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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
高齢者の交流の場となっている「かもめジム」でバイトをしている女子高生が、恋愛相談を通して70代の会員男性と交流を深めていく、あらゆる柵を取っ払った群像小説。
恋愛も、人生も、誰もが色んな悩みを抱えている。年齢や性別なんかは関係なく、真剣に向き合う事で少しずつ新しい価値観を吸収していく。
キラキラ眩しかったり、きゅんきゅん心躍ったりするのだけが恋愛ではなく、じんわり温かい年配者の恋愛にもエモさを感じた。同じく、先が長くまだまだやり直しがきく若年者の人生にも深さはある。侮りがちな怠慢な感性を刺激してくれる、1冊で何種も楽しめるアソート作品。
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NetGalleyで先読み。
会員の8割が高齢者という「かもめジム」を舞台に関係する人々の物語が交差していく。
バイトの女子高生と会員の70代男性との友情、かもめジムで働く30代女性と会員になる気はないけれど愚痴だけ言いにくるおばさんのやりとり…
年齢差50ン歳が互いに恋愛相談する姿、なかなかシュールにも思えたけれど面白かった。
30代女性のちょっと尖った感じ、懐かしく思えて笑ってしまった。
私も尖ってた時期があったなぁ…(笑)
あらゆる人間関係において一線引いてしまいがちな私。
年齢や性別にとらわれて一線引いてしまうのは、もしかしたらもったいないのかもしれないな、なんて思った。
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「かもめジムの恋愛」
「大人っていつからなるんだろう」
「寂しさで満たされて」
「恋なんて、この世にあっていいものなのか?」
「また明日ね」
高齢者達が集う、かもめジムを舞台にした5話収録の連作短編集。
大前粟生さんの作品は軽やかだ。
本作も恋と友情をテーマに流れるように展開していく。
けれど、行間からほんの少し滲み出る寂しさ。
それがとても魅力的。
不器用な登場人物達に自分を重ね、共感したり切なくなったりしながら、一期一会を大切にしようと思えた。
年齢や性別に関係なく、人が人を想う真っ直ぐな気持ちに愛おしさが込み上げる一冊。
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心にしみた。読んでよかった。
やさしくない世界を生きるやさしい人たちの日常が描かれていた。
かもめジムが閉館になる箇所では、しんみりと寂しい気持ちになった。
もしかしたらこの先、ほとんど会うことがないかもしれない。それでも大切な人に「また明日ね」と言って別れられるのは素敵だと思った。
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登場人物全員の恋愛を応援したくなる本だったし、恋愛って甘酸っぱくていいなと改めて感じた。
前に「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」を読んで、大前粟生さんは心に問いかけてくるような重めの物語を描く人というイメージがあったので、かもめジムの恋愛のようにどこか切ないけれどキュンとする恋愛物語も描くことを知って、物語の幅の広さにびっくりした。
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よかった。
あったかくてやさしい小説っていいね。
トランプさん勝っちゃうし、愛媛のジンベエザメは死んじゃうしで、少し落ち込んで寒々とした気持ちをあたためてくれた。多謝。
かもめジム、という高齢者の憩いの場になっているジムがメイン。
女子高校生バイトの柏夢はジム利用者のおじいさん、西原さんから恋愛相談を受ける。
西原さんは同じかもめジム利用者のアラフォーの三田園さんという男性会員が好きだという。
柏夢にも同じ高校に好きな男子がいて、ふたりは恋バナをする仲に───。
多主人公、多視点の連作短編集。
クセはあるけどやさしくて「いい奴」が多く登場する。
恋愛小説は読んだあとふわふわするな。
読み終わったあと、もうちょっとこの小説の世界にいて、かもめジムのみんなを見守っていたかったなって思った。
ラストの章で夢が観ていた映画は何だろう。気になります!
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高校生の煮え切らない恋話には焦ったさを感じ、おっさんの恋には新鮮味もあり、かもめジムのスタッフとお客さんが妙にひとつになって物語になり、とても楽しく読んだ。続編があってもいいのでは。