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陥落の3巻。戦が終わり、復讐本懐を遂げ、明日を生きる為の宴が始まる。
狼の口陥落までが物語だと思っていたのですが、その後日談まで書くようです。というか、歴史的には後日談の方が重大な出来事らしい。「狼の口」というエンタメとして焦点をザンクト・ゴッドハルト峠の攻防に当てたということでしょうね。
死に覚えという言葉。これが残酷なまでに当てはまってしまう砦内の攻防。どこまでも反乱軍の命を奪い取るために作られた砦。多くの同胞の命を使いたどり着いた敵の本丸。それでもヴォルフラムを倒すためには、さらに多くの命を必要としてしまう。
数えきれないほどの犠牲を経て、ついにたどり着いたヴォルフラムとの決戦。
彼が闘士であるとは予想外。残虐さを権威で着飾った文弱の徒と思っていました。
対するはヴァルダーだけとはいえ、これまで失ってきた命、未来へ繋げるための犠牲を背負った戦士に勝つことはできず、ついに打倒を果たします。
最期まで権威を振りかざし、自己のプライドを貫いた彼を待っていたのは、串刺し刑。
最初から最後まで、強敵だったヴォルフラム。砦の象徴として立ち塞がり続けた彼なくして、この最後の決闘と処刑のカタルシスはなかったです。
戦勝の宴。死んでいったものたちを悼み、生きて行くための選択をする人々。こういう積み重ねがあって人の歴史は紡がれてきたのだなぁ、と思わせます。綺麗事で済まされないこともあるから、美談や英雄譚を紡いでゆくのかなぁ。
敗北した側の描写があるのもいい。何もできずに死んでゆく見張りの兵。生死の境を分けるのは何か、という議論すらなく死んでしまう。
敗軍の無惨さです。