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ウクライナ在住日本人記者による、巨人ロシアを相手に一歩も退かないウクライナの人々を取材した渾身のルポ。読んだら応援せずにいられない。
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メディアのニュースとは違うウクライナの方々のリアルな現状、生活を見せてもらった。こういう本をもっと読んでいきたいと思った。大切な記録。
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テレビや新聞の報道とは異なる視点からのウクライナ現地の人々の想いを感じとることができた。何気なく過ごしている「自由」な生活の尊さを感じることができた。
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記者であると同時に、ウクライナに住みロシアの侵攻を当事者として体験した人の言葉はやはり重みが違います。
本書でも言及されていましたが、今日本が同じように他の国から攻撃された時、ウクライナの人々の様に国のために命を掛けられる人が(もちろん自分も含め)果たしてどれほどいるだろうか、ということを考えざるをえません。
自国に対する誇り、真剣に考えたこともなかったかもしれません。
ウクライナの人のために何が出来るか?物理的に離れていても、まずは戦禍の中を生きる人たちの姿を知ることが何より重要だと教えられます。
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元日本経済新聞社の記者でモスクワ支局に2度赴任した著者が記す、現地での生活者として,またフリーの記者として経験するウクライナ侵攻。ウクライナ人の妻を持つ著者、妻、友人たちそれぞれに事情があり、そんななかでそれぞれに侵攻に直面している様が記される。学者たちの本を何冊か読んできたが、実際に直面すると、なぜ侵攻したとかそんな理由はともかく、今どうする、という決断。
著者は2021年に新聞社を退社し、妻はウクライナ人。2021年まで11年妻子とともに日本で暮らし、21年12月にキーウに戻ったばかりでの侵攻。息子は日本の高校を卒業し今はヨーロッパの大学に行っている。著者には昔の記者仲間達から侵攻前から情報が入ってきていて早く逃げ出せ、と言われる。だがウクライナ人の妻と義母はウンといわず、妻とはそれがもとで険悪な状態になっている、そんな中で侵攻の日を迎えた。あなた一人で逃げればいいでしょ、と言われるが、一人逃げるのは格好が悪い、と残る。
侵攻日、電話がかかってきたのが、なんと小説家のクルコフ! 侵攻があってから何冊か小説を読んでいたのでびっくりしてしまった。クルコフと著者は2019年のモスクワ赴任時に知り合ったという。前からの約束だがカフェは閉まっていたので家に招待し妻も同席してクルコフに会い、実はこれからどうするかで妻と喧嘩しているんです、と思わず言うと、クルコフのイギリス人の妻もキーウは脱したがウクライナに残る選択をした。だが子供たちは自分たちの意志でポーランド経由でロンドンに逃れるという。クルコフ自身は両親ともロシア出身のロシア人で2才でキーウに移住しウクライナでソ連崩壊を迎えた。本人は「民族的にはロシア人、政治的にはウクライナ人」と自らを称している。
3月になり妻の会社はリビウに逃れるバスを出し、妻は著者と、妹とその子供二人、バスに申し込んだ。義母は残った。妹の夫は領土防衛隊に入った。落ち着いたあと著者はまたキーウに戻り、義母とも連絡をとりながらウクライナでフリーの記者として取材を始める。妻と義妹は7月にキーウに戻った。
妻の家族の経緯がウクライナ人の経歴を象徴しているかのようだ。
・義母の生まれ育った家はリビウから西へ60キロほどの町。義母の両親の家族の大半は1939年にソ連がウクライナに侵攻してくる前に、アメリカ、カナダ、オーストラリア、フランスなどに移住した。
・義母の母親の最初の夫は39年にソ連に拘束されたまま行方がわからなくなった。3人の子供はパンを焼いて売って生計をたてた。
・53年に再婚し、翌年生まれたのが義母。義母の父は戦時中ユダヤ人の家族を2年半匿った。父の妹は19才の時に焼き殺された。UPA(ウクライナ蜂起軍)の支援者と疑われた住民が納屋に閉じ込められ火をかけられたという。
