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聖イジョルニ帝国の中のレーエンデという場所が物語の舞台。
父ヘクトル・シュライヴァと娘のユリア・シュライヴァは、銀呪病が起きるレーエンデへ出立するところから始まる。
二人が住むシュライヴァ州は、ヘクトルの兄が治め、ゆくゆくは帝国を治めんとし、
その足掛かりとしてレーエンデとシュライヴァ州を結ぶ街道を造ろうと、ヘクトルが赴くことになった。
現地での案内役は、レーエンデに住むトリスタン。
彼ら3人の物語が始まる。
王道ファンタジーとの名の通り、
とても緻密に作りこまれた歴史や文化の数々。
そこに、光る虫や銀に輝く動物など、ファンタジーのキラキラした神秘的な要素が入り、まさに物語にダイブしていく感覚だ。
しかしながら、物語自体は、とても政治・権力・戦いなど、ふわふわした柔らかな雰囲気とは一線を画した本格派。
かなり現実社会に近い。
登場人物たちの幸せを願うあまり、読み手にも力が入る。
物語が全て語りつくされたとき、なんともない脱力感。
ユリア、すごいけど、すごいけどさ…。
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最初に地図があり、頭の中でどこを走っているのか、想像しながら読む御伽話に満足。ただ、終章が不完全燃焼。
でも、5巻続く壮大な話であれば、致し方なし。
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眠る前に読むと夢でレーエンデに行けるような緻密な設定。恐ろしくも美しいレーエンデの四季を、暮らしをユリアと共に過ごしているかのような感覚に浸れました。
逆境に晒され運命が牙を向けても自分の意思で選択し続け、前に進んでいく主人公たちに、明日の朝目覚めるための勇気をもらえる、背中を押してもらえるような物語です。次作が待ち遠しい!!
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久しぶりのファンタジー小説。
一言にファンタジーと言いきれないほどの読書体験がこの本にはある。
明確な情景描写、心情描写からは、まるで映画を観ているかのような美しい景色が脳裏にひろがっていくようで、ページをめくる手が最後まで止められなかった。
それはまるで小学生の時、ワクワクしながら読んでいたあのファンタジー小説のようでもある。それでいて大人が読むからこそより味を持ち始める苦い心情描写もまたこの物語の深みの1つだと思う。
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読み終わって1週間ほど経ちました。
読了後、どう感想を書けば良いかわからなかったです。
違う本を読んだりとしましたが、
私の心にずっとレーエンデ国物語がありました。
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ええー!!最後が怒涛すぎてびっくり!もっと他のこと書こうと思ってたのに!
子供は奪還できず、ユリアは決意叶わずレーエンデに戻ることはなく、トリスタンは死に、ヘクトルも目が回復することはなく…。ハッピーエンドだと思っていたので驚いたし、短い終章で何十年分かの出来事が盛り込まれていたことにもびっくり。2巻からもユリア達の物語が続くのだと思っていた。
だけど、ここで気づいた。この物語はユリアやヘクトル、トリスタンの物語ではない。レーエンデという「国」の物語なのだ。だからタイトルが「レーエンデ国物語」なのだ。だからここから続いていく。これが終わりではないってそういうことか。
そして見逃しそうだったけど、トリスタンの最期に重大なことが書かれていた。
「レーエンデの誇りのために戦う女がいた。
弾圧と粛清の渦中で希望を歌う男がいた。
夜明け前の暗闇に立ち向かう兄と妹がいた。
飛び交う銃弾の中、自由を求めて駆け抜ける若者達がいた。」
すべてを理解したトリスタンのここは、レーエンデ国物語の2~5巻の内容では?
これも見逃しそうだったけど、やはりトリスタンの最期の思い「レーエンデに戻ってきた彼女に『おかえりなさい』とささやいて、あの薄紅色の唇に口づけることだって、きっと出来るに違いない。」は、ユリアがレーエンデに来たときの「おかえり、おかえり、待っていたよ。貴方が来るのを待っていたよ。(中略)最後に残った一泡が、まるでキスをするように、ユリアの眼前でぱちんと弾けた。柔らかなものが唇に触れた。」でしょ!
