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トランスジェンダーをテーマにした演劇部の学生たちの物語。劇中作と同時進行していくスタイルで、読み応えがありました。真砂の心の中の葛藤はとても痛ましく感じたけれど、周囲に少しでも理解者がいることは救い。
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すばる 2024年8月号より
舞台はとある、高校の演劇部。
人魚姫を演じる主人公、真砂とメンバー達。一人称の使い方が、それぞれ僕、私
俺、わい?みたいにそれぞれの性別がわからない。最初は皆、女の子と思っていたが、ん?なんか違和感…みたいな感じで
登場人物の容姿と名前が一致せず、掴みづらい。その後、何年か経て再開したメンバー皆の苦悩、葛藤の今。
現在、トランスジェンダーに対しての社会的偏見は少なくなってきているとしても、当人が抱える息苦しさを人魚姫にシンクロさせる。人魚姫のストーリーって、どんなだっけ?と人魚姫を調べた。やはり、納得いかず。笑
今、読んでおきたい本であり、非常に良い読書時間であった。
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作者の意図は確りと感じるものの、もう一押し欲しいところです。
トランスジェンダーの方を、人にも魚にもなれない人魚に喩える表現は、自分は腑落ちしましたが、皆さんはどうでしたか?
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読む本がなくなり(積読はあるけれど、いま読みたい本がないという意味)、探している時に芥川賞が発表され、受賞作品を買いに行くと売り切れで、候補作の中から選んだ一冊。
ジャケ買いというか、タイトル買いというか、立ち読みした冒頭では興味を持てなかったが、なにか惹かれるものがあり、この本を選んだ。
劇の台本と演劇部の人たちの会話が行ったり来たりするという展開は、個人的にはちょっと読みにくかった。
そして、この本を買った次の日に森見登美彦の新刊が届き、それを読みたい一心で読んだので、早く読み終わりたい気持ちだった。
しかし、あらましがわかった頃からジェンダーという題材への興味とこの著者の文章にどんどん惹きつけられて、最後は読み終わるのが惜しいほどでした。
もう一度ちゃんと読みたいと思っているけど、読まなそう。
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青春群像劇のように読んだ。
一人称がいろいろ飛び交うのが妙にリアルだ。男は僕、俺、女は私、みたいのって小説の世界ではストーリーを把握するキーワードみたいになっているけれど、実際は友人同士だとワシとかオレとか言い合ってたりする。女子校だった中高時代はもっといろいろ。そう考えると一人称はさまざまあるし、きっと自分の性や身体との付き合いに関してもさまざまだ。
よかった。
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第170回芥川賞候補作。
主人公は身体が男性のトランスジェンダー。
高校生の時にいったんは女性として生きていこうとするが、大学生になって男性に戻ってしまう。
とても切なさが残る物語。
作中に多様な性のあり方談義が飛び交う。
シスジェンダーでヘテロセクシャルで、それこそが唯一の普通だと思い込んで育ってしまった僕にとっては、時に刺激的で、時についていけずぼんやりとしてしまい…
芥川賞という感じではない。
でも今読むべき小説の一つ。
♫Moonlight/XXXTENTACION(2018)
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(2024/02/03 1h)
シニカルな趣が強すぎる。
脳内お花畑ゆるふわスピ女(125)って感じだ。
厨二病ぽい鋭さと痛々しさのある会話劇。
同著者の前作もそうだったけど本文のフォントが読みづらい。
自分の中にない言葉の引き出しがあり、得るものはいくつかある。ただ好みじゃない。
映画『ムーンライト』の感想文みたいな箇所が長すぎた。
人魚とブルー繋がりで『ブルー・マインド』にも触れてほしかったかも。
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「いま の わたしたちはそれをtransformと呼ぶべきではないようにかんじているわたしは ずっとそれであったのだからtransformではない」という一文に襟を正された。この作品はジェンダーについて本音と本音をぶつけた作品だと思う。最初に引用した文章にあるように“トランスジェンダー”という単語自体がマイノリティに対する失礼な言葉ではないかと考えるようになった。作品自体は思春期の不安定な性自認の話を含むが、この作品で読み解くのはもっと長いタイムスパンのジェンダーについてだと思う。現時点でジェンダー問題の先を行く問題を提示していると思う。
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あまり整理できていないがひとまず感想。
性に悩む、いわゆるトランスジェンダーである学生達の物語。登場人物の名前や言葉使いから性別が判断しづらいため、具体的な人物像をイメージできないまま読み進めるという珍しい体験ができた。
波のない夜の海のごとく淡々と話が進んでいくため驚きは少なく、完全にのめり込むことのないまま終わってしまった。そのため、様々な解釈が生まれる作品だと思う。
深く考えさせられたのは、アイデンティティは他者との関係性によって定まるということ。真砂は自分の人生に意味を持たせるために葉月と付き合おうとしたり、葉月と付き合うために「男」であろうとしたりした。「周りの目を気にせず自分らしく」とよく言うが、自分らしくするためには他者が必要であり、自分だけで自分を作ることなどできないのだと感じた。
それと、
滝上のペンネーム・・・kagaribitakibi →篝火焚火→照らすもの暖めるもの→太陽
真砂のSNSの名前・・・ムーンライト→月
は何か意味があるのかな
とにかくしばらくしてから再読したい。
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現代もなお、ジェンダーに囚われている社会だが、狭い世界に属している間くらいは「自分の性」であろうとする高校生たちの暗黙の結束のようなものを感じる物語だった。同性を好きになってもいいし(もちろん叶うとは限らない)一人称も僕、俺、私、どれであってもかまわない。恐るべき迫害という行為はなくとも、若い人達を縛ろうとする現実が目前に立ちはだかっていることは事実だ。負けないでというよりは躱していってほしいと願った。躱した先にこそこの子たちの求める現実というものがあるから。押しつけられようとした現実こそ実は虚構でしかなかったことに気づくから。
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高校時代,女性としての本来の形を取りつつも,ある女性との出会いを契機に男性の形を受け入れようとした結果,大きな葛藤に苦しむ主人公をはじめ,
矛盾や離散感をそのままの形で受け入れながら自分の形を形造る滝上や,自己犠牲的でありながらも幸福そうな宇内,大好きな家族のために自ら地元に残る判断をした水無瀬,飄々としている栗林など,今作に通底したテーマは「自己の在り方」なのだろうという感想.
自己の在り様は,それすなわち魂と言い換えて良いかと思うが,今作では人魚姫から転じてキリスト教世界の解釈へ話の裾野を広げているところが印象的だった.
今作は著者がロリータに対する批判などについて,積極的に取り組んでいる点を踏まえて読むと,大変腹落ちする作品であった.
また個人的な話として,滝上が私に並々ならぬ影響を与えた人物によく似ていて,純文学特有の精細な描写故に,複雑な気持ちになったのも良かった
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最後、心臓がギュッとしてちょっと泣いた
読んでいるなかで、登場人物たちの一人称でその人の性別を型に当てはめようとしてしまった自分の浅はかさに嫌気が差した
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読み始めてすぐ、あれれ?ってなります。
登場人物たちの造形イメージを頭の中に描こうとすると強い違和感が出てくるのです。
読み進めていくと、そういうことなのねって納得するんだけど。
この小説を読むとトランスジェンダーに対する見方が一変します。
肉体的にも精神的にも苦痛を感じつつ耐え忍びながら社会で生きている大変さに驚かされます。
川野芽生の「Blue」はそういった現状を当事者たちの視点から心理面に寄り添うことで自分のことのように感じられる小説です。
私自身、今回トランスジェンダーの方たちへの知識の乏しさから無意識ながら偏見を抱えていたことに気づかされました。
専門書を読むより切実な当事者感を受けることができます。
また一つ学びが深まりました。
ラストの電話での別れを告げられるシーンは、かなりつらいです。心が痛みました。
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自分の頭なの中みたい。登場人物たち全員に、知ってる。考えたことある。見たことある。どうしたらいいんだろうね。と思いながら読んだ。
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スッと読めると思ってたんだけど
なかなか頭と心に入ってこなかった
深いような浅いような
ほろ苦さだけが残った