・義母と義父は学生時代、ソ連の構成国だったカザフスタンで行われたサマースクールで出会った。義父はモスクワの大学で物理学を学ぶエリートだった。
・1975年に結婚、義父はリビウの物理学研究所に職を得てロシアからウクライナに移り住み、妻と義妹が生まれた。
・平穏な日々が続いたが、80年代後半、ゴルバチョフが改革を打ち出すと、リ���ウで独立運動が始まり急速に町の雰囲気が変わってゆく。
・義母の中でもウクライナ人としての意識が芽生え、アパートのバルコニーにウクライナの国旗を掲げると義父は激怒し国旗を捨ててしまった。以来政治の話は避けるようになる。
・それでも義父は娘二人はウクライナ語の学校に通わせ、義母と子供たちはウクライナ語で、義父と子供たちはロシア語で話した。義父はウクライナ語も解するがロシア語で通したという。
・1991年ウクライナが独立を果たすと、徴兵対象年齢の男性に義務付けられた軍への登録の際に、ウクライナへの宣誓を拒否する。「ロシアにいる自分の家族とは戦えない」と。義母は裏切られたと感じたが、家族を守るためにとにかく政治的な意見の違いを封印した。
・義父は2004年のオレンジ革命、2014年のマイダン革命、クリミア併合と、家でも社会の中でも孤立感を深めていったと義母は感じていた。頻繁にモスクワ州の弟の家を訪れるようになる。
・2017年、義父が急死する。葬儀には弟夫婦が参列したが、夫婦は回りからキーウは民族主義者ばかりでロシア人は狙われるから危険だ、と言われたという。そして「本当のことが分かった」とつぶやいた。
・2022年の侵攻後、義父の弟からは安否を尋ねるメールがきた。
著者:1967生まれ。
1993日本経済新聞社に入社。2021年退社。
2021年12月にキーウに来て、ドニプロ川左岸の義母の家に同居する。
2月7日、事前避難の説得をあきらめキーウに残ると決めドニプロ川右岸の友人のアパートに移る。友人は退避していた。右岸の方がロシア軍からは安全だということだった。
3月7日、妻の会社の出したバスでリビウに逃れる。3台のバスに130人。従業員とその家族、1家族につき1匹のペットが乗車を許された。ポーランドに避難した義妹の友人のアパートに落ち着く。妻と義妹はオンラインで仕事を続け、義妹の子供もオンラインで授業を受けていた。
4月4日、当事者としてではなく、(フリーの)記者として一人でキーウに戻ることを決める。取材を始める。
7月、妻と義妹がキーウに戻る
2023.2.30初版 図書館
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人間にとって自由とは、自由を守るために戦うとは、をジャーナリストの目線を通じて考えることができる良書。こういう本が日本語で読めるのは貴重だと感じた。
著者はモスクワ駐在を2度経験し、その後独立した国際ジャーナリスト。不屈の民といわれるウクライナ国民の日常が戦争により破壊され、それでも立ち上がる様子が描かれている。ブチャの状況は悲惨という言葉では書き尽くせない。キーウは一部で日常は戻ってきたが戦時体制のままだ。ロシアの、そしてプーチンの危うい体制をかねて感じ、今回のロシアとウクライナの戦争にも構造的な問題があるとみる。
日本の一部には、特に学者から、プーチンの言い分には一理あると歴史の解釈を含めてお互い様といった論調や、これ以上の流血を避けるためにゼレンスキーは即時に停戦すべきという意見もあるようだ。だが、著者はそれらには与しない。一時帰国した日本で学生との特別講義で、学生の現実離れした主張に感情を露わに反論してしまったシーンは印象的だった。
著者も後半では、ウクライナの汚職体質、侵略地でロシア兵が住民には危害を加えなかった例も知っていることには触れている。たが、バランスをとることがこの本の目的ではない。守るべきものがあれば戦う覚悟があるか。人の道に外れた行いを目の前にして黙っていることができるのかーー。この本を通じて、日本人が自由をどのようなものとして位置付け、有事にはどう向き合うのかという問いを突きつけられているのではないかと感じた。
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市民の勇敢さがわかる現地レポ。
あくまでメモ程度なので、軽く読み流せる。
汚職が再開しているなど、現地民ならではの視点もあった。
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2022年2月24日
ロシアのウクライナ侵攻が始まった日...
連日テレビで放映されたニュースを私も見ていた。
映像として流れ耳から入る情報とは違って、こうして文体で書かれているとまた違った感覚で受け止める自分がいる。
行間にはごく普通の市民の日常が書かれていて、それは侵攻や戦禍の中で生活、そう日常生活を送る逞しいウクライナ人の姿(侵攻され残虐な場面もあったけれど...)
侵攻が始まった当初、世界から袋叩き?にあうプーチンのことを少し哀れに感じたこともあり、プーチンの本を読んだりもした。
そして、私はウクライナ人のことをよく理解していなかったようにも感じる。
...ウクライナ人は自由で個人主義。自分が信じるもののためには死を恐れない...
そして
...「ホロドモール(飢餓による殺害)」の記憶がある世代がまだ健在であること...
などを知る...(全くもって勉強不足、歴史の知識無し...反省)
本書の中に
ロシア人はウクライナ人を格下にみている...云々の箇所があった。
格下...
人種差別...?
格下と思っていた相手がある日、突然、大きく見える?
自分と全く異なる思想で、意思は固く、「信じる」意思は固く疑うことを知らない。朗らかで陽気な人たち...
凄いと思った。
「信じる」「信じられてる」という共有の認識があるって凄いと思った。
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人生で読んだ本の中でも1番生の戦争との距離が近い本かもしれない。
ロシアからの攻撃に対する恐怖感、そしてそれでも祖国の自由を守るために戦う姿勢。歴史や民族性からもその裏付けがされており、感情的ながら理知的でもある。いつか日本が戦争に巻き込まれた時、ウクライナ国民のようにいれるのだろうか(必ずしも瓜二つである必要はないと思うが)
ウクライナ一辺倒でありながらも、それを感じさせない(扇動的な印象を持たせない)のもこの本に対するいい感触のひとつだと思う。
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ずっと心に引っかかっていたウクライナ情勢。実際のところは何も出来ませんが、この本を読んで「不屈の民」を益々応援したくなりました。
『「戦う以外の選択肢はなかった。国を守らなければ、敵が奪うことになる。義務感とか、そんなのじゃない。私は心からウクライナを愛しているんだ。先祖たちも自由なウクライナを守るために血を流してきた・・・もちろんすごく怖いさ。死にたくはないし、死ぬ必要もない。戦うだけだ」』
…ウクライナが死守するルハーンシク州の要塞の最前線にいるヴォロディムィル氏へ著者がウェブで取材した時のコメント。同氏は2022年4月に結婚したばかり。銃を握ったこともなかった。
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いつも聴いているpodcast番組に著者の古川英治さんがゲスト出演していて紹介された著作です。
古川さんは日本経済新聞モスクワ特派員の経験もあるジャーナリストです。
今も続くウクライナへのロシア侵攻開始時には、まさにウクライナ人である奥様とキーウに在住。その後も現地での取材活動を通して、「自由」を堅守しようと戦うウクライナの人々の現実の姿を伝え続けています。
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ウクライナ人の妻を持つ記者のロシア侵攻後の現地ルポ。侵攻を機に現地に赴いた他メディアと異なり、知人友人を有する著者ならではの葛藤が胸に迫る。
反対勢力の弾圧を強めるプーチン政権への批判を記事に書くも、勤めていた新聞社では理解を得られず親ロシアの日本政府に歯がゆい思いをしたことなども赤裸々に綴られる。