未来のトリスタンをところどころで感じて切なくなるユリア。ご都合主義ではなく、未来を見通せる子供を産めるユリアだからこそ、未来を感じられてもおかしくはないのだろうと思った。
これは、本当なら最終巻を読み終えた後に読み返さないといけない物語らしい。
久々に続きが気になって読みふけったので、1巻の売り文句に違わないなと舌を巻いた。政治にまつわる人々の思惑や、大切な人への思いが結果として伏線となっているように感じて、よくできてるなと思った。頭の中どうなってるんだ。
一番気になるのはエールデのこと。本当にどうなった!?2巻まで、あるいは5巻までお預け?推測できるのは、悪魔の子にはならなかったのではないかということ。もし敵がエールデの力を使えたなら、ユリアは北方七州をまとめられなかったと思う。それに、ユリアが「レーエンデの聖母」と呼ばれるようになったということは、やっぱり悪魔の子を産み落としたことにならない。
多崎礼さんの本、レーエンデ国物語を読み終えても他の本を読みたいと思った。
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読み終わった感想としては、王道ファンタジーではないです。
主人公のユリアがレーエンデの聖母と呼ばれる理由がいまいちよく分からなかった。
作中で父のヘクトルがユリアの事を強い女性といっているが、私は受動的な貴族の箱入り娘のお嬢様と感じてしまった。
トリスタンが銀呪病になっていることを知り、銀呪病を治すべく、銀呪病の特効薬を作ろうとしたり、幻の海を根絶すべく幻魚や他の化け物とかと戦っていく物語かと思えば、トリスタンが死んでしまっても大丈夫なように子供を作りたいとか思い出を作りたいとか、もう諦めてしまっているところにイライラしてしまいました。
私が今までみたファンタジーものの主人公(十二国記、香君、精霊の守り人など)はどんな逆境でも未来が閉ざされてしまっても、自分の頭や身体で切り開いていくものが多かったので、これが王道ファンタジー?という感想になってしまった。
トリスタンはどんな時でもユリアを助けるために駆けつけたのに、ユリアはトリスタンが追放されたときもトリスタンは私のことを守ってくれたのに何もできなかったとメソメソ泣くだけで、探しに行こうともしない。
結局はお腹の子を悪魔にしたくないと言っていたのにお腹の子にヴァラスを殺すことを願い、お腹の子の力を敵国に証明することになり連れ去られる。
女は子供を産む道具と言われそれが嫌でレーエンデに逃げる→トリスタンが死んでしまっても大丈夫なように子供を作りたい→トリスタンが嫌がるから辞めよう→子供を受胎したのでこの子を守りたい→敵国に奪われたので取り戻したい
最初から最後まで自分で行動を起こさず、何かが起きてから仕方がなく選んでいるようにしか思えない。
一方で、トリスタンやヘクトルは最初から最後まで信念があって良かったと思った。
ヘクトルと愛するユリアを命が尽きるまで守りたいトリスタン。いつの日かレーエンデで過ごすことを夢見て、銀呪病を根絶すべく交易路をつくりながら、娘ユリアの幸せを何より願うヘクトル。どちらも確固たる信念のもと行動をしていて、とても格好良かったです。この二人は魅力的な登場人物だと感じました。
恋愛描写が少し丁寧すぎる気もしますが丁寧で、トリスタンがユリアを、僕の子供を産みたいと思ってくれる人なんていないと言って誘ったのも一見それが誘い文句だったの?と思ってしまったのですが、後々銀呪病患者は生殖機能が損なわれる事がわかり、トリスタンはそれを知ってたのに言ったのは確かに誘ってたんだなぁと納得と同時に、はっきり言わないところがかわいいなぁと思いました。
さらに、終章でトリスタンやヘクトルが亡くなった事、ユリアが他の男と結婚し子供を産み国をまとめ亡くなった事などをさらっと記していて、こんなに長々と恋愛模様を描写していたのに、大事なところはそれで終わり?と驚きました。
王道ファンタジーというから、主人公がファンタジー世界を冒険したり、自分の知識や身体で困難に立ち向かったり、化け物と戦ったり、戦乱の世の国を統治して平和に導いたりするのかな?と勝手に思ってしまっていたので、ガッカリでした。
まだ、エールデが主人公で悪魔の子になるのか神の子になるのか悩み葛藤しながら生きるとかそういう物語をやって、父と母の物語はこうだったんですよ第一部の主人公はこの様にして誕生したのですよと補足的にする物語なら良かったと思います。それだとありがちだと思われるかもですが、王道ファンタジーはありがちで良いのだと個人的な感想です。
結局、銀の海は何だったのか、ウル族の伝承とクラリエ教の聖典のどちらが正しいのか、銀呪病を根絶することはできるのか。
何も解決しないまま終わってしまった。第二部で明らかになるとしても、ユリアの生涯を終章で雑に処理してしまった作者を信頼することが出来ないので、続きを読んでみたいと思わないのが正直なところです。
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世界観に入り込むまで結構時間がかかったけど、ハマってからは面白かった。主人公と周りの関係性もその成長もストーリー性があって面白かったし、ちゃんとしっかりファンタジー要素も入っていて楽しめた。ファンタジー小説初心者でも読みやすいと思う。けど続きを読もうとなるとちょっと気が滅入る、気もする。
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ユリアとトリスタンの水々しい恋愛は素敵だけれど、ユリアの言動はちょっと受け入れ難いところが、、若さゆえの言動だろうか。。期待したけど、私の好みでは無かった。
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半分くらいまでなかなか読み進めなかった。実在しない世界を想像しながら読んでいたからかな?
