ベクトル解析の感じを掴むために
2015/02/23 08:07
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投稿者:kamechan - この投稿者のレビュー一覧を見る
初心者向けに書かれたベクトル、テンソルの入門書。双対ベクトルの説明など初心者に分かりにくい事柄でも幾何学的な説明を多用して感じが掴みやすい面もあるが、論理が飛躍している箇所が多々あるので本書だけでは理解しにくいところも多い。ベクトル解析の数学書で一度勉強して、副読書として用いるのには良いと思われる。また、初等的な物理例も多く、読み物としても良い。例題も含めて誤植は少ない方。
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これまで物理を学ぶ中で、テンソルなかでも反変や共変という言葉が出てくると、思考停止していたが、この本の噛み砕いた説明で、なんとか理解できるようになった。
ベクトル解析は復習だったが、よりベクトルの本質に近づけた。特にラプラシアン。
4章 共変ベクトル成分と反変ベクトル成分が本書の肝。非直交座標系、双対基底ベクトルのところで、これまでのモヤモヤが腑に落ちた。
計量テンソルは興味のある空間内の特定の座標系に計量を与える。つまり、距離構造を決める。
クリストッフェル記号、共変微分の説明が丁寧。
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相対論の本を手に取ったはいいが曲率やらリーマン幾何学やらの章で進みが止まるということが続き、これでは埒があかないので先にテンソルを学ぼうと思い、手に取る。
前半の3章はベクトル解析について。
1.ベクトル、2.ベクトル演算、3.ベクトルの応用。
ラプラシアンに関する記述が、個人的に思わぬ収穫。というのは、それまではラプラシアンを「勾配の発散」という言葉でしか捉えていなかったから。それが何を指しているのか、つまり、ラプラシアンはある点におけるスカラー場の値とその点の近傍でのスカラー場の値の平均の差に比例し、従って、スカラー場の極大・極小を示す、という「意味」まで理解が及んでいなかった。ここに至って、電磁気学のポアソン方程式についても、改めて合点がいった次第。
後半の3章はテンソル解析について。
4.共変ベクトル成分と反変ベクトル成分、5.高いランクのテンソル、6.テンソルの応用。
共変、反変に関して丸々1章割いてあり、これらの概念が漸く分かった(気がする)。僕の理解は、今のところ次のような感じ。「ベクトル(テンソル)という、本来恣意的である座標の取り方に依らない物理的対象が存在して、それを座標に依る成分という形で表そうとしたときに出てくるのが共変や反変といった概念。二者の違いは、座標軸への射影の仕方の違い、又は座標変換に対する変換の方式の違いから生じる。共変ベクトルとか反変テンソルとかいうのは、成分の変換が共変的か反変的かという話。勾配が共変量の、微分線要素が反変量の代表例である。」
とても勉強になった本なのだが、章末問題の数値設定はイマイチ。数学的にどうこう言う話ではないし、ぶっちゃけどうでもいいが、z軸周りに「20°」回転とか見るともう少しどうにかならなかったのかと思ってしまう。
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物理を記述するのに欠かせない,ベクトル解析とテンソル解析の参考書。本書のレベルは広くとられており,力学の初歩から一般相対性理論までカバー可能である。
中でも,第4章にある「共変ベクトル」と「反変ベクトル」の違いについての解説が優れていると思う。