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ル=グウィンの初期の長編とのこと。古本屋で見つけて、読んでみた。
おもしろかった。
その後のル=グウィンの作品でもしばしば使われる手法、すなわち肌の色の違いをうまく使って世界観を作っている。
ル=グウィンを読むたびに、なぜ自分がこんなにも白人が物語の中心にいることを当然のことだと思ってしまうのだろう、と不思議な気持ちになる。
この小説では、白、黒、黄色と3つの人種が登場する。
互いに、自らを「人間」だとし、他は類人猿とまでは言わないものの、遺伝的に別種の生き物だとしている。
対立と滅亡と、そして、相互理解の物語。
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ル・グィンの作品って好きです。
さらにいえば、ル・グィンのSFをよんで、SFがもっと好きになったし、興味を持つようになりました。知人に言わせれば、「高尚なSF」らしいル・グィンのSFですが、ロマンティックでなんだかキラキラしていて、甘くもほろ苦いこの頃のル・グィンの作品は、巡り合えてよかったと思えるような素敵なものです。
「ロカノンの世界」に続く長編第二段で、ロカノン~とゆるくゆるくつながっています。
5000日もの間冬が続く竜座の第三惑星で暮らすヒルフという種族と、異種族である(彼らからしてみれば)人間であるファーボーンという種族が同盟を組み、共通の敵に立ち向かう、みたいなお話ですが、あらすじを書くと仰々しいですが、実際はもっと静かで、非常にロマンティックな一冊です。
私はル・グィンの描く恋愛描写が好き! という多分少数派な人間ですが、この作品に出てくるヒルフの族長の娘ロルリーと、ファーボーンの頭の一人、アガト(二人はいとこにあたる)のロマンスは、彼女の作品の中でもかなり糖度が高く、愛によって、従順と献身をみせるようになったロルリーに心寄せてしまいます。
異種族間で起こる様々な価値観の違いなどの相克はもちろん、男女間の相克、世代間の相克、季節や自然と人間との相克、様々な物を描き、問題提起しているように思えます。
冬のお話なのですが、読後感は夏の様に爽やかなように思えます。
非常に静かでありながら、瑞々しいSF小説で、ますますル・グィンが好きになってしまいました。
主役の二人のほかに、ヒルフの族長ウォルトがいい味出していたのが善いですね。
年代の違いにおけるディスコミュニケーション、というかディスコミュニケーションというのは、SF小説の永遠のテーマかもしれないな、などと思いました。
岡野玲子さんの描く表紙のロルリーが素敵です。
ル・グィンの描くSFの世界に、まだまだしばらくの間は、おぼれてしまいそうです。
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ル・グィンの若さを感じられる作品
表紙 5点岡野 玲子
展開 7点1966年著作
文章 7点
内容 700点
合計 719点
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文字通り「辺境の惑星」である竜座の第三惑星に植民し、数十世代を経て忘れ去られた人類(ファーボーン)たち。世代を重ねるうちにテクノロジーの伝承もほとんど絶え、半ば中世のような暮らしをしている。コミュニティの人口も不妊などで減少し閉塞感が漂うなか、ファーボーンの指導者アガトと原住民族ヒルフの少女ロルリーが出会う。互いに相容れなかった二つの種族が、蛮族の襲撃を機に協力し融和へと向かう。静かだが希望へとつながる良い作品だった。