後半は話が動き出したので面白かった。
アニメ化するといいかも…と、思ったけどアニメだと平凡なファンタジーになってしまうかな?とにかく美しい世界観を頭の中で一生懸命想像することを楽しむ物語だと思う。
それにしてもこれから話が進むのだ…と、思ったのにあっけなく終了?少しガッカリ。
だけど、『トリスタン』は素敵だった(^^)
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何て壮大で美しい物語。
まだ余韻の中にいる。
大人になり、大好きだったファンタジーに上手く入り込めなくなり寂しく思っていた今日この頃。
「面白そうやけど入り込めるかなぁ」なんて少し心配していたけれど、なんのその。
読み始めてすぐに、私はレーエンデの地に立っていた。
レーエンデの風景や人々の暮らしがとても丁寧に描写されていて、幻想の世界の空気や匂いまでも感じ取れそうなほど物語に引き込まれる。
秋のレーエンデが魅力的だった。とても素晴らしい景色なんだろうなぁ。
そしてやっぱりファンタジーの世界のご飯が魅力的!黒パンにチーズを挟んだだけの簡単な食事がとてもとても美味しそう。
トリスタンとヘクトルのやりとりが好きで、2人のシーンになるとわくわくしながら読んだ。
2人の絆には何度泣かされそうになったことか。
トリスタンの儚く、そして美しく壮絶な生き様と最期に、呆然としている。
最終章で「え、どうして…!?」となった部分は今後分かってくるのかな。
ファンタジーが大好きで、本にかじりつくように読みふけっていた幼い頃を思い出した。
何もかもを一旦忘れて、違う世界に連れて行ってくれる。そんな物語にまた出会えて幸せ。
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凄いお話でした。読み応えたっぷりで、とても面白かったです。
波瀾万丈のストーリーに加え、キャラクターが物凄く魅力的。ヘクトル・トリスタン・ユリアの掛け合いは心温まるものがありました。
トリスタンがとてもかっこいいです。
ユリアと結ばれず命を落とすのですが、心はしっかりと繋がっているのが強く伝わってきました。
最後の2人の別れ、ユリアに向かって叫ぶトリスタンが目に浮かび感動しました。
何重にも作り込まれた構成と、わくわくする展開。間に差し込まれる切ないラブストーリーに惹き込まれました。
文体も美しく、情景描写がとても好きです。
また装丁も素敵でした。
読めて良かったです!
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トリスタンもヘクトルも、ユリアもかっこよかった。こんなふうに真っ直ぐに生きたい。
壮大な物語でした。とても良かったです。
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帯あった「読後、放心し、空を見上げ、トリスタン、と呟く」のコメントに惹かれ、「私もトリスタンと呟きたい!」と思い、結果、物語の中盤でもう呟いてました笑
そのくらい、トリスタン。
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中世風のファンタジー小説。
ヒロイン、ユリアはレーエンデ地方と自分の国に貿易路を作るために国の英雄である父ヘクトルについて行く形でレーエンデ地方を訪れる。
貿易路を作るためにいろいろ調べるために、レーエンデ地方に住む元傭兵である主人公トリスタンを案内に依頼する。
ユリア、トリスタン、ヘクトルの出会いが3人を、そしてレーエンデの運命を大きく動かすことになる。
まず、私が聞いているのは、本作品は3部作のうちの初巻ということ。
つまり、導入部にあたるはずなんですが、読んでいて退屈するところが全く無かったなと思うくらい、登場人物同士の掛け合いが面白い。何ならもっと読んでいたいと思いました。
それくらい、キャラクターにのめり込んでしまうくらい登場人物、特にユリア、トリスタン、ヘクトルのキャラが良いキャラだと思いました。
私が気に入っているところは、英雄ヘクトルが自分の国とレーエンデに貿易路を作るために尽力しているとは言え、基本的には登場人物のどこにでもある日常が描かれているところです。
裏で不穏な動きや事件はあるものの、基本的には日常が描かれているというところが好きです。
そして、その日常はある日突然脅かされる。
ファンタジーの世界だからと思うかもしれませんが、いろいろな本の感想で私も書いていますが、裏でいろいろなことが起こっていても、日常は突然脅かされるます。
今読むと私はこれがよく分かるなと。コロナであったりウクライナ戦争で学んだので。
そして、日常が脅かされた時、真に強いのはなんなのか。
それは愛と愛すべき者を守ろうとする力なんだろうなと思いました。
時に、愛すべき者のために勇気と力を振り絞った結果、悲惨な結果を招くことだってあります。
本作品はもしかすると愛すべき者のために勇気と力を振り絞った結果、絶望を招いたかもしれません。
しかし、愛してる人のためなら、自分のない勇気を絞り出せることもあるし、思わぬ力を発揮できるということを感じることってありませんか?
それが良いか悪いかは別として、守るべき者がある人の強さというのは凄いなと感じた本巻でした。
本作品は人によっては絶望の物語というかもしれませんし、希望の物語という人がいるかもしれません。
ただ、絶望と取るか希望ととるかは別として、本作品を読んで命をかけても守りたい人(愛する人)がいるよなと思えることができた私はきっと幸せなんだろうなと思える、そんな作品だと思いました。
あなたに守りたい人(愛する人)はいますか?