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図書館の新刊コーナーに置かれていた本で、表紙とタイトル見たときは児童書かな?って手に取ると知的障碍者の物語ということもありついでで借りてみた。
内容はわかりやすくテンポもいい、国内の小説にありきたりな陰気臭さもなくオープンで明るく大らかな登場人物ばかりで読んでいて爽快だ。海外小説を好んでは読まないが、途中途中に挟むとやっぱり国内小説に比べて物事の捉え方の豊かさの違いを感じる。
ウサギのパンパンくんって表題見ると幼さを感じるが、この使いどころが非常に巧くシンプルの心理描写を的確に描いている。そもシンプルという名の意味をあとがきを読むと、ああ、なるほど、二重の韻を踏んでいるんだと納得。わかりやすい起承転結で物語はまとめられていながらもいくつもの伏線が張られ、そして集約されていくのはここ最近外れ本ばかりだったのでいい憂さ晴らし...「やっほー!」
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重いテーマを軽やかに描く。シンプルの中で、パンパンくんの占める割合が少しずつ薄れて、他者と肯定的に関わっていけるようになるのがいい。弟のクレベールや寮の仲間たち含め、あまり「正しい」人たちが出てこず、シンプルのことを気にかけながらも、そこそこ自分勝手に生きている感じもよかった。
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タイトルがとても小さい子向けのように感じられるので、少し損しているような気もしないではないけど、完全にYA。いわゆる「ヤングケアラー」の物語に、若者たちの恋愛模様をからめつつ、それでいて昔ふうのラブコメみたいな、取り違えとかすれ違いの笑いもつっこんでくる。同じような題材を扱った英米のYAとすごく感触がちがっていてびっくりしたし、おもしろかった。シンプルの純真さが周囲の人びとの心をいつのまにか温めていく様子が無理なく伝わってくるのが好き。