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山川氏は所謂純文学とエンタメの境界領域で活躍した作家さん。教科書に採用されたこともあって、代表作と目される「夏の葬列」も〝オチ〟の後に、主人公の独白が続くという、ショートショートとしては異形なもの。巻末の座談会にもあるようにショートショートに明快な定義なんてないのだけれど。とはいえ、望まない結婚を強いられそうになっている女性の屈折と飼い猫の死を重ね合わせた「猫の死と」や、発表媒体が三田文学だという「昼の花火」が、一般的なショートショートの概念を外れているのは間違いのないところ。他にもショートショートとしては歪さを感じさせる作が多い。むしろ、きちっとまとまっている方の作が、今の眼では古さを感じさせもするので、その辺りが読みどころかも知れない。
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夭折の天才であると述べられている。ブラックユーモアも混ざりながら、オチも用意されてるショートショートという事で、好きな人にはハマる要素が全開であろう。また表紙もオシャレになっていて、それだけでも手に取りたくなる本でもある。2023年に改めて文庫として出版された本であるので、今後もショートショートというジャンルの幕開けともなるかもしれませんね。
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すごく面白いけど、暗いねん。
何かじとーっと暗い。。。
ホラー要素が必要とあるけど、ホラー嫌いやねん。。泣
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大好きな作家。
この人の作品は全体的に淡々としているような冷たさがある。でも話に引き込んでいく魅力がある。自分が一番衝撃を受けたのが「お守り」という作品。どの作品も人間の根底を暴いていくような一面があり、読んでいて少しヒヤッとする。でもこれがクセになる。この全集でなくても、買って読んでみてほしい。
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終戦直前の疎開先で起きたある出来事のため、少年だった男は暗い記憶を持ち続けてきたが、長じてその地を再訪してある場面に遭遇し、自らの責任はなかったと解放の感を持ったのも束の間、思いがけない事実を知ってしまうという「夏の葬列」、教科書で読んだその作品が、作者の作品を読んだ初めてだった。どんでん返しの面白さとともに、戦争の悲劇とは言え救いようのない結末に恐ろしさを感じた記憶がある。
その後、作者は山川方夫という人であり、芥川賞の候補に何度もなったこと、ショートショートと呼ばれる作品を多数書いたこと、若くして交通事故で亡くなってしまったことなどを知った。
本書は、著者のショートショート全編を全2冊に集成するコレクションの一冊目。
アイディアとストーリー展開の妙がしっかりした文章と相まって、読み応えのある作品が多い。
本書収録作品のほとんどは1960年代前半に書かれた60年以上も前の作品だが、多少時代を感じさせる風俗などは出てくるものの、古めかしさはほとんどなく、今読んでも抜群に面白い。
ショートショートについて星新一、都筑道夫と共に語った座談会「ショート・ショートのすべて」が収録されているのも貴重であり、嬉しい。