主人公になってはいけけない人の物語
2024/06/03 10:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この題名は主人公の友人がサーティワンアイスクリームを食べながら思いついた曲からつけられたというと、何だか楽し気な話を想像するのがさにあらず、とても読後に不快感だけが残る、つまり私にとっては楽しい作品。まず、主人公の琴音の好感度がゼロ、旧友・小林ややきそば頭の女・よし子も嫌な奴、そこがいい。途中、友人・優の息子の手紙から急転、感動作になるのかと思いきや、ますます琴音の屑度がアップする、恋人(と言っていいのかははなはだ疑問だが)、親、仕事、まるでうまくいっていないということが会話の中で伝わってくる(本文では主人公の心境の吐露が詳細にはない)、積もり積もったうっぷんで最後には主人は・・・。併載の「アキちゃん」はよくある子供時代にヒエラルヒーの話だと思っていたら、アキちゃんはそれどころじゃなくてという重い話
あきちゃん、良かったです
2024/02/26 00:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
新人賞受賞作品だけのことはあります。あきちゃん、良かったです!!さて、アイス……の方ですが、会話ばかりで物語が進行するので、なんだか読みにくい感じでした。あまり、この主人公のことを好きにはなれないですね……
投稿元:
レビューを見る
【第170回芥川賞候補作】32歳女性の「静かな崖っぷち」。新鋭作家が奏でる、おかしさに彩られた哀しさの夜想曲。絶賛を浴びた文學界新人賞受賞作を併録。
投稿元:
レビューを見る
表題作と、「アキちゃん」の二作。
表題作は芥川賞候補作。
読んでいて、ずっとイライラするような、嫌な気分になるようなお話。
お客さんのおばさんはムカつくし、仕事を紹介してきた友達も話が違うし、めちゃくちゃストレスがたまる。でもこういうことって、生きていればあるよな…って思うけど、それだけではなくて、主人公はどこか変。遠距離の恋人とは、もう別れている感じなのに、事前に行くことも言わずにクリスマスに高速バスで来ちゃうし、結局会えずにすぐに他の友達?との約束を取り付けてまた新幹線に乗って戻るし、貯金カツカツなのに美容院の予約(しかも結構高い)しちゃうし。
持ち物も置いたところに置いてきちゃうし。
稼いだお給料も、こうやってすぐ使っちゃうんだろうな。何かの病気なのだろうか。
最後まで、え…なんで?って感じのザワザワした小説だった。
「アキちゃん」
アキちゃんはムカつく女の子だと思ってたら、実は男の子とわかったところは、え!?っと驚きがあった。こちらも、読んでてずっとイライラ、ザワザワするような小説。
投稿元:
レビューを見る
文學界10月号掲載
⚫︎受け取ったメッセージ
大人の対応も限界あり。
いい人、悪い人って単純に決められない
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
第170回芥川賞候補作。32歳のピアノ講師・田口琴音は、さいきん仕事も恋人との関係もうまく行っていない。そんな中、ひさびさに連絡をとった友人との再会から、事態は思わぬ方向へ転がっていくーー。静かな日常の中にひそむ「静かな崖っぷち」を描き、心ゆすぶる表題作。そして選考委員の絶賛を浴びた文學界新人賞受賞作「アキちゃん」を併録。
「すべての結果としてこの作品は、新人離れした堂々たる手腕を示すことになった」(川上未映子氏の選評より)
⚫︎感想(ネタバレ注意)
最後まで一気に読める。ほぼ会話と思考で表現されていて、読みやすい作品。琴音は、嫌だと思うことがあったり、言われたりしても、我慢して大人の対応をするのだが、もう限界となったら、本音を言う。その落差が印象的。彼女は一度も人生で本当に「愛すること」「愛されること」がなかったのかな、という印象も受けた
ありそうなマウント取り、厄介なシチュエーションやらが満載で、大人は大人の対応してるけど、実際はイラッとしてたり、きっと他人にさせたりしてるよなぁ〜なんて思いあたることがあり、程度の差こそあれ誰もが共感できるところがあると思う。
言いたい放題してくる小林、周りくどい感じの優、母にもついにキレる、ピアノ教室に通う子の母にも決別。恋人にも取り付く島もない。最後にほんの少し救いの兆しか、気持ち回復の兆しがあってほしかったなぁとは思った。
投稿元:
レビューを見る
ままならないことが積み重なり次第に怒りをコントロールできなくなる主人公。おそらく悪いのは周りだけではなく自分にも原因があるとわかってるだけに余計に抑えられない感情に潰されていく過程が面白い。
投稿元:
レビューを見る
文學界10月号より
ほぼ、会話形式で進むので、非常に読みやすく、サクサク進む。感想としては登場人物達にほぼ共感できないようで、気づいたら共感してしまっている自分がいた。
終始不穏な空気の中、物語は進み、足場の崩壊寸前な感覚に、ハラハラした。
主人公の幼児性もさることながら、出てくる人達にまともな人は少ない。
でも、文章でみる危うさは、至って普通の日常であることに気づく。
凄く面白かったのは、間違いないが、佳作感は否めない。
投稿元:
レビューを見る
2024年1月
32歳、経済的に崖っぷちな琴音。生きるって大変だ。わたしも32歳くらいのころはわりと崖っぷちだったなぁとか思う。
好きな文章だった。
併録の「アキちゃん」がめちゃくちゃよかった。
投稿元:
レビューを見る
女同士の電話のやりとりや
密やかなおしゃべりを
わざわざ聞かされているようで
そこには嘘や駆け引き
見栄、嫉妬みたいなものが
むせるほど渦巻いているから
ずっと息苦しくて落ち着かなかった。
主人公を含めた女の人たちみんな
幸せそうではなく
情緒不安定な感じで
ときどき感情を爆発させながらも
それぞれの関係は
なんとかバランスを保っていて
それがいつ、どのように崩れるのか
最後まで緊張感があった。
PTSD→PPAP
人間じゃない→人間味がない
友人の言い間違いに吹き出していたら
主人公の鬱屈や焦燥の中
もがき、苦しみ、怒り、あきらめ…
いろいろな感情をぶつけられた。
投稿元:
レビューを見る
主人公の行動に驚かされるが、読み手の中にも多かれ少なかれ共感できる部分はあるかと思う。
主人公が何かしらの障害を持っているかは読み手に任せられるがところどころの行動や言動で暗に触れている。
行間に隠されてる部分が多いが、意味合いが想像できれば素晴らしく面白い作品である。
投稿元:
レビューを見る
読んでいる内に、なぁんかイヤ〜な気分になってしまい、「なんでかな~?」と考えてみたら、
「このヒロイン、かなりの根性悪やん」と気が付きました
投稿元:
レビューを見る
第170回芥川賞候補作。
タイトル「アイスネルワイゼン」は「ツィゴイネルワイゼン」のもじり。本筋に関連あるようなないような微妙なワード。
とても居心地というか座り心地というか読み心地が悪い小説。そういう意味では芥川賞候補作っぽいと言える。
面白く読めました。
主人公が性格悪いんですよ。
でも、読み始めはわからない。いかにも普通の人のふりしている。
だんだん本性が現れて嫌われていく人いるじゃないですか。まさしくそんな人。
主人公の視点で小説を読んでいて最初は感情移入しているから、途中から違和感が急上昇。あれあれあれ…って。
読んでいて、「自分ってそんなに無垢で純粋で正しくないんだー、悪いやつなんだー」と思い知ってショックを受けた若い頃を思い出した笑
併収されている「アキちゃん」も秀逸。
実は〇〇ではないアキちゃん。
感情というものがじぶんのものでありながらじぶんのものでないことをよくわかっていないと、けっこう、やっぱ大変だよね。
♫蝶々(グリーグ)
投稿元:
レビューを見る
嫌な感じ(孤立する人間性、孤立させる己の傲慢さ)を徐々に浮き彫りにする手腕はそのまま、やっぱりどうしてもキャリーバッグのくだりが腑に落ちず。。
怒りの矛先がわからなくなる、急に大きな声を出す、在処のわからない強い感情をぶつけてしまう、そんな彼女がマックで若い女の子に「ただの良い人」として認定されるその一瞬、彼女は自分の感情の名前がわからなくて泣ける。
彼女のわからなさ、自分は何と戦っているのかわからないが故の不気味さと苦しさを、個人的には物理的な重さにたとえてほしくなかったけど、しかし移動するキャリーとその中身がずっと伏線(中身が軽くなるほど行き場がなくなる)としての小道具であるし、彼女自身、外郭のない苦しさに自覚的でなかったから、最後に出すとしたら物理的な重みでやっとわかる。。そういう使い方にはなるよなあ、など。。
投稿元:
レビューを見る
仕事も恋愛も上手くいっていない。人間性が最悪な仕事相手と会い、世にも美しい家族愛に遭遇したりする。最悪な失恋をしてもドラマのように直後に新しい恋は始まらない。友だちの嫌な部分に無性にムカつき、過去の親の仕打ちに急に腹が立ってしょうがなくなる。
何も持っていない空っぽの人生なのに、それはどうしようもなく重い。
精神的に追い詰められ、いっぱいいっぱいになっていく主人公───
ほぼ会話文で進む話で、主人公の感情は全く語られない。その中でたまにズレた発言や行動をする主人公の人物像が浮かび上がってくる。主人公をヤバい人間だと思う読者の方が多いのかな…でも、人ってこんなもんじゃない?と思う自分はズレてるのだろうか…。
会話が小説として作られた感じではなく、現実の会話文を文字起こししたようなリアルさで面白い。会話の噛み合わなさに苛立ったり、話してる内にどんどん怒りが膨れ上がっていって自分でもコントロール出来なくなる様が上手い。
収録された『アキちゃん』も面白かった。アキちゃんみたいな女子っているよな…と思いながら読んでいたら、思わずえ?!っと声が出そうになった。ちょっとミステリ的な企みがある作品。
投稿元:
レビューを見る
情景描写や心理描写がほとんどなく、ほぼ会話だけの展開に面食らって、正直、流れがあまり頭に入ってこなかったです。
「アキちゃん」は嫌だなぁと思いながらも、先が気になって読み進みましたが。