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祖母から孫にかけて、3代に渡るそれぞれの故郷への想い。
特にお気に入りは、祖母の表題作。
戦争〜戦後に掛けての激動の時代を生き抜いた佳代。幼馴染の孝光と奇跡的に結婚する事が出来た。だが、故郷の村がダムへ沈む事になり…
戦時中の家族の死や、幼馴染で恋人だった孝光との再会に涙でした。でも、ダム建設で人生が狂ってしまったのが本当に切なかったです。あれだけ愛した村も、結局は最後は独りよがりになってしまった夫婦。とても純愛でしたが、娘との関係が悪化してまで守った結末があまりにやるせなかったです。
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ダムに沈んでしまった瑞ノ瀬村。そこで生きた祖母、母、娘の三世代の物語。
物語は現代の娘の話からスタートして、章ごとに遡っていくスタイル。
それぞれの生きる時代背景や性格がわかりやすく、入っていきやすかった。
全体を通して「ままならなさ」が感じられると同時に、家族愛だったり郷土愛が溢れていて、なんとも切ない気持ちになる。
メインで描かれていているのは女性三人だけど、それぞれのパートナーがバラバラのタイプでありながら、すごくいい味わいを出している。こっそりそこもポイントが高かった。
それにしても、最後のお祖母ちゃんは悲しい…。
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辻堂さんは、ちょこちょこ泣かせに来る。
ガンバッテルヒトタチを見習わなきゃと思うが、いざ現実に戻るとすっかり物語の事が頭から抜けてしまっている。
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これは多くの人に是非読んでほしい
3世代の母娘を描いた物語だけれど、特に祖母の時代に感動した
戦争の時代に生きた家族の話が心に染みる
そして戻らぬ夫を死ぬまで待ち続けるカヨ
こんなにも涙した本は初めてかもしれない
大河小説だけど構成がとても面白く作られていて、さすが推理作家だなあと改めて感心した
これから辻堂先生の本は全て買っていこうと思った
己の今日を生き、一秒も立ち止まっていられない
この国に神風が吹き、戦争に勝つまでは
心に残るフレーズが沢山ある
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心の奥の柔らかい部分に触れてくる素晴らしい話でした。
私の家族にダム建設の地質調査をしている者がいます。
ダムを作る側から言わせれば、それが正当なことかもしれないけれど、そこにはかつて自然があって村があって生活していた人がいるという事実を忘れがちです。
佳代と孝光が、描いていた未来が戻ることなく、悲しい結末を迎えてしまったこと、残念で悔しくてなりません。
『瑞ノ瀬の人間は、故郷を愛していた。先祖を敬い、大地に感謝し、山に与えてもらった恩を返そうとする心を忘れなかった。
俺たちは皆、その小さな幸せを分かち合い、融通しあい、ささやかながらに誇りを持って暮らしてきました。』
あの世で佳代と孝光が再会して幸せでありますように。
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4.2
孫、子、親と話が進む。
美しく豊かで先祖代々守って来た故郷がダムになってしまうお話。
佳代の幼少期から亡くなるまでの生活の中で、
どんどん村に愛着が湧き、引き込まれる。
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ダム建設反対運動に命をかける母と、子育てを蔑ろにされた娘…どちらの気持ちも分からなくはない。親子の絆をも引き裂く「ふるさと」って一体何だろう、と考えさせられる物語。枕草子の一節からとったタイトルが郷愁を誘う。
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自分の故郷がダムの下に沈んでしまうと想像すると、そこで過ごした自分や家族、知っている人達の記憶が無くなってしまうような感覚になりました。この物語を読んでいる間は自分が育った故郷での出来事を幾度となく思い出していました。
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辻堂さんにやられてしまった。
最後の最後で驚いて、佳代の手紙を読んだ時、涙が溢れた。それまでは佳代の行動がよく分からなくてちょっと引いてしまうところもあっただけに、「気持ちはわかるけれど頑固なお婆さんだなぁ」くらいに思っていたのだけれど。そのくらい佳代にも分かっていたんだなぁ、それでもどうにもならなかったんだなぁと、佳代の思いに触れて胸が痛んだ。
読み終えて、もう一度振り返って読み直しながらじっくりと噛み締めて、壮大な三代にわたる物語にようやく私も終止符を打てた。
また時をあけて読み返してみたいと思える1冊だった。
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住み慣れたふるさとがダムの底に沈んでしまうことに対する気持ち、とても複雑なのだな~と考えさせられました。
割り切れないそれぞれの思いがいさかいを起こし、傷つけあうようになってしまう。
そんな思いをしてきた人達がたくさんいる上に我々の生活が築きあげられていることを実感しました。
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まさかの重たい展開。ふるさとに想いを馳せながら、理不尽な国の仕打ちに怒りも覚えつつ。ただ、自分がその立場に立ったら、どう振る舞うだろうか…それにしても青春物語と思って読んでたら社会派小説?と、頭切り替えようとした途端に、ミステリー?結局、孝光さんに何があったのか、謎のまま。
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娘の話から、壮大な時間を遡り、生きて来た。社会、国から、翻弄された、上手く、生きる事が、難しい。人達の人間模様、上手く行かない人生。
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イタリア留学したが失敗しこっそり帰国して引きこもりになった娘。夫は働かず自分が稼いできた母。家がダムに沈むと宣言された祖母の三代の話。
ラストの祖母の話は、戦前戦中の苦労話でまたかと思ってたけど途中からぐんぐん面白くなってきた。軽いどんでん返しも巧い。
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大変面白く読みました。最近、ダム湖の近くの温泉に行ったので、比較的リアル感を持って翻弄される人生を感じながら読み進められました。
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Amazonの紹介より
瑞ノ瀬村に暮らす佳代、千代、三代の三姉妹は、美しい自然の中をかけまわり元気に暮らしていた。大切な人が戦地から帰ってくる日も、村中から祝われながら結婚式を挙げた日も、家で子を産んだ日も、豊かな自然を讃えた山々の景色が、佳代たちを包み込み、見守ってくれていた。あるときそんな瑞ノ瀬村に、ダム建設計画の話が浮上する。佳代たちの愛する村が、湖の底に沈んでしまうという。佳代は夫の孝光とともに懸命に反対運動に励むが──。
定年退職まで営業部で忙しく働く佳代の娘・雅枝と、海外留学先であるイタリアで「適応障害」になり、1ヶ月と少しで実家に帰ってきてしまった孫・都。湖の底に沈んだ瑞ノ瀬への想いはそれぞれにまったく異なっていた。
大藪春彦賞受賞、吉川英治文学新人賞ノミネートなど、いま最注目の若手作家・辻堂ゆめの最新刊! 都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。
辻堂さんといえば、伏線回収の作品が多い印象です。何気ない出来事や会話といったことが、後々後半の展開に響いて、ちょっとした爽快感を味わうのですが、今回はそういったものは控えめという印象でした。
それよりも、白骨遺体発見や祖母の秘密といったミステリアスな要素を散りばめて、読者の興味を掻き立てさせるような展開にさせてくれるので、構成として面白かったです。
特に祖母の秘密では、母が娘に対して呟く言葉。
あなたの祖母は本当の祖母じゃない。
どういうこと!?と興味をそそられました。
構成としては孫の世代から始まり、母、祖母の順に主人公が変わっていき、歴史を紐解いていきます。
それぞれに共通しているのは、3世代とも故郷を失う場面を目撃します。母と祖母はダムの影響ですが、孫は孫の恋人の故郷が、大雨の影響で失われるのを目撃します。
ダムで村を失うというのは、最初なかなか実感がわかないのですが、思い浮かんだのが八ッ場ダムです。
数年前に村だった所が、水に沈む。そして大雨によって、満杯となるのをニュースで読んだことがあります。
それによって、下流の町を救うことができたのですが、この小説を読んでいると、何だか切なくなり複雑な気持ちにもなりました。
たしかに救世主となりましたが、その村にとってみれば故郷だったところでもあり、思い出深い所と思う人もいます。
小説内では、主に祖母のパートなのですが、ダムだけでなく、戦争といった荒波も加わり、なかなかの悲劇で、やるせない気持ちになりました。
世間的にみれば、ダムに反対する少ない人を異常や迷惑と捉えてしまいますが、当事者の心理描写を読んでみると、裏切りやひどい仕打ちといった場面を目撃するにつれて、酷すぎるなと思ってしまうばかりでした。
歴史を紐解いてみえてくる故郷のあり方。他の人と共生していく難しさを感じました。全体的にみれば、ダムによって救われる人が多くいるのですが、少数の反対によって食い止めてしまうことに、複雑な気持ちになりました。
それによって影響される次の世代。その気持ちもわからなくはないので、心の中はモヤモヤ状態でした。
ダムを巡る一つの物語。色々と考えさせられました。