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投稿者:owls - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルにひかれて読んでみました。色々葛藤を抱えた映画館で働くヒロイン。タイムスリップした先には憧れの俳優が……。タイムスリップ先の暮らしがリアルな感じで、先がどうなるのか気になって、一気に読んでしまいました。
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あの人と私をつなぐのは、80年前の一本の映画。
丘の上のミニシアター「六等星シネマ」で働くことが唯一の生き甲斐の22歳の雪。急な閉館が決まり失意に暮れていたある夜、倉庫で見つけた懐中時計に触れて気を失う。目覚めたのは1945年。しかも目の前には、推しの大スター三峰恭介が!
彼の実家が営む映画館で働くことになった雪は、恭介の優しさと誠実さに惹かれていく。しかし、雪は知っていた。彼が近いうちに爆撃で亡くなる運命であることを――。
号泣必至の恋物語と、その先に待ち受ける圧巻のラスト。
『キミノ名ヲ。』著者が贈る、新たなるタイムスリップロマンス。
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結末が気になって気になって一気読みしてしまった。
タイムスリップして1945年の熱海に、そして推しである映画俳優の目の前に辿り着いてしまった雪。
まさか未来から来たとは言えないから、彼から完全に不審者扱いされてしまった彼女は記憶喪失として振る舞って何とか彼の元に置いてもらえることになったが……
熱海に直接の空襲はないとはいえ戦時中。
平和とは言い切れない中、何とか暮らしていこうとしても、当時の台所ひとつ取っても現代と勝手が違うからなかなか戦力になれない雪。
しかも、あるトラウマも持っていたから、余計にややこしいことに。
本職である映画館のスタッフの経験を活かして、タイムスリップ先でも映画館を手伝う雪は、この先どうなってしまうのか。
タイムスリップもので先が気になる要素は多々ある。
元の時代に戻れるのか。
知っている悲劇を回避できるのか。
この時代の人と恋仲になれたとしても、元の時代に帰るとなると別れは必須。
その恋の結末はどうなってしまうのか。
などなど。
雪の場合、どうすれば戻れるのか分からない。
推しである彼の悲劇を知ってはいるが、それが回避できるのかも分からない。
そもそも彼の雪との出会いの第一印象が最悪なため、二人のロマンスとしても険しい道だ。
結末が全く読めなくて、とにかく先へ先へと読み進めることに。
前述通り、彼の好感度が寧ろマイナスからのスタートだったので、推しとどうにかなるとは思えなかった雪。
雪自身も彼の態度があんまりなので、最初は推しのそっくりさんとして切り離して見ていたほど。
なので、彼女はまず町の人たちとの交流や映画館を盛り上げることで信頼を勝ち取るところから始めなくてはいけたかったし、実際その点が丁寧に描かれていた。
戦中なのに映画?と不思議ではあったけど、後書きを見る限り、実際に映画上映自体はされていた模様。
プロパガンダ映画は上映するかと納得。
日々のこつこつした積み重ねで徐々に、本当に徐々に近づいていく二人。
それが中盤以降一気に急接近したのには驚いた。
文章中にもあったけれども、脈絡なしに告白したので。
しかも銃撃のあった直後に。
最初はええ!?となったが、今から思うと二人に残されている時間が少なかったのも理由の一つだったのかもしれないと思った。
何しろ彼は雪のいた時代にまでは伝わっていなかった秘密を抱えていたから。
その秘密が明らかになってからの終盤の怒涛の展開は必見。
気になっていた元の時代に帰れるのか、悲劇は回避できるのか、そして二人の恋の結末は、その答えは全て終章に。
どうしてああいう結末になったのか、彼の抱えていた秘密を考えると納得の展開。
あの状態で結ばれても、今回のような結末には辿り着けなかっただろう。
長続きしない筈なので。
あまり多くを言うとネタバレ過多になってしまうので詳細は避けるが、一つだけ。
大スターがフィルムの中で確約したのは「ハッピーエンド」
この物語は確実にハッピーエンドである。
そし��読み終わった後は、タイトルと表紙の二人の持つアイテムの意味を噛み締めて欲しい。
気付いた時には本気で泣きそうになったので。
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タイムスリップものが好きな私にはとても面白く読める内容だった。
千秋さんと雪の恋愛模様は何だか凄く落ち着いた関係のように思えて凄く好みでページをめくるたびに二人の関係が気になって仕方なかった。
タイムスリップして千秋さんとの出会いで生きることに対して前向きになれた雪に本当に良かったね、と思えた。
あとは戦時中の話でもあったので、何だか今の時代に感謝の気持ちを思い返した。
日々感謝していると頭では思いながらもきっとまだまだ足りないのだろうな…と考えた。
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先に読んだ本の巻末の広告を見て買った本、二冊目。
熱海のミニシアターで働いていた雪が、倉庫で見つけた懐中時計に触れて気を失い、目覚めた先は1945年。そこには戦禍を逃れて東京から実家に疎開していた推しの大スター三峰恭介がいて…、というところから始まる物語。
『彼の実家が営む映画館で働くことになった雪は、恭介の優しさと誠実さに惹かれていく。しかし、雪は知っていた。彼が近いうちに爆撃で亡くなる運命であることを—』という紹介文を読んだ時は、戦時下での悲劇的メロドラマかなと思っていたのだが、良いほうに裏切られた。
タイムスリップしてきたとは言えず記憶喪失を装う雪に、疎開してきたものの何やら鬱屈を抱える恭介。徴兵や食糧難、爆撃や機銃掃射は描かれるが、戦火を免れている熱海を舞台にしてそれほどひどい状況でもなく、映画館を中心にした田舎町での地元の人や疎開してきた人との交わりが描かれ、その中で二人が情を深めていく様がとても好ましかった。
ハッピーエンドが良かったので、星はちょっと甘め。
登録している方も少ないが、ちょっとした掘り出し物だった。