宮城谷先生の孔子解釈
2024/05/01 02:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:C-3 - この投稿者のレビュー一覧を見る
言わずと知れた儒教の教祖・孔子を取り上げた宮城谷先生の歴史小説。
現代においても啓蒙書として多くの読者を引き付ける儒教の思想が編み出された背景の宮城谷先生による解釈に基づくであろう“物語”だということを踏まえて読まなければ、人によっては違和感の方が大きく感じられるかも(以前から宮城谷先生のファンにとっては当たり前のことでしょうが)。
個人的には孔子とその弟子たちの関係のあり方を濃淡をもって描いたところは好印象だが、もう少し弟子たちの心情描写が多くても良かったと思う。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
思想哲学というよりも政治的な立ち位置として描かれている孔子物語。作者独特の世界観は健在で古代中国の様相が広げられている。
投稿元:
レビューを見る
【人間・孔子が生きている】孔丘は家族の情愛に恵まれずに育つが、学問を愛する青年となる。徳と礼で民を治める理想を磨き続けた儒教の祖の一生を描く大河小説。
投稿元:
レビューを見る
孔丘のひととなりが垣間見れる。今も同じように世の中が動いているのかもしれない。
ある意味普遍的ではある。
投稿元:
レビューを見る
春秋時代、魯に生まれた孔丘。
詩と礼を愛する青年に育ちますが、三十で官を辞し、曲阜に教場を建てると、次々と若者達が入門してきます。
四十を迎える前に、孔丘は、先進国である周に留学し、老子に師事します。
儒教の祖、稀代の教育者である孔子を描いた小説です。
「われはいかなる者でも教える」
惟斅学半(いこうがくはん)
「惟(こ)れ斅(おし)うるは学ぶの半(はん)ばー、つまり、人を教えることは、半分は自分が学ぶことだ、そういっている」 ー 103ページ
投稿元:
レビューを見る
久しぶりの宮城谷さんの本。若い頃に結構、著者の本を読み耽った。
宮城谷さんに教えて貰ったのは、漢字の成り立ちを解き明かした白川静先生。白川先生の孔子伝に沿った内容だろうと思ったが、そうでもないように感じた。
いつでも書くことは出来たんだろうけれど、機が熟すのを待ったんだろうな。
孔丘の題名と文中でもその名で書き連ねることが、その人に迫ろうとする姿勢と思う。
そして丘の名を命名したのが母とする処が沁みた。
儒は元々、葬礼を儀礼をつかさどるもの。そこから学び始る孔丘。官職を得てからも学び続ける。ある意味、偏屈な一匹狼で、直情家な性格をうまく描いていると思う。
そして教育者であり、弟子たちを引き付ける魅力がその教えにあったと納得させられる。
魯の国にあって、王に力はなく、三卿が凌駕する。
昭公が国を去り、季孫意如の国となった中、孔丘は周で師を得る。
しかしながら、孔丘の理想が唯一の答えとも思えない。そのあたりも冷静に記していると思う。
しかし、これで上巻が終わって大丈夫か。子路は登場しているが、子貢も顔回もいまだ登場せず、この後は陽虎の反乱、孔丘自身のクーデター、放浪の身と続くはずなのに。
投稿元:
レビューを見る
孔子の教えではなく、その人物を描く歴史小説。
漫画『キングダム』の影響で、諸子百家といえば戦乱を思想と弁舌で渡り歩いたイメージだったが、上巻を読む限り、孔子の時期は戦国時代前の春秋時代で、後の戦国七雄となる国もすでにあるもののどこかまだ牧歌的、周王朝もまだそこそこ立てられている印象。あくまで小説なのでどこまで本当かはあるけど。
その分、小説としての展開は若干退屈ではある。孔子もまだ町で教えてるだけっちゃだけだし。
しかし、儒教や中国思想の本は教えが脈絡なく並んでいるように感じられる自分にとっては、孔子の教え的なものがストーリーの中で随所に出てくるのはよい。