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前巻ではジャック・ザ・リッパーとは何者なのか?そしてこのジャックはジャック・ザ・リッパーなのか?という疑問にひとまず回答した感じで、いよいよこの巻から本格的に物語が動き出す。
終末のワルキューレ(以下本編)スピンオフとはいえ、ジャック生前の物語なためストーリー自体は全く本編とはかすってなくて、キャラ周りの設定だけを再利用したオリジナル作品の味わい。
それでも、本編回想シーンにちらっと出てきたあのキャラが本作では非常に重要な鍵になっているし、敵対組織マザーグースの最後に合流する一番ヤバそうな雰囲気を醸し出しているメンバーのコードネーム「ロンドン橋」が本編でジャックが歌っていた「♪ロンドン橋落ちた」のフレーズと変則的に対となっていて、本編と密接であるというスピンオフとして非常に上質なものとなっている。
作画面ではこの巻のロンドンを舞台とした描写、特に建設中のタワーブリッジで行われるジャックとマザーグースの戦闘における黄昏時からとっぷりと暮れる時間経過と情景変化の表現が非常に素晴らしい。
また、本編でもキャラ立てに使われたシェークスピアの戯曲と童謡マザーグースをさらに拡張してスパイスとした外連味たっぷりの会話劇もオサレポイント高い。
それにしてもジャックとマザーグースのリーダーノアとの邂逅、そして意気投合したシーンからまさかこんなことになるとは……完全に騙された。
……いったいいつから邂逅だと思っていた?