漢字など、前提知識がないとつまづくことが多いジャンルという認識だが、本著は更に時系列が複雑であるために、構成含めて読みにくい小説となっている。
さらには「国盗り物語」の内容と沿わない部分もあり、前提知識が覆されたりもした。
フィクションについての意図はあとがきにて著者により記されており、史実とフィクションの判別はきっちりしておく必要がある。
ストーリーとしては、「国滅ぼし」という核をベースに斎藤家が3代に渡り国を盗る様を主人公の源太が共にするというもの。
国主になるための謀略だけでなく、親子や仲間たちとの人間ドラマ、垣間見える人間の欲望などかなり工夫されており、最後まで飽きずに読破することができた。
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序盤 なかなか面白い
中盤 ギリギリ面白い
終盤 なんとか面白く終えた!
暗めな作風ですが、楽しめました。