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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
プロレスの魅力の生み出し方が、面白く読むことができました。影の仕掛け人ともいうべき人の重要性が、よくわかりました。
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プロレスに興味を持ったことはない。
というよりも、苦手である。
辛いのも痛いのも嫌いだし、流血の大惨事なんて見たくもない。
私が子どもの頃、父が時々テレビでプロレスを見ていた。
その姿を見て母は「あんな八百長、どこが面白いんだか。くだらない」と言い捨てた。
もっとも母は、相撲も巨人戦も八百長だと言い張っていたけれど。
で、この本を読んで、やはりプロレスは母の言うところの八百長だったということが分かった。
ただし、楽な試合をするための、または星のやり取りのための八百長ではなく、ファンの見たい姿を一番効果的に演出するための、ストーリーなのだそうだ。
強い選手を見たい。
これはファンの心理の第一だろう。
しかし、強ければそれでいいのか。
最初からマックスに力を出し合うということは、山場が一番先に来るということで、実は盛り上がらないらしい。
そして、選手の置かれた立場や抱えた鬱屈などを演出し、選手の背景を作り、ストーリーに沿った戦い方をする。
それによりファンは選手に感情移入することができる。
もちろんだらしない試合をすれば、ファンは簡単にそっぽを向くのだが。
これってつまり、ドラマの出来に一喜一憂するテレビ好きとか、アイドルおたくなんかとあまり変わらないってことなのかもしれない。
著者は新日本プロレス(アントニオ猪木のところ)と深くかかわっていた人のようで、猪木の長所や短所や短所や短所が多く書かれているが、ジャイアント馬場については深い尊敬の念を感じられる。
“「プロレスという興行は、地方地方を回り、テレビで知っている顔の選手がテレビで見たことのある技を出すのをファンに見てもらう。そんな仕事なんだ」
馬場さんが一貫して守り抜いた哲学がそこにある。”
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「マッチメーカー」の文庫版だったので結果的に再読。
なんだかんだ理由を書いてはいるが、業界の裏を暴いてしまった罪は大きいと思う。自分も含めて、観客の本気度を奪い、プロレスファンのプライドを壊してしまった。
昭和プロレスが盛り上がったのは観客が本気だったからだと思っているが、エンタメの一つでは、本気で楽しむことはできても、本気で怒ったり悔しがったりすることは出来なくなってしまった。