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日本の思想の系譜が日本史と世界史の観点からわかる本。
体系的に、思想の繋がりが見えるのは面白く、色々な発見もあった。
ただ、少し著者の主張が強すぎて、かくあるべき、この思想は好き嫌いというのが見え隠れしていて、近現代の思想の部分はちと読んでいて苦しいものだった。
保守の本当のあり方や、多様性と寛容さが大事という主張には大いに賛同できるものの、何となく鉛を飲んだような気分になった。
それは、本書を読んで、思想というものが、下手をすると自分の理想や頭の中で描いた都合の良さを論理的に説明するもののように見えてしまったからかもしれない。政治的に統制をかけるとか、自身の価値や権力に箔をつけて、正統性を出すようなツールとして思想が使われているからかもしれない。
信仰と同じく、思想も、体制と結びついたり、集団と結びつく時、その価値がなくなるのかもしれぬ。
下手に被れたら危険なものが思想なのだという感覚を得られたのは良かったかもしれない。
されど思想なくしては、社会集団は動かず、成り立たないような気もする。
そうなると、禅のような無字の世界や、身体論、山伏などの体系化されていない世界にあごかれが募る。それも一つの思想?なのか。
ただ、江戸時代も、明治大正も、言論統制は比較的緩かったことはよくわかる。
それぞれのマトリクスでも、それぞれの思想が、それぞれの局面で機能して社会を前に進めているもので、誰かの拠り所にもなっていたりする。多様性が大事で、一つの思想にまとめることの弊害があり、だからこそ、日本古来の習合や、和をもって貴しとなす、と言った多様性と寛容さ、良い意味での良い加減さが大事なんだと思う、
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前半の南北朝時代くらいまでの思想史はすごい面白かった。歴史上の出来事は全てどこかの誰かの思想に紐づいていて、その思想をの基礎になる出来事がまたどこかにあってっと紐解いていくのが面白い。
後半の政治思想史は見てて絶望することばかりだからあまり読み進められないけれど、現在に至るまでを俯瞰で見ることは大切だとは思う。
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4章以降挫折。
教科書のように事実の羅列で、頭に入らなかった。
逆に3章までは、今まで知らなかったことも結構あり興味深く読めた。
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駿台時代にお世話になった世界史の茂木先生の著書。世界史選択の自分でも、古代から現代までの日本思想史を読み物として非常に面白く理解できた。教養としての一冊。全日本人に読んでほしい名著でした。
あと今まで知らなかったが、陽明学が好き。
最近流行りのビジネス用語で言うと陽明学は「デザイン思考」、朱子学は「ロジカル思考」になるかも。
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*****
「集団主義」の圧力が[水田耕作のルーティン化によって]強まっていった結果,[狩猟優位の]縄文人的な個人の直感や察知能力が衰え,組織を優先する官僚的なメンタリティが台頭してきました。
個性豊かでどれひとつ同じものがない縄文土器に比べ,没個性で量産型の弥生土器のつまらなさは,日本人が何かを失ったことを象徴していると思います。(p.24)
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駿台予備校の人気世界史講師によってまとめられた日本思想史の本。教科書のような端的で分かりやすい文章だが、情報量が多いのでじっくり楽しめた。
歴代の日本思想家(宗教家や政治家)は、「国家主義」か「個人主義」か、「ナショナリズム」か「グローバリズム」かのグラデーション内で分類できるらしく、今までバラバラに理解していた有名な歴史上の人物が、キレイに「国家主義」と「個人主事」を両端に置くX軸、「ナショナリズム」と「グローバリズム」とを両端に置くY軸のマトリックス上に収まり、点と点が線や面として繋がってゆく様が快感であった。
実際は本書が「政治思想マトリックス」の続編に当たるらしく、そちらも読んでみたい。
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思想史、というのは聞き慣れないジャンルだったが中々どうして面白かった。個々の歴史的事件も、その時代の背景となっている主流な思想を知ることでよく理解できた。
また、仏教と神道の絡み合いや、何となく聞いたことのある朱子学儒学なども簡潔に要点がまとめられており勉強になった。
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ポップな表紙デザインで手に取ったが、なかなか思想の濃い内容だった。
うろ覚えだった日本史をおさらいするかのように読めた。面白い。
著者の色が濃く出た記述もあるので、そこは各々が考えて捉えるべきだろう。
天皇を主体として日本人の思想が形成されているという点は面白かった。南北朝時代の微妙なニュアンスも興味深い。
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わかりやすい。天皇とは?縄文から令和まで、日本国のあらましがみえる。朱子学と陽明学の違いなど、ふとした疑問が解決する。神話時代、明治から昭和が特に興味深い。
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日本に生まれ、住み、暮らしているので、私の価値観や考え方は、日本全体を包んでいる思想や歴史に、少なからず影響されているのだろうなと思い、手に取ったのがこの本である。
平易な言葉で分かりやすかったが、あと少し、もうちょっと、字が小さくなってもよいので、深く掘り下げても良いかも、本当はもっと書きたいことがあるのでは?という匂いを感じた(まぁ、入門書なので、このくらいが良いのかな、、、)
最後の方は、政治思想を中心とした解説が多く、それらの思想を私に結びつけるには、まだまだ勉強不足だなぁと分かった。この入門書を参考に他の本も読んでいきたいと思う。そもそも日本人の思想なんてあるのか分からなくなってきたけども。
感想を書いていて気づいたが、入門書としての役割は大いに達成された(笑)
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後半の小泉政権当たりの現代史あたりからは著者の思想が入りすぎている感がある。だが、前半の宗教と日本人思想は読む価値あり。
かつて日本はひとつの国ではなく、多くの国があり、そしてそれを大和が滅ぼしていった、地方の王を「鬼」とした物語が「桃太郎」説はなるほど興味深い。日本昔話の「鬼」のどこかもの悲しさは、大和に敗れた王だからではないか、と。
鬼による被害は描写されず鬼をやっつけて財宝うばってめでたしめでたしの桃太郎に疑問を持つ人は多いと思うが、なるほどこの説だとなんだか納得できる。
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縄文のアニミズムが神道の起源であり、古事記、万葉集では祭祀王としての支配を「しらす」、豪族たちの軍事行政的支配を「うしはく」と表現して区別している。
「しらす」は「知る」が語源で、民をよく知る、民に心を寄せるというニュアンス。
「うしはく」は軍を指揮するニュアンス。
これが皇室が長く続く理由であり、日本の特徴。
1935年の美濃部達吉の天皇機関説に対して、上杉慎吉が天皇主権論を唱え、天皇神格化が始まる。
国防思想の強い日蓮宗の信徒であった石原莞爾が満州を足がかりに、アメリカと最終戦争を行い勝者による世界統一をプランする。
陸軍内の皇道派と統制派の争い。皇道派は北一輝の革命思想の影響を受けた青年将校が中心。統制派は軍の上層部。政治家や財閥と妥協を図り思想がなく東條英機はこの典型。
二・二六事件で陸軍の主導権を握った統制派がなし崩し的に中国国内へ戦線を広げてしまう。
このように、縄文時代から現代までの日本国を特徴づけている宗教と政治思想がよく分かる本です。
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宏池会とか、清和会とか学校で習った覚えがないのだが、結局、人間が集まるとサブグループができて対立し合うんだなというのを、古代から例示してもらってます。
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1,これを読めば日本の思想の変遷がわかると思いたい
2,総裁選が今後行われていく中で、今(2024/09/14)読むべき本
3,未来と世界史の視点に立つとリベラル的に、過去と日本史の視点に立つと保守的な考えになるのかなと思った