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2021年12月から「沖縄タイムス」で始まった
「沖縄の生活史」プロジェクト。それは、現代の伝承。
100名の聞き手が100名の語り手から聞いた、生活史の数々。
・はじめに 岸政彦 ・おわりに 石原昌家
100通りの沖縄生活史は、実際に体験した人々の経験と記憶。
一人につき1万字の飾らぬ言葉には20代から99歳の、
戦前・戦中の生活、戦後の沖縄が日本ではなかった時代、
沖縄復帰後と現代の、複雑で様々な思いが込められている。
日本軍の兵士、空襲、手榴弾、身近過ぎる死、捕虜、収容所、
移民と沖縄への帰還、終戦後の本土から沖縄へ帰るまでの苦難、
マラリア、ハンセン病、本土での差別、パスポート、
通貨、米軍関係の仕事、アメリカの文化、ベトナム戦争、
米軍の事故や事件、コザ暴動、復帰運動と復帰反対運動、
730、沖縄本島と離島の違い、標準語と方言、教育、密貿易、
密航、台風、本土から沖縄への結婚、現代での紆余曲折、
「ちむどんどん」、悲喜こもごもの家族や親族との関係など。
当事者と近辺にいた者、どちらも生の声であり、重要な証言。
復帰の日の記憶が覚束ないほどに、生きるのに必死だったこと。
本の重みと同時に、言葉の重みがずしりと伝わってきます。