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得るものが多かったので、読み終えてまた再読した。
うつ病と一言で言っても、いわゆる内因性うつ病は薬物療法と休養で治りやすいのに対して、神経症性抑うつは薬物療法の反応性が低く、精神療法の併用が必要であり、その際に有効な視点が「強迫性」とのこと。
強迫性が強いと、「しないといけない」に気持ちが向きやすいため、それを緩めることが治療に有効であるという。
そして、「しないといけない」という気持ちは過去の親子関係に由来しているということで、この指摘はうなずけるものだった。
「強迫性の強い人は、一人で考え過ぎる傾向があります。一人で立ち止まって、堂々巡りの思考にはまり、自分を虐めています。それが神経症の症状を出す背景となるのです。実際は治る可能性があるのに誰にも相談しないで、治るものも治らない悪循環に陥ります。」
昔の自分のことを言われているようで、やるせない。
恐らく、神経症性抑うつ傾向の人が、この問題に通じていない精神科医に診察されて、いたずらに薬を処方され続けることもあり得るだろう。
気付きが色々あったが、特に、「まず過去でなく現在の問題を扱う」という箇所が印象的だった。これは、臨床経験にも裏付けられており、フロイトの見解とも一致するとのこと。
「フロイトによれば、記憶された体験は、その後の発達に伴って、繰り返し書きかえられる。記憶は引き続く体験によって修正され続けるものであり、現在は過去を修正する」
この部分にとても励まされ、力をもらえた。