歴史の中で現在を相対的にとらえる
2024/04/26 13:15
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
発明やイノベーションという言葉を目にすると、ワクワクしてしまう。しかし、これまでの発明やイノベーションには、輝かしい成功を収めたものもあれば、多くの失敗例、人類への不幸な結果をもたらしたものも、あることを忘れてはいけない。ブレイクスルーとか指数関数的成長とかのメディアに出現する言葉に踊らされることになってもいけないのだと。新たなテクノロジーの登場に目を奪われ、最先端のものに惑わされるのではなく、過去から未来への歴史的事実を忘れず、長い歴史の中で現在を相対的に眺めることが重要と、著者は伝える。
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<目次>
第1章 発明とイノベーション~その長い歴史と現代の狂騒
第2章 歓迎されていたのに、迷惑な存在になった発明
第3章 主流になるはずだったのに、当てがはずれた発明
第4章 待ちわびているのに、いまだに実現されない発明
第5章 テクノロジー楽観主義、誇大な謳い文句、現実的な期待
<内容>
発明は英語でインベンション。これとイノベーションをかけたタイトルである。この本では、さまざまな発明のうち、成功したが、問題点が多く、現在はほぼ使われていないもの。一瞬良いものに見えたが、他のインベンションや失敗から、現在はもう見られないもの。期待は高いが(もしくは高かったが)、いまだに社会に貢献するほどの成果を上げていないもの。こうした例が複数詳細に説明される。第2、3章では、政府や企業が、実験結果の不具合を隠蔽したり、意図的に見ないふりをしたりした。もしくは当時は有効だったが、地球への負荷が高すぎたものなどがあげられる。第4章は、実験上は効果が見られたり、可能性が語られるが、実用性に問題のあるものがあげられる。最終章でその問題点をまとめている。科学は進歩するのだが、誰もがその着実な部分よりも、先進性に目が向きすぎて、問題点や実現性の低さに目を塞いでしまうのだ…。しかしこの本では、科学万能ではなく、人間の方の問題を多く語っている。
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・歓迎されていたのに、迷惑な存在になった発明
有鉛ガソリン、DDT、クロロフルオロカーボン類(フロンガス)
・主流となるはずだったのに、あてがはずれた発明
飛行船、核分裂反応を利用した原子力発電、超音速飛行
・待ちわびているのに、いあmだに実現されない発明
ハイパーループ、窒素固定作物、制御核融合
加速化するイノベーションという根拠のない説
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格差のイノベーションが必須
新たな発見、発明は新たな社会を作るが、古いものは抹消され、形を変えてゆかざるを得ない。そこにはあらゆる格差が生まれ拡大する可能性がある。新たな技術・製品で豊かになる者とそうでない者の差は膨張し、貧富の差が対立、暴動、戦争にもなりかねない。今後地域間、所得、医療、教育格差を解消させて行くイノベーションが必要だと感じた。風習・慣習などで残すべきモノ、コトは、日本の旧態依然の習慣・文化など焦ったいと映るかもしれないが人間味ある安定安心幸福感があるのではないかと思う。
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昨今乱用されがちな"Invention""Innovation"という言葉を批判的思考と過去事例を持って再考する一冊。「ブレイクスルー」という単語を見かけることは多いが、科学や技術が飛躍的進化を遂げることは稀である。論文であれば(一応)査読というプロセスがあるものの、我々は未検証の歴史的発見のニュースを日々大量に浴びている。著者の論調は、時に筋違いもしくは的外れのようにも感じるが、楽観や妄想に捉われることなくファクトベースで捉えるという重要な視座を与えてくれる。なお、本書は発明を3つのカテゴリーに分けて歴史的変遷が述べられている。
「歓迎されていたのに、迷惑な存在になった発明(有鉛ガソリン、DDT、フロンガス)」「主流となるはずだったのに、当てがはずれた発明(飛行船、原子力発電所、超音速飛行)」「待ちわびているのに、いまだに実現されない発明(ハイパーループ、窒素固定作物、制御核融合)」
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タイトルからインベンションやイノベーションを推奨するものかと思いきや真逆、現実主義で理想を追いかけることもよいが今解決すべき他の問題もあるだろうと警鐘している。事例が多く、エネルギーやテクノロジーなどの専門分野の話しが多いので読むのが大変。専門家や学者向けの